前へ目次 次へ 22/29 (三)-3 謙吉は鍋の中で対流が始まっている汁を見つめながら言った。 「ああ、あの多麻庁舎のヤツだろ」 「俺の時もそうだったんですけど、申請したいから書類をくれって言っただけで、お前はクズだとかろくでなしにやる金はないだのって言うんですよね」 「なんであんなのが公務員やっていられるんだかな。世の中おかしいよな」 「で、他の人に世間話でその話したら、どうもアイツ、役場のお偉いさんだか、どこかのなんとか法人の偉い人の息子だそうで。コネで入ったらしいんですよ」 (続く)