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6日目の契約

10月分、4つめ

「ステータス見せてもらえる?」

「? どうぞ、ご主人様・・・ん、っん。ご主人のステータス画面から見えるはずです」

 少し落ち着いてきたのかご主人様から様が取れた、一歩前進だな。

 ステータス画面から見えるというのはパーティーを組んでいるからか?

 だとするとパーティータブか。


 パーティー編成をした時のパ-ティータブを開いて、パーティーメンバーとなっているニアの名前をタップする。


『ニア 術師

レベル 55+3=58

HP 115+3=118

MP 225+9=234

攻撃 85+3=88

防御 85+3=88

知性 140+6=146

精神 140+6=146

敏捷 85+3=88

SP 32+3=35

EXP 27110+1743=28853

NEXT 29000


スキル(ー)

収納

鑑定

水魔法(給水 治癒) 2

風魔法(そよ風 風蛇) 2

剣術 1


無尾の狐 0


未収得スキル(+)』


 やはりレベルが高い。

 そして思った通りでスキルの伸びが鈍い。

 レベルが高いと言ってもレベルの上昇は足し算のように強くなり、スキルの上昇は掛け算のように強くなっていくようだ。


 ニアはスキルポイントを貯めているようで、最低限のスキルしかとってないように見える。

 スキルレベルが0なのに表示されている『無尾の狐』を上げるためなのか。

 『無尾の狐』の説明には尾の数だけ魔法を同時に展開できるとあり、育てばぶっ壊れスキルになるだろう。

 究極の形が『九尾の狐』かな。


 剣術や収納、鑑定は1ポイントで取ったとして、2つの魔法はスキルレベルのためにそれぞれ10ポイント。

 『給水』など個別の魔法を習得するためにレベルごとに1ポイントと9ポイントがかかっているはずだから、合計で40は消費しているはず。

 それなのに消費が20で済んでいるように見えるのは名前の横にある『術師』というジョブ? クラス? のおかげだろうか。


 強い、けどとびぬけた強さではないということになるだろう。



『キア 剣士

レベル 59+4=63

HP 237+12=249

MP 119+4=123

攻撃 148+8=156

防御 148+8=156

知性 89+4=93

精神 89+4=93

敏捷 89+4=93

SP 7+4=11

EXP 29368+1743=31111

NEXT 31500


スキル(ー)

剣術(2刀 無刀制限) 3

収納

鑑定


2刀4爪1牙流 0


未収得スキル(+)』


 キアの方は純粋に戦士系。

 剣術が3レベルもあるのにオーク戦で苦戦していたのは、剣術のスキルにある無刀制限のせいだろう。

 スキルの説明には剣を装備しないときに能力制限がかかるということだ、剣を装備していないってことは当然3レベルもある剣術スキルも無駄になる。


 剣術レベル3はかなり強い。剣術レベルは1あればそれなりに動ける。

 護身であればそれで十分だ。

 剣術レベル2からは攻撃力が爆上がりする、体感で10倍、剣術レベル3になれば100倍だ!


 急に100倍になったら不自然だしバカみたいな成長なのだが、レベルをコツコツと上げてスキルポイントを貯めてきた結果だと思えばおかしな成長でもない。

 キアのように剣士のクラスを持っていれば50スキルポイントで到達できる高みなのだろう。


 クラスと言えばニアの術師もそうだったがステータスの数値に偏りが見られる。

 偏りと言ってもおれの無職状態と比べて劣っている部分は1つもなく、完全に上位クラスだ。

 うらやましい。


 剣術のスキルレベルでスキルポイントは使い切っているから、剣術スキルの2刀と無刀制限は固有スキルとかで生まれつき持っていた物なのだろう。

 2刀で消費した分と無刀制限で回収した分で釣り合っているようだ。


 固有スキルで言えばニアの『無尾の狐』のようにキアも持っている。


『2刀4爪1牙流』

 2刀はいいとして4爪は両手両足か? いや、両手は2刀を持ってるだろ?

 1牙は噛みつきだろう、手数はやたら多くなるが防御面が心配になる。

 これだけ手数があれば防御なんか考えずに攻めきれるのかもしれないが・・・

 現状はスキルレベルが0だから『無尾の狐』同様に使うことはできないだろう。


「2人とも強いね、オークに苦戦してたのは怪我をした上にMPがなくなっていたからなのか」

「そうですね、キアのMPが少しでもあればあのようなことにはならなかったのですが」

 出会った時にキアは犬の状態だった、人間の姿を保つのにMPが必要だということか。

 犬の姿では自慢の剣術も見せようがない、剣術がどの程度適応されるかわからないが、剣を失ったとしてもその辺に落ちている木の棒でもあればオークなんか敵じゃないだろう。

 ニアが持っていた短剣を借りてもよかった。


「キアのスキルにMPを消費するようなものはなさそうだけど、人化していると消耗がすごかったりするの?」

「いえ、消耗はそれほどでも。

 うちたちがMPを枯渇していたのはスライムに吸われたからなんです」

「あいつ、ゆるせないゾ」

 2人が野営中に木の上から降ってきたスライムにMPを根こそぎ吸われたそうだ。

 振り払うこともできず物理攻撃も効果が薄いため、MPが枯渇するまで吸われ、そのまま去っていった。

 2人は人化を解かれ、ニアはその時気絶したことで人化をやり直す程度のMPが回復したが、キアは意識を保っていたためにMPを回復することができなかった。

 その後オークとゴブリンの集団に襲われて、おれが助けに入ったわけだ。


 ニアとキアは頭は上げたものの正座して手をついたまま、顔を伏せて目も合わせない。

 まるで処罰を待っているかのように神妙にしている。

 キアはチラチラとニアを見てるから、ニアが納得すればキアも元に戻るだろう。


「ニアはどうしたいの?」

 ただ許すと言ってもニアの方が納得いかなかったら話が進まない。

 おれが得していることはわかったにしても、経験値3レベル分というのは高レベル冒険者、特に成長の壁にぶち当たっているレベル帯のニアたちには金には代えられない、命に等しいほどの報酬だったようだ。

 しかも返還することもできない。


「はっ、まずパーティーの経験値配分をご主人の総取りにしてください。

 そしてうちたちを正式に従魔としていただけないでしょうか?」

 希望を尋ねたおれに、バッと頭を下げるニア。

 床に頭を付けたりはしないが背中が床と平行になる勢いだ。

 隣でキアもお辞儀の角度を合わせる。


「おれの願いを聞いてくれるなら、まず立ってくれるかな。

 そして横に座って昨日みたいにやり方を教えてくれ」

「はいっ」

 キアは素直に横に座って昨日と同じように密着してくる。

 しかしニアはカチカチに緊張したまま体が触れないように気を付けて横に座った。


 寝床に入った時に着替えたのかニアは薄くて柔らかい生地の浴衣、キアはチューブトップとミニスカートに変わっている。

 着替えたというよりは、寝ている時には人化を解いて犬と狐に戻っているのかも。


 言われるままに経験値の配分を変えるが、そこで手が止まる。

「おれの経験値増加をおれが受け取るだけだともとになる経験値はおれの分しか参照しないから、貰える経験値も少なくならないか?」

 出来ればニアたちにも経験値を受け取って欲しいし、今言ったようにパーティーを組む前の状態に戻るのもいやなので総取りはやめるように提案する。


「しかし、うちたちに返せるものがありません」

「ニアたちが強くなればおれにとってもありがたいんだよ、パーティーメンバーだろ?」

 おれの言葉に反対側のキアがぎゅっと抱き着く。


「ふふっ、こんなに良くしてくれるパーティーなんてありませんよ」

 おれの手の甲にポタッと水滴が落ち、泣かせてしまったのかとニアを見るとその時にはもう目に力を入れたニアがいて、むしろ怒っているようにも見えた。


「貸し借りは気にしなくていいよ、一緒に冒険するならおれが2人に命を救われることだってあるだろうし」

 ぎゅっとしがみついたキアがうんうんと首を振るので頭をなでておく。


「レベルが追い付くまでは経験値取得の比率は偏らせてもらうけど、それでも最低限は2人にも入るようにする。

 2人にとっても戦闘のモチベーションが全然変わってくるはずだから」

 そういって経験値取得の比率を100対0対0から80対10対10にずらす。

 ステータス画面の表示は円グラフの中に2等辺三角形が出来ている見た目だ。

 比率が平等な時はこれが正三角形だった。


「これではいつまでたっても恩が返せませんね」

 おれのステータス画面を見て思案顔のニア。

 33%で3レベル上がったから、10%にしても毎日1レベル上がると予想できる。

 ニアたちのレベル帯になると同レベル帯の魔物にもボス級の強い魔物が存在するので安定したレベル上げができない。


 それこそ金には代えられない報酬だということだ。


 高レベルの仲間ができたことで『所有経験値増加』のスキルが急に輝きだした気がする。

 大器晩成というか、ここからさらに効果が増加していくのが楽しみでもあり怖くもある。


 今の時点で毎日8レベルは上がるってことだ。

 はい、バランス崩壊しました。

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