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結果的に関係者

 気がつけば、あたしも立派な銃刀法違反でした。


「えぇぇ!? ちょっ……何これ、何これーっ!!」


 慌てふためいて取り落としそうになるが、汗と一緒に握ることで何とか回避。

 あたしの右手の中、片手で振り回せるほどの、あまり重さを感じない日本刀。

 刀身が1メートル弱だろうか、曇りのない銀色を覗き込むと自分の顔が見える気がした。

 でも。

 記憶では完全初対面のはずなのに……どうして、こんなに久しぶりの気がするんだろうか。

 どうして……。


「分かりました……そこまで出来ればひとまず合格ですわね」


 東原さんの声を聞いて、あたしは我に返った。

 そういえばさっき、力任せに東原さんへとんでもないことをしてしまったのでは――!?

 顔面蒼白で彼女の方を見やると、刀を地面に突き立て、片膝をついて呼吸を整えている姿が飛び込んできた。

 その足元を確認するが、赤い血が流れている様子はない。

 だけど……例えば内出血とか!? ふっ飛ばしちゃったし……全身を強く打って、とか……!?

「東原さん! 大丈夫!?」

 剣を握ったまま、慌てて彼女に駆け寄った。

 近くで見ると、小さなすり傷はあるみたいだけど……大きな外傷は見当たらない。

 よく考えなくてもあたしが彼女を心配する義理はないのだが、この状況で見捨てられるはずもなかった。

「血は出てないけど……どこか痛いところは? 確か、雛菊さんが全部治療してくれるんだよね!?」

「え、ええ……」

 面食らった表情であたしを見つめる彼女だったが、すぐに呆れたような顔になって、

「ご心配なく。あの程度の攻撃は予想していましたので問題ありませんわ」

「ちょっ……!?」

 今度はあたしが面くらってしまった。

 優しさが空振り三振のあたしを放置して彼女は立ち上がり、地面に突き刺した剣を引き抜いて、そのまま宙に放り投げる。

「えぇっ!?」

 驚いたあたしは剣の落下地点から離れようとしたが……それは地面に落ちる前に、霧散してしまった。

 消え、た。

「……」

 もう、声も上げられない。何が何だか分からない。

 ぽかーんと口をあけたままのあたしを見ないまま、東原さんは雛菊さんと奥村先輩の方へ向かって歩いて行くのだ。

 ……あたし、どうしよう。

「お、香澄ちゃんお困りですか?」

 見かねた有坂君が初めて近づいてきて、あたしの前でひらひらと手を振った。

「香澄ちゃーん?」

「はっ!?」

 現実に戻ろう。このままじゃ確実に補導される。

「えっと、有坂君!」

「椎葉でいいよ、俺も名前で呼ばせてもらうから」

 飄々とした態度で笑みを向けてくれるが、今のあたしはそれどころではない。

「じゃあ椎葉、早速だけどこれ何とかして!」

 あたしは自分の右手ごと、刀を突き出した。

「あたしのも、東原さんのみたいに消したいんですけど!」

「ああ、そんなの簡単だよ。絢芽ちゃんみたいに投げてみなって」

「投げる!? この物騒なものを投げるの!?」

 予測していたとは言え、躊躇われる行動。

 だって、投げるの? 投げていいの、これ。

「ま、ためしにやってみなって」

「うーむ……」

 他の人の意見も聞いてみたいところだが、残念ながら助言をしてくれるのが椎葉しかいない。

 ここは、しょうがないので……腹をくくろう。ダメでも逃げれば大丈夫!

 呼吸を整えて、右手に力を込めた。

「よし……いけーっ」

 タイミングを合わせて剣を放り投げ……慌ててその場から離脱!!

 椎葉は微動だにせず、剣の軌跡を目で追っていた。

 そして、あたしもしっかり目撃する。

 先ほどまで握りしめていたものが、塵のように消えてしまうという結果を。


「き、消えた……本当に消えた……」

「な? 俺の言ったとおりだろ?」

 にんまりと笑みを浮かべる椎葉が、人差し指をぴっと立てて続ける。

「今みたいに、あの剣は持ち主の手を離れたら消えちまうんだってさ。もう一度呼び出すには、それなりの力が必要、っつー話だから、気をつけた方がいいみたいだぜ」

「うん、ありがとう……」

 あたしがその言葉の重要性を実感するのは、もうしばらく後になるけれど。

 とりあえず頷いて……手汗をハンカチで拭くことしか出来なかった。


「はい、お二人ともお疲れ様でした」

 何事もなかったかのように笑顔で近づいてくる雛菊さん。

 その後ろには奥村先輩と東原さんがいる。

「絢芽さんの治療は終わりましたので、次はこの空間を『修復』しますね」

「『修復』って、さっきみたいに元へ戻すってこと?」

「そのとおりです。さすがに、あの状況では違和感があるでしょうから」

 笑顔の雛菊さんが指さす先には、先ほどの竜巻で抉られた地面。

 ……あ。

 そういえば。

「あれ、あたしが?」

「そうですよ。この空間には『境界』を設定していますから、何をしていただいても大丈夫ですけれど……初っ端から派手ですねぇ、香澄さんは」

「『境界』?」

「分かりやすく言えば、現実と隔離するバリアみたいなものです。私の設定した『境界』内であれば、関係者以外立ち入り禁止ですから邪魔も入りませんし、どれだけビルを輪切りにしようが水道管をぶった切ろうが、現実世界に影響はありません」

 なるほど。先ほどの化学実験室もそれで無事だったのか。

 そして……あたしは関係者だから中に入ってしまったのか。

 納得するあたしに、雛菊さんの注意事項は続く。

「ただ、それらは私が『修復』して現実に戻しますので、破壊箇所が広かったり酷かったりすれば、それだけ私の力も必要になります。いたわりの心を持って、おつとめに励んでくださいね♪」

「はーい……」

 分かったような分からないような……とりあえずは返事しておこう。

「香澄さんには、いずれ残りのお話をさせていただきますので……本日は解散しましょうか。お疲れでしょう?」

 その言葉には素直に頷いた。今はとにかく、現実を整理するより休みたい……明日のためにも休ませてください。

 ちらりと、雛菊さんの後ろにいる絢芽さんが視界に入った。

 どこか安心したような横顔に見えたのは、あたしの気のせいだっただろうか。


「では皆さん、合図するまで目を閉じていてくださいね」


 雛菊さんの言葉が、長かった非日常の終わりを告げた。



 ……そう、思っていたのに。


 どうすればいいのか。

 続く沈黙に喉が渇いてきた。

 どうして、こうなるんだろう。

 普段ならば何かと話題はあるはずなのに、色々あったせいなのか、調子が完全に狂う。

「……」

 ちらりと見上げた横顔は、前しか見ていなくて。

 喋るそぶりは一切ない。

「……」

 沈黙。


 どうしよう。

 

 先輩の隣を歩きながら、(途中までだけど)学校から一緒に帰る、という……全く予想していなかったシチュエーションに別の意味で冷汗が止まらないあたしなのである。


 雛菊さんが、『修復』によって世界を元通りにして、

「本日は終了です。皆様、今後のことは追ってご連絡させていただきますねー」

 という一言を残し、スタスタとその場から立ち去ってしまったのだ。

 その潔さ……というか素早さに、声をかけることも出来なかった。

 しかし、彼女はいつもこんな感じなのだろうか。あたし以外の3人は全く驚いていない。

 それどころか、

「では、ごきげんよう」

 優雅な言葉遣いと仕草で門の方へ歩き出す東原さん。

「じゃーな、これからもよろしくー♪」

 ぴっと手をあげて門の方へ歩き出す椎葉。

 残されたのは、あたしと……奥村先輩。

 『境界』も解除されて、部活動のために残っていた生徒が、グラウンドのど真ん中で立ち尽くしているあたし達に、訝しげな視線を向けてくる。

 と、いうか……『境界』状態のとき、もともとこの場にいた人たちはどうなっているんだろう。

 いずれ聞いてみたいことが一つ出来たが、現状は全く変わらない。

 ぼんやりしていないで、あたしも帰らなきゃなぁ……夕食、作らなきゃいけないし。

「樋口」

 あたしが別れの言葉を告げるより一瞬だけ早く、先輩に呼ばれる。

「何ですか?」

「樋口は……バス通学だったか?」

「え? あ、はい、その通りです。先輩は自転車ですよね」

 あたしは学校最寄りのバス停から市内中心部にあるバスターミナルまで移動し、そこから郊外行きのバスへ乗り換えている。

 バスターミナルは電車の駅にも隣接しているので、電車通学の生徒もここからバスに乗って来る。

 ただし……学校から頑張ればバスターミナルまでは歩けること、ターミナルから学校までの道が終日込み合うので時間が読めないこと等もあり、実際は……交通費を節約してお小遣いにするために、あたしはターミナルまで歩き、そこからバスに乗っていた。

 あたしと同じ考えの生徒は割と多く、学校までバスに乗る生徒の方が少数かもしれない。

 とりあえずカバンが校内に残っているので、それを取りに校舎まで戻る。

 階段をのぼりながら、先輩が再度問いかけた。

「久那センまで歩くのか?」

 ちなみに「久那セン」とは、「久那バスセンター」の略称。あたしが学校から歩いているバスターミナルのことだ。

「そうです。最近やっと慣れてきました」

「そうか……」

 ……何だろう。

 先輩の意図がよく分からないけど、この人にしてみればいつものことだな。そう思って納得。

 生徒会室にたどり着き、ドラムバック式の指定カバンを持つ。

 鞄の中の携帯電話をチェックすると、チェーンメールが1件と、母親からのメール。いつものメールだ。後から確認しようと思って、鞄の奥底に押しやった。だって、見つかったら没収だもの。

 さて、帰るか。

 あたしは先輩に挨拶をするために彼の方へ向き直った。

 目が合う。

 どうやらこちらを見られていたらしい。

 ……やばい、携帯電話のことでも注意されるんだろーか。この人、生徒会長だし。

「せ、先輩、帰らないんですか?」

 話題をそらそうと頑張ってみた。

 そんな先輩は、少し気恥ずかしそうに視線を泳がせながら、ぼつりと一言。

「……っていく」

「はい?」

 聞きとれずに聞き返したあたしに、先輩は……多分顔を赤くして、もう一度。

「だから、久那センまでおくるよ。外も暗くなってきたからな」


 ……え?

 目を丸くしたあたしの反応は、決して間違いじゃない。


 そして――今の沈黙である。

 先輩は横で自転車を押しながら、車道側を歩く。

 車道、といっても、住宅街の隙間にある国道の裏道なので、車の通りはほとんどない。あたしを含めて多数の生徒が使っている通学路だ。

 点在する街灯、どこからともなく漂ってくる美味しそうな匂い……空腹を悟られないように下腹部に力を入れて歩いていた。

 目的の久那センまでは徒歩15分。歩き始めて5分経過したが、先輩が口を開く様子はない。

 そりゃあ……そうだろう。

 ここまで来ると、何だか可笑しくなってきた。そもそも、あたしが緊張する理由はどこにもないじゃないか。

 だって、おくるって言葉一言言うのに、昇降口から生徒会室までかかった先輩なのだから。

「先輩の家、反対方向じゃないんですか?」

 生徒会の雑談で、先輩が言っていた地域名を思い出す。思いっきり真逆の方向にあるのだ。

 先輩は前を向いたまま答える。

「気にしなくていい。この裏道は変質者が出るって話もあるから、女子一人で歩かせるわけにはいかないだろう」

「でも、今までこんな気遣い見せてくれなかったじゃないですか」

「普段は稲月や皆瀬がいる」

 そういえば。生徒会の自転車通学は先輩のみで、他の3人は全員バス……今日は生徒会で遅くなったわけではないことを再確認してしまった。

 だからこそ、今のうちに聞いていきたいことがある。

「先輩、東原さんと椎葉って、どこの何者なんですか?」

「椎葉……有坂のことは呼び捨てなんだな」

「はい。本人がそれを望んだんです」

 個性的な二人について、あたしが持っている情報があまりにも少ない。

 あたしの質問に、先輩が答えてくれる。

「まず、東原は……制服を見たと思うが、星霜学園の1年生だ。水を操る剣・『雫』の使い手であり、俺たちの中で一番の実力者でもある」

 星霜学園……市内、いや、県内でもトップクラスのお嬢様高校じゃないか。1年の学費がベンツ1台って噂で有名な。

 年上だと思っていたのに同じ年だということも判明した。普段のあたしならばその辺に反応するのだが、他の言葉が気になり過ぎてそれどころではない。

「水を、操る?」

「東原が……まぁ、樋口も同じだが、日本刀を持っていただろう? あの剣は物理的に斬るだけじゃない。それぞれが力を持っていて、使う人間が媒体となることで本来の力を発揮するんだ。ちなみに俺は火、樋口は風だ」

「風……」

 化学実験室での火の玉、グラウンドをえぐった竜巻……なるほど。とりあえず納得。

 そして、

「ってことは、東原さんがリーダーなんですか?」

「リーダー……というわけじゃないが、一番の経験者だからな。本人の使命感も強い。今日のことも、樋口の剣を呼び出すために仕掛けたことだから……あまり悪く思わないでやってくれ」

「そうですか……」

 先輩がそう言うのだから、ここは素直になっておこう。

 ただ、それを差し引いても性格にちょっと問題がありそうな気がするのはあたしだけだろうか。まぁいいや。

「有坂は、久那工業の1年生だ。地面を操る剣・『壇』を使う」

 そして、椎葉も同じ年だった。東原さんより親しみやすそうなので一安心。

「順番でいえば、有坂は3番目だな。樋口の1か月前に見つかったんだ」

「椎葉が1か月前ってことは……先輩はどれくらい前からなんですか?」

「俺は……2か月だな。東原には聞いたことがないが、雛菊さんの話では、俺達『干渉者』を探し始めたのが、今から3か月くらい前から、らしい」

「そうなんですか」

 てっきり……生まれた時からとか、1年前からとか、長い間戦っているのかと思っていた。

 でも、いくら期間が長くないとはいえ、あたしと他の皆との間には最低1か月の差がある。

 それを埋めていく必要があるわけなんだけど……雛菊さん、今日はそこまで説明してくれなかったからなぁ……今後に期待して大丈夫だろうか。

 ……まぁ、仮に雛菊さんや一番古参の東原さんが説明してくれなくなって、

「まぁ、細かいことはよく分かりませんけど……奥村先輩、フォローを是非ともよろしくお願いします」

 あたし一人では、絶対にどこからか綻びが生じてしまうから。

 歩きながら軽く頭を下げると、上の方から苦笑交じりの嘆息。

「樋口は猪突猛進などころがあるからな。特に今回のことは周囲に知られるわけにはいかないから……何かあったら、俺に一声かけるんだぞ」

「はーい」

 先輩の頼もしい言葉に二つ返事を返したところで、久那センの明かりが見えてきた。


 よく分からないことも多いし、同じ境遇の仲間とは折り合いも難しそうだけど……まぁ、何とかするしかないか。

 何とかなりそうな気が、しないわけでもないし。

 バスは混雑していたので、優先席の前に立って外を見つめる。

 たまに傾く車内でバランスを取りながら、突然現れたファンタジーの世界に、内心わくわくしているあたしがいた。


 両親が共働きなので、家には一人でいる時間の方が長い。

 空腹は我慢できないので、自分用の食事を作って食べることにも、ついでに親の分を作ってラップをかけることにも慣れてしまった。

 今日も、母親から使ってほしい食材のリストがメールで届いていたので……あたしが食事当番であることは確定。

 確か冷蔵庫に鮭があったような……バス停から家までの道を歩きながら献立を固める。

 ……あれ。

 家の前についたあたしは、リビングの明かりがついていることに気がついて……心臓がびくりと跳ね上がる。

 どちらかが早く帰ってきたのだろうか。でも、こんな中途半端な時間に?

 泥棒にしては堂々としている、いや、こんな時間だから明かりがついている方が不自然じゃないっていう心理の泥棒なのかもしれないし……。

 口の中が少し乾いてきた。鞄を持つ手に力を込める。

 怖くない、怖くない……そうよ、何かあったらあの剣を出して――

「ってダメじゃん! でも……もしも命の危険があったらしょうがないよね、しょうがないよねっ!」

 免罪符のように自分へ言い聞かせて、玄関のノブを握って回す――開かない。

 鍵?

 鞄から鍵を取り出して回し、扉を開く。

 玄関に両親の靴はなく、他人の靴も見当たらない。土足で侵入した形跡もなし。

 向かって左側にリビングがあるのだが、隠す気配なく明かりとテレビの音が漏れ出しているのが現状。

「最近の技術革新は素晴らしいですねー……あら、この人、先ほども別の番組でお見かけしたような気が……」


 ……ん?

 この声、もしかして……。


 数十分前に聞いた声が聞こえてきたので、警戒心を緩めて扉を開く。

 そこには……リビングの座布団に正座して緑茶をすすりつつバラエティー番組をたしなむ雛菊さんの姿があった。

 あの横顔……間違いない。

「……え? えっと、雛菊さん?」

「あら香澄さん、お帰りなさい」

 まるで、「私の家はここですが何か?」と言わんばかりのどや顔を向けられた。

「あのー……何をしていらっしゃるのですか?」

「テレビを拝見しています」

「いや、そうじゃなくて……どうしてあたしの家に?」

 茫然と立ち尽くすあたしとは対照的に、雛菊さんはずずずと緑茶をすすって、

「ほら、香澄さんにはまだまだご案内しなければならないことがありますから。私が近くにいた方が手っ取り早いでしょう?」

 それは、つまり……。

 彼女の傲岸不遜な態度に、嫌な予感しかしない。

「ご心配なく。ご家族の記憶は私が責任を持って操作しますから」

 物騒すぎる!

「ですので……どうぞよろしくお願いいたしますね。あ、今日の夕食は何ですか?」

「居座るんですか!?」

「当然ですよ。私だってこの世界での拠点が必要です。今までは絢芽さんのところにお世話になっていましたが、あのお宅では和食ばかりなので……洋食が食べたくなりました」

「そういう理由なの!?」

 自分本位すぎる理由に眩暈がする。

 あぁもう、本当、どうしてこんなに……。

「香澄さん、洋食ですよ。パスタ的なものだと嬉しいです」

「雛菊さん……訂正、雛菊! 自分勝手に話をすすめるなーっ!!」


 奥村先輩……何とかなりそうな気が、薄れました。


「妹さん……気になりますからね」

 雛菊の独白は、今のあたしまで届かない。

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