ドラマチックLOVE
「…ここは?」
「ようやく起きたか」
ベッドの上で目を覚ました俺に声を掛けたのはイヴァンだった。一度、目を手で覆ってから、俺はここが現実だと気づく。嫌な夢だった。あの時の、十年前の、ダンタリオンがルゥたちを殺した日の夢だ。
「目覚めの気分はどうだ?デッド」
「…最悪だな」
イヴァンから水の入ったグラスを貰って、一息で呷るように飲み干した。
そう、あれから十年だ。あっという間だったが、色んなことがあった。
この大陸で初めての国を建てる、それは口で言うほど簡単じゃなかった。人が増えれば増える程、出来ることは増えていくが、それと同じように不満や諍いは増える。竜や神という絶対的強者が消えたことで、種族間での格差、それに差別という物も生まれた。それを抑えるために、多くの規則、法律を作った。それを嫌って、出て行くものも少なくなかった。
それに、多くの機関を作る必要性に駆られた。政府、軍隊、病院、その他諸々、この規模の共同体を円滑に回すために必要な物は思った以上に多かった。
そんな中で、俺は学校という物を立ち上げた。今までの歴史を後世に残すために、今まで一部の集落でしか受けられなかった教育というものをより広く行うことで、人間全体の進歩につながると信じて。
が、今の所、それは理想だ。今は片手で数えられる人物に教えるくらいしかできていない。なにせ、教える人間ってのが俺くらいだ。イヴァン、それに新しく見つけた二人の覚醒者、ゲオルグとレインの三人に、イヴァンの手を借りつつ、何とか教えてる状況だ。決して、順調とは言い難いが、未来に繋がれば。
「昔の、夢を見た」
「ダンタリオンか」
「…ああ」
イヴァンの指摘に少しだけ言い淀んだが、それでも何とか頷くことが出来た。眠る前のことを少しだけ覚えてる。授業が終わってから、酒を開けた。卒業祝いって奴だ。酒を飲んでるうちに、舌が滑らかになって、色々、昔話をした。十年より、更に前のことまで。
「あんた、旦那のことまで話そうとしてたぜ。何とか止めたけどよ」
「悪かったな、イヴァン」
「気にすんなよ。たまには、思い出したくなるさ」
ダンタリオンの一件のすぐ後、ケルビスとカミーラはここを発った。二人は、二人で強くなる道を選んだ。イヴァンとバーンは止めていたみたいだったが、俺は放心して何も出来なかった。時折、フアイを通して便りが届くから、元気にはやっているようだ。
バーンは、俺に怒って出て行った。魔王カインと、七人の英雄たち。そう言う物語を作った俺に、怒りを燃やして、出て行った。当然の報いだ。仲間たちを切り売りした英雄譚で人を招く俺は、救えない屑だと理解しているから、今も痛むこの火傷が、俺の罪だと理解して受け入れている。
そんな中で、イヴァンは残ってくれたのは、ありがたかった。こいつにも、怒られはしたが、それでもこんな俺にまだ付き合ってくれているのには、感謝しかない。
「…なあ、デッド。あんたは、旦那が、帰ってこれると思うか?」
「どうだろう、な」
そんな、イヴァンの問いに、俺は曖昧な返事をする。帰ってきてほしいとは、思ってる。だけど、それは何年後だ?何十年後だ?何百年、何千年、何万年。考えるだけで気が遠くなって、泣きたくなる。大変だった十年を思い返して、果てしない時の長さに絶望したくなる。いつか、あいつが影を取り戻すために帰ってきても、俺たちの方が、変わりきってしまうんじゃないか?カインのように、ダンタリオンのように。
「それで、どうした。残ってた理由があんだろ」
「…ああ、そうだった」
俺は返答に窮した問いから話を変え、そう尋ねた。イヴァンもその意図を理解して、乗ってくれた。
「明日、ここを発つよ。だから、別れを言いに、な」
「…そうか」
意外な話ではなかった。こいつの居場所は、ここじゃないと分かっていたから。
「気を付けろよ」
「ああ、今までありがとな、先生」
だが、もうどこにも同族がいないイヴァンに、居場所という物があるのだろうか。こいつがそう感じられる場所があるのだろうか。
きっと、イヴァンですら分からない問いを口には出来なくて、俺は送り出すしかなかった。最後に、こいつが先生と呼んでくれたのが、何となく嬉しかった。
*
あれから、百年が経った。俺たちの作った国は、俺がジョンの話で思い描いていたイメージに近くなって、ミクト、と言う名前が出来た。俺は国の代表の座から下りて相談役と言う立ち位置になり、ルーガインが竜王という名と共に玉座に座った。
イヴァンが遥か北東に作ったヘイルラという国の話は風の噂に聞いた。あいつはあいつなりに苦戦しつつも、何とか運営できているらしい。
フアイやアイゼンたちが作った大市とは交易という物が始まった。俺たちは食料品や加工品を提供し、あっちからは魔石や神聖宝具を貰う、良い関係になっていると思う。
更に大市の方では、ミクト以外にも交易相手が出来たんだとか。【凍竜】の庇護下にあるスノーエルフたち、【灼竜】の庇護下にある蟲使いと言う不思議な技術を持つ者たち、特に後者の出所は気になるが、まあ人の生きる場所が増えるのは嬉しいことだ。東の方は未だに荒れ果てて、人の住処は散らばっているというしな。
だが、悪いニュースも少なくない。ケルビスとバーンが敵対した。戦いの果て、ケルビスがバーンの火で焼かれて、満身創痍になったと、フアイから聞いた。ストームは壁の内側、神領のどこかで竜巻の中で年がら年中引きこもっている。あいつの記憶を持っている奴らは皆、不安定になってる。ダンタリオンは、今どこで何をやってるんだろう、そう時折考える。考えて、また、酒に溺れる。
「ハジメ、お前、生きてたのか」
「生きてたよ。まあ、殆ど日本に行ってたからね」
そんな中、俺は、百年ぶりに会った彼女を目にして、驚きを隠せなかった。彼女は何でもない風にそう言って、部屋の隅っこにあった椅子を持ってきてそこに座った。
ここは学園の中の俺の私室、学長室。来客を招くことは滅多にないから学長室と言うのは名ばかりで、殆ど俺のラボと化している雑多な部屋を見て、ハジメは懐かしそうに微笑む。
「それで?あいつとは会えたのか?」
「…会えた、って言っても私たちが知ってる彼じゃないけどね」
ということはつまり、世界崩壊を目の当たりにしていない、あっちの世界のジョンってことか。
「正直、見るに堪えなかったよ。あんな、全身に管を刺して、僅かに生かされているだけの、あの子の姿は」
…そう言えば、そうだった、な。ジョンは影の力で死を抑え込んでるだけ。そうじゃなければ、すぐにでも死んでしまう。
「…ま、必要なことはやってきたよ。彼がいずれ、帰ってきても疑われないように。それに、約束は果たせた」
「約束?」
「そ、約束」
それだけ言って、ハジメは口を閉じた。何度も日本に行ってりゃ、そこで関係も出来るんだろう。それについて、俺はこれ以上問うつもりはなかった。
「それより、お前行く当てはあんのか?良けりゃ、ここで教官にでも―」
「悪いけど、お断り。もうここに、タクトくんはいないからね」
「…そうかい」
言い終える前に首を振ったハジメに苦笑しつつ、俺は相槌を打った。ジョンがいないから、か。そりゃそうだ。こいつの理解者であれたのはあいつくらいだ。そして、あいつの理解者だったのも。少しだけ、嫌、胃が沸騰するくらいに、嫉妬を覚える、と言うと、気持ち悪いな。そのぐらい、こいつらは通じ合ってた。
「だけど、そうだな。私の眼鏡に叶う剣士がいれば、見てあげるよ。私の剣を受け継ぐに相応しい子がね」
「…なんだそりゃ」
こいつの眼鏡に叶う剣士、か。そもそも、バーンにしろ、ケルビスにしろ、こいつの眼鏡に叶った訳じゃないし、二人ともこいつの剣を完全に習得した訳じゃない。あいつら、特にバーンは相当な玉であったのにも関わらず。
そんな奴が今後出てくるのかは甚だ疑問ではあったが、まあ願ってやることくらいは出来る。ああ、いつか、ハジメの剣を受け継ぐ人間が生まれてきますように。投げやりに祈って、ハジメはまた旅に出た。また、いつか会えますように。こっちは、誠実に祈った。
*
「なんだ、こりゃ」
五百年。色んな事が変わった。イヴァンが造り上げた帝国ではクーデターが起こりイヴァンはその椅子から引きずり出され、懲りずにまたミュトーラルという国家を立ち上げた。更に南、大陸南東部ではアネリアという国が興った。戦争は活発に起こり、ヘイルラとミュトーラルの争いの中で、更にグランドホルンを初めとした古参の神連中が参戦し、戦火は泥沼化している。排外主義のアネリアでは、ヒューマンとエルフやオーガの他人種が互いに憎みあっている。
下らない、そう言って切り捨ててやりたいくらいだ。どいつもこいつも、俺たちが神の支配を打ち砕いたって言うのに、人間同士で争うなんて、なんて、下らない。怒りで拳に血が滲む程に、腹立たしい。
だが、良いニュースもまあ、なくはない。魔導技術の発展で飢えに苦しむ人間の数は減りつつあるし、魔法を介さない国内の長距離移動だって楽になった。レインとゲオルグをトップとした強固な軍隊は神の侵攻を許さない。
それに、少なくとも、ミクトは他国のいざこざとは無縁で、人種同士の諍いは殆どない。それもこれも、遥か昔から他人種同士の協力が活発だったのが理由だと思うが、今も尚それが続いているのは俺とルーガインが二大巨頭として君臨出来ているからだ。人間とリザードマン、実際のところルーガインはどうにもドラゴンの血が濃いが、種族の違う二人を象徴としているからこそ、他人種を尊重しようという土壌が生まれている、のだと思う。
最も、自国さえ良ければそれでいい、って言うのもアネリアの人種差別に近しい考えではある。だが、どちらにせよ今はまだ、他国の問題に口を出せる程の余裕はない。将来的には問題を解決できるようにしたいところではあるが。
…最近はめっきり、思い出すことが少なくなった。神代の時の記憶、ジョンやダンタリオンといった、かつての友人たちのこと。七英雄という作られた物語が真実だったのではないかと疑ってしまうほどに、かつての記憶は不明瞭になりつつある。
ダンタリオンは、数十年前に死んだと聞いた。アイゼンが、彼を殺害したのだと。アイゼンの行為は当然だ、あいつの事実上の妻、三代目ルゥ・ガルーの目の前で、人狼たちを虐殺したダンタリオンのことを許すことなど出来なかったんだろう。それにしても、良く見つけたものだとは思ったが。そんな他人事の感想を抱いてしまうくらい、俺の記憶は蒙昧になっていた。
それとも、防衛機構だったのかもしれない。ダンタリオンの訃報を聞いた夜、俺は酒を何杯も呷って、それからの一ヶ月は何の仕事も手につかなかった。
心が枯れていく、そんな実感があった。
「…ダン、タリオン?」
「やあ、デッド。久しぶり、元気に、していたかい?」
だから、その顔を見た瞬間、俺はいつかの彼の罪すらも忘れて、ただ、呆然と立ち尽くしていた。
だが、それを差し引いても、理解が出来なかった。俺が本に触れた途端、その中から現れた親友に、俺の頭が硬直した。
「本当に久しぶりだ。君のことを考えなかった日はない。君たちのこと、と言い換えても良いが」
「―動くんじゃねえ!」
俺は咄嗟に銃を構えた。奴がどういう絡繰りで蘇ったのか、どういう絡繰りでラボにいるのか、何も分からない。分からないが、これだけは分かる。こいつはもう、俺の友じゃない。何をするか分からない、危険人物だ。隙を見せたらやられる、俺は最大限に警戒しつつ、様子を見た。
「…そう、そうだ、そうなんだ。もう、耐えられない」
その反応は、予想外だった。ダンタリオンはボロボロ涙を流しながら、その場に崩れ落ちた。演技か?俺を油断させるための、フェイクか?
「僕を、ころしてくれ」
疑いが尽きない中、ダンタリオンはそう言って、首を差し出した。
「…なんで、お前は、ルゥを殺した」
意図が読めない。これが真実なのかも全く見当がつかない。何も分からない中、俺は心の底に積もっていた疑問を、こいつにぶつけた。
「なんで人狼を殺した!なんでイヴァンの国に戦乱を起こした!なんで今更蘇ってきた!なんでお前は、俺を、裏切った!」
感情が高ぶりすぎて、泣きながら、俺は矢継ぎ早に問いただした。自分でも何を言ったか覚えていなかったが、その問いは確かに奴の耳に届いたようで、ダンタリオンはその問いに答え始めた。
「僕は、全ての起こり得る未来を見た。人狼は間引いておかなければ力を持ちすぎて人種間の不和に繋がる。イヴァンが作ったヘイルラをあのまま放置しておけばイヴァンが腐る。僕が蘇ったのは、これからのことを考えれば、一度蘇るのが正解だったから、君の部屋に仕込みをしておいた」
そう言って、ダンタリオンは自らの手に書を生み出した。英雄の書、その機能の一部ってことか。
「そして、裏切った理由、か。そうは思えないだろうけど、僕は裏切ったつもりはないよ。むしろ、ミクトを安定して成長させるために、手を貸したつもりだ」
それはそうなのかもしれない。確かに人種間でのもめごとが常だったら、今ほどミクトは進歩できていなかった。こいつの話を信じれば、だが。
そう思案していると、ダンタリオンはまた、泣き始めた。
「…でも、もう、疲れ果ててしまった。僕が犯してきた罪は数えきれない。もう、ジョンに、顔向けできない」
その泣き顔を見て、いつの間にか、俺は、ダンタリオンに手を伸ばしていた。多分、こいつの言ってることが本当のことだと、俺は理屈じゃなく直感で確信してしまったから。俺は、こいつの助けになりたいと、本気で思ってしまった。
「立てよ、ダンタリオン」
いつまでも握り返してこないダンタリオンにしびれを切らして、俺は言った。まだ、終わっちゃいない。ダンタリオンの犯した罪は取り返しがつかない。だが、これからの未来は、変えられる。この大陸の未来を、ジョンが帰ってくる未来を共に変えてやることなら、できるはずだ。
「俺が、俺が、お前のたった一人の、共犯者になってやるから」
そう言って、俺はダンタリオンの手を握った。かつての親友と共に、地獄に落ちる覚悟を決めて。
*
千年が過ぎた。ジョンは、今年も戻ってこない。最早、あいつの顔も思い出せない。ただ、時折思い出す、あいつとの思い出に、死にたくなるほどの郷愁を感じる。
ここは、随分、進歩したよ。お前が話してくれた、日本と変わらないくらいに。お前が、不自由しないくらいに、便利な世の中になったよ。だから、願わくば、俺たちが事を犯す前に、帰ってきてくれよ。お前に会いたくて、仕方ないんだ。
「おかえりなさい、デッドマン教授」
かつてミュトーラルがあった場所に興った国、マギエからの出張から帰ってきた俺に、そう声を掛ける少女。百体以上の失敗作を重ねた後に、ようやく完成へと至った人口生命体。ボディだけなら数年前から完成できていたが、精神を兼ねる、というのが中々に難儀で、人工知能とはレベルが違った。
「…しかし、不合理にも程があります。今の時代、遠距離通話の手段などいくらでもあるというのに、わざわざ時間をかけて北方まで足を運ぶとは。全く、私の創造主とは思えませんね」
欠点は、このクソみたいなコミュニケーション能力の低さだな。相手がだれであっても、とにかくマウントを取ることしか考えられない、低俗な匿名掲示板ユーザーだってもう少し分別がある。
適度にあしらいつつ、俺は机のPCを起動した。今年度の入学生、特に特待生に認定される生徒の名を確認するために。
「…久しぶりだな、特待生が四人ってのは」
俺はその数を見て驚く。それだけ、この数は多い。
将来的に神領での活動が可能と見込まれる生徒は、特待生に認定される。学業優秀者等にも学費の免除や支援金等の制度はあるが、特待生はそれ以外にも、特別なカリキュラム、特別な講師、特別な指導、そのたぐいまれな才能を伸ばすために必要な物を全て提供している。元々、特待生に認定される生徒は少ないから、無理はない。一年に一人もいないことだって珍しくないんだ。
「ふぅん、誰も彼もパッとしない顔ですね」
「見んなよ…」
溜め息を吐いて、スフィアを追い返す。こいつなら情報を得る手段はごまんとあるが、一応は守秘義務というものがある。
「しかし、ブロンズ・アドヴァルト、か」
その特待生の名前の中に、一つ、気になる名前があった。アネリアの建国に関わった御三家の一つ、アドヴァルト家。最も、その中の一家は既に、ミクトに移住しているが。
その名は、以前からダンタリオンから聞いていた。フアイの肉を食わせるのに、最も適した素体。そして、未来の、ラ・バース復活を止めるために必要な存在の一人。
少し、整理しよう。
まず、ラ・バースの復活は目前に迫っている。ダンタリオン曰く、これは変えられない未来だ。何故なら、幾ら妨害しようと、アネリアの中枢に侵入している【司る者】が軌道修正している。ダンタリオンの手下がスパイとなって復活を遅らせているらしいが、それでも遅らせるのが精々だという。
そして、今後の数十年の間に、フアイが命を落とす可能性が非常に高い。ラ・バースの復活が近づくにあたり、ゲヘナからすら強大な力を持つ神々が生まれていく。フアイは大市の存続に重要な戦力の一人だ。あいつが四方八方をカバーする中で、戦死してしまう、というのが無視できない程に可能性が高いのだ。
最後に、ブロンズ・アドヴァルト。彼は今、尋常じゃない程に苛烈な虐待を受けていた。化者に覚醒させるために。ダンタリオンが裏で手を回し、ギリギリのところでミクトへ留学させることを選ばせたが、心の傷は深く、いつ自殺してもおかしくない精神状態だという。
その二つを解消させるために、将来的にブロンズにフアイを食わせる計画を立てた訳だ。それでフアイの精神は生き続けるし、ブロンズは二つの精神を同時に持つことで、自殺の選択肢を消す。
この計画がクソったれで、人心に欠けてるのは知ってる。そんな覚悟は、人の道から外れる覚悟くらい、俺たちは既に、ずっと前からしてるんだ。この大陸を守るために、ジョンに影を取り戻させるために。
だが、これだけじゃ、きっと足りない。それだけでは、ブロンズが死なない理由を持たせただけだ。生きる希望が足りちゃいない。それに、スフィア。こいつは未だ、不完全だ。俺の後継足りうるためには、人の心を分かってもらわなきゃならない。
「スフィア、お前、友達でも作ってこい」
「え~」
だから、俺はスフィアにそう言った。そして、嫌がるスフィアを無理やり外に放り出した。俺は未来が見える訳じゃない。だから、この指示がどう繋がるか、どういう結果になるのか、分かったもんじゃない。
だから、俺は願うだけだ。この指示が、運命を変える出会いでありますように。そして、どうか。スフィアが幸せに生きられますように、と。
これにて、影の英雄譚は完結となります。最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございます。2025年内に完結したいなあとぼんやり思っていたので、達成できてよかったです。すげえギリギリ。
完結と言いつつ、終わったことの方が少ない気もしますが、過去編と言うことでご容赦頂きたく…
本作も、雷神も、反省することも多いですが、次作につなげていければと思います。
今後としては、
二条院空短編→紫城美月の事件を中心にした長編→ギルフォード学園編→シリーズ完結編
と予定しています。今後もお付き合いいただければ幸いです。




