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人気VRゲームの最強クラン、実は全員一人が操作していた

作者: 海光

現在人気のオンラインVRゲーム「El Misterio Divino(神の神秘)」。発売間もないゲームだが、発売前からかなり注目されており、パッケージ版は完売。ダウンロード版も店頭ではもう売っておらず、ネット上で買うしかない状況となっている。


ぱっと見、どこにでもいそうな高校生、顔立ちは整っており、イケメンと思う人もいるかもしれない、佐藤拓斗が今回の主人公である。彼は友達も多く、遊びには誘われるのだが、夏休みはやることがもう決まっていた!!

もちろん「El Misterio Divino(神の神秘)」は先行予約済み!!


昔から、ゲームが好きで様々な種類のゲームをプレイしてきた。そんな彼が最近ハマっているのがVRゲームである。


「今は夏休み!!思いっきりゲームタイムだ!!!」


ゲーマーである彼にとって、今作のゲームはとても面白く感じ、始めは皆と同じく一人のキャラを極めた。

基本的には毎回ソロプレイヤーである。

レベル200(MAX)、ジョブは魔剣士。

魔剣士は扱いが難しいうえに、剣士と魔法使いのレベルをそれぞれ100まで上げることによって、解放されるジョブであるが故に、選択する人はまずいない。

※剣士をレベル100にした後、魔法使いにジョブチェンジし、またレベルの上げ直しをする必要がある。


そしてサブアカウントを作成する際にごくごく稀に出現するジョブの引継ぎ機能、「魔剣士の後継者」。これは攻略情報にも載っていない、更には魔剣士にしか発現しない称号である。

この称号はチートでもデータ改ざんでもない、このゲーム内に意図して作者が作成したものである。


「魔剣士の後継者」を手にした拓斗は、驚きを隠せない。。。


「なんだこの称号は…何何…?」


「効果:魔剣士団(クラン)を設立することで能力が大幅上昇する。他プレイヤーを仲間にするも可。

※魔剣士のみのクラン、自分が作成した魔剣士キャラを同時操作可能」


「え…【自分が作成した魔剣士キャラを同時操作可能】、なんだこの効果は!?」


「VRでどうやって…複数を操作するというんだ…」



頭の中で様々な思いが交錯する。。

流石に初めての仕様。通常のネットオンラインゲームでは複数のキャラクターを同時操作したことがある拓斗だったが、これは予想外すぎた。

果たしてVRゲームでそんなことが可能なのか。。。


一人のプレイヤーがクランメンバーを操作する場合、上限は4人(レベルMaxのみ)と記載されている。

「ということは…4体作成したら何か説明でも現れるのかな…?」



未知のシステムだからこそ、ゲーマーの拓斗は、好奇心に溢れていた!!



現在、有名なクランはレベルMaxの龍騎士であるプレイヤーネーム「ゆっきー」率いる「レオンの闘志」

※「ゆっきーは男前の顔つきで、短い髪、赤い鎧を身に着けている」


同じくレベルMaxの星界の魔法使いであるプレイヤーネーム「にゃんコロ」率いる「フェーレースのステラ」などがある。

※「にゃんコロは亜人であり、猫耳、尻尾、を持ち、破天荒な女の子の姿をしている」


どのクランも強くて有名だ。レベル上限があるとはいえ、このゲームではプレイヤースキルが重視される。キャラクターを強くしてもPSが低ければ、戦闘においても手こずってしまう。


3か月に一回開催されるクランバトル、不定期開催のソロバトル、不定期開催のクラン同士で協力して討伐するレイドバトルがある。


そして、ソロでもクランでも挑めるダンジョンには難易度が設定されており、難易度は以下のとおりである。

初心者用ダンジョン(レベル3~10程度のモンスターが出現)・難易度★(レベル15前後)・難易度★★(レベル20~30)・難易度★★★(レベル50)・難易度★★★★(レベル60~70)…と★の数で何度が設定されている。モンスターレベルがプレイヤーと同等かそれ以上といったダンジョンや、プレイヤーレベルの数倍のレベルを有したボスモンスターが出現するダンジョンも存在している。

そのようなダンジョンの場合、バフやデバフを使用して攻撃を通すのがこのゲームの常識となっている。


有名なクランでも苦労するレベルだ。また、現在の最高到達はプレイヤーレベル3倍のボス討伐となっている。


ソロプレイヤーである拓斗は、目標を次のクランバトルと設定し、残り3体のレベルMaxキャラクターを作成することにした。

始めに説明した通り、魔剣士は作成に関してかなり難易度の高いジョブであり、且つそれを3体レベルMaxで作る必要がある。


「………やってやる!!!」


「これまでにない難易度だけど、、これまでにない面白さが待っている気がする!!!」


流石に2体目、、3体目ともなってくると、慣れたもので、経験値の多い狩場、PSが上昇していくことで高難易度のダンジョンをソロ攻略…とこなしていく。


「なんか、洞察力・反応速度が上がった気がする…」


「これはスキルではなく…単なる自分の力…か…」



ゲーム内のプレイヤーが集まる街、酒場では噂が立ち始めていた…

ソロで高難易度に挑んでいる魔剣士がいるらしい…と。



その情報を聞いて、有名なクランのリーダー達が黙っているワケもなく…


--------------------------------------

「レオンの闘志」:『メンバーに通達!!噂の魔剣士を探して勧誘してこい!!!居場所の報告だけでもいい!!私が行く!!!』

「フェーレースのステラ」:『魔剣士になり、高難易度をソロで攻略するプレイヤーだ!!いち早く、見つけるにゃ!!!』

--------------------------------------


そんなことになっているとは、全く知らない拓斗。


着々とキャラクターを育てていた。。ついに4体目に取り掛かる!!

剣士・魔法使いをそれぞれレベル100とし、転職にて魔剣士レベル1。


「よし!!最後の魔剣士だ!!」


「全力でレベル上げ開始!!!」


剣士と魔法使いそれぞれの特性&魔法・剣術が既に引き継がれている為、この場合の転職キャラクターは1レベルでも既に高ステータスであるため、普通に強い!!


装備は剣でも杖でも良いが、剣を使用すると、剣術と魔法を使用できる!!!


4体目のキャラクター名は「シッカー」と名付けている。


あっという間にレベル100到達。


「やはり、この職は強い!!!」


「なぜ、みんな使わないのか、不思議なくらいだ!!」


現在、彼が狩っている狩場は、雑魚モンスターですらレベル200~500、ボスモンスターはレベル1500のダンジョンだ。装備は刀、鎧ではなく普段着のような動きやすい格好をしている。


魔法は通常、詠唱するが、魔剣士へ至ると無詠唱が可能となる。


このキャラクターは雷属性・水属性・炎属性・聖属性魔法を習得しており、回復もお手の物だ!!

剣術も、刀による領域展開で領域に入ったモンスターを一閃、乱れ切りなど多くの剣術を

習得している。


4体目の最後のキャラクターであるため、より強キャラへ仕上げた。


………そしてついにその時が…


ダンジョンボスへとどめの一撃「これで終わりだ!!!」


「ようやく…魔剣士レベルMax4体作成完了!!!」

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4体目のキャラクター「シッカー」でログインし、クラン創設の申請を出しに冒険者協会へ赴いた。

冒険者協会に入場するなり、周りの冒険者がざわつく…


モブA「あ、あれはもしや噂の…」


モブB「ああ…間違いねぇ…」


モブC「有名クランが血眼になって探しているソロプレイヤーの魔剣士だ!!」


モブD「ん?でもあんな見た目だったか…?」


「シッカー」は冒険者登録をせずに、ダンジョンに潜っていたため、誰も姿を目撃していない。


各クランが探しているのは、多分2体目の魔剣士だろう…


そんなことはどうでもいい。クラン設立の申請をした。冒険者実績がないものの、レベルMaxの魔剣士となれば話は別である。そのためか、直ぐに承認が下りた。


-------------------------------------------------------------

クラン名は「Gladiator Magus」:ラテン語で魔剣士。そのままだ。

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拓斗「よし!ようやく試せる!!あれを!!」


拓斗は胸を躍らせていた。目標を達成し、未知の領域に足を踏み入れることができるのだから!!


キャラクターの称号を「魔剣士の後継者」に設定した!!


すると…システムからメッセージが届いた『クランメンバーに自分が作成した魔剣士を設定しますか?またはプレイヤーを設定しますか?』


拓斗はもちろん前者を選択した。すると、クランメンバーに自分が作成した魔剣士のプレイヤーネームが現れた。「タクト」「ユキ」「お茶漬け」「シッカー」。


クランメンバーに魔剣士が配置されたことにより、自分の中に流れ込んでくる…キャラクターそれぞれの能力やスキルが…どのように操作すればどう動いてくれるか等、主とするキャラクターはクランマスターとなった「シッカー」となるが、他3キャラクターを自由に動かせる。


自身の能力も向上しているからと言って、流石に直ぐには対応出来なかった。


VRゲームにおいての同時操作は、通常のコントローラーゲームとは訳が違うからだ。


拓斗「クランバトルまで何とかなれなければ…!!」


夏休みは終わってしまったが、部活には入っていないため、学校終わりの時間をつぎ込んだ!!


--------------------------------------------

一方、その頃、他のクランでは…


「レオンの闘志」:「なにィィィィィィイイ!!!」「魔剣士が魔剣士のみのクランを設立しただとぉぉ!!」「次回のクランバトルは荒れるぞ…」


「フェーレースのステラ」:「うにゃああああ!!!」「強そうなクランになってしまったにゃ…ライバルになる前に引き入れたかったにゃ…」


強クラン設立の報告に、各々うなされていた…

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そして、、、クランバトル開催日がやってきた。


今回のお題は、より多くのボスモンスターを討伐すること。弱い部類もいれば強い部類もおり、強さによって獲得ptが増える仕組みとなっている。EXモンスターも稀に出現し、このモンスターを倒すと、より多くのptが手に入る。強いボスモンスターを倒すほど、EXモンスターの出現確率も高くなる。


拓斗は流石ゲーマーといったところか、クランバトルに間に合わせてきた!!!


これまでソロプレイヤーだった為、無縁だったクランバトルだからこそ、闘気に満ち溢れていた!!



クランバトルはゲーム内時間で5日間行われる。


拓斗は放課後と土日を返上して、VR世界に熱中していた。

幸い、土日を間に挟んでの5日間だった為、逆転も可能と考えていた。


魔剣士4体を分散させ、感覚を共有させつつ、操作した。

それぞれのキャラクターで高レベルのボスモンスター且つEXモンスターを狩っていく…それはもう無双状態だった。。


初日終了時点で、一位「Gladiator Magus」・二位「レオンの闘志」・三位「フェーレースのステラ」…と上位を獲得している。

ptは一位2530pt・二位2350pt・三位2200ptである。


そして、クランバトル最終日、一位15970pt「Gladiator Magus」・二位13000pt「レオンの闘志」・三位12900pt「フェーレースのステラ」…となった。

見ての通り圧倒的な初陣であった。


その後のイベントでも1位を貫き通し、このゲームにおいての「最強」クランの座を勝ち取った。



だが、他のプレイヤーは知らない…「最強」クランのメンバーを操作しているのが一人の高校生だということに…









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