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4日目の後悔

 宿に戻り体を休める。

 クラスメイトから情報を集めたいところだが、プレゼントされたスキルレベルをリセットした奴はいないだろうし、万が一いたとしても結構重要な情報だからホイホイと他の人に話したりしないだろう。


 やるしかない。

 1万ポイント戻るか、1000ポイント戻ってプレゼント分を無駄にするか。

 どの道各種属性の大弱点を抱えたままでは冒険なんてできない。

 採取するのですら街から離れれば魔物との遭遇は免れないだろう。


「ええい」

 スキル画面を開いてスキルリセットを選択。

 対象に『所有経験値増加2』をタップ。


 指が離れない、やり残したことはないか、いっそのことだらだらと時間だけ経過させて経験値の上昇を待つか。

 もうさんざん検討したことが頭の中をぐるぐると回る。


「ええいって言っただろ」

 プレゼント分は最悪あきらめよう。

 1000ポイント戻ってくればペナルティーを全部解消したうえでまだ100ポイント残る。

 クラスメイトからは後れを取ったが、こちらの世界の冒険者よりはアドバンテージがかなりある状態だ。


「ええい」

 2度目の掛け声とともにタップして離す。

 スキルリセットの最終確認ダイアログが浮き上がりそれも「はい」をタップした。


 目を閉じて横たわる。

 確認をしなければ、と薄目を開けて横たわった時に閉じたステータスウインドウを再び開く。


『遊佐 蕗

レベル3

HP13

MP13

攻撃5

防御5

知性5

精神5

敏捷5

SP1ー1+1000=1000

EXP1206

NEXT1500

スキル(+)』


 覚悟はしていたががっくりする。

 戻ってきたスキルポイントは1000、プレゼント分は喪失したということだ。

 それに加えて、その下の項目がおれの失意に追い打ちをかける。


「なんで1日待たなかった!?」

 今日出かけて魔物と戦うわけでもないのだから、所有経験値増加を朝まで残して今日の分の増加分をもらっておけばよかった。


「ばか、おれのばか」

 ペナルティを解消する気力もわかず、寝床に突っ伏した。


 一度起きて食事をとって剣の素振りをしたがスキルを振りなおす気力もわかない。

 スキルの振り分けなんて一番楽しい所なんだけど、ポンコツ行為の後悔でついステータス画面を開くのを避けてしまう。


「ま、まあ大した量じゃないし」

 120くらいの経験値は薬草を摘むだけでも半日あれば稼げる。

 気分はめちゃくちゃ沈んだが実質的な損はその程度のものだ。


 薬草に限らず、ペナルティーさえ解消すれば魔物相手に稼ぐこともできる。

 ひと眠りして汗を流したことで少しは気分も持ち直した。

 もう一回眠れば普段のおれに戻れるだろう。


 翌朝に日課となっていたためステータスの確認をする。


『EXP1206+108=1314』


{ん?」

 なくしたはずの所有経験値増加が発動してる。

 発動するにしても微妙に少ない。


「喪失したところまでの時間分が払われているのか?」

 そんな退職した時に勤務した日にち分の給料が払われるなんてシステムがあるのか?


「なんて律儀な」

 乾いた笑いを漏らしてステータス画面のスキル欄を開く。


『遊佐 蕗

レベル3

HP13

MP13

攻撃5

防御5

知性5

精神5

敏捷5

SP1000

EXP1206+108=1314

NEXT1500


スキル(ー)

火魔法ー3

水魔法ー3

風魔法ー3

土魔法ー3

氷魔法ー3

雷魔法ー3

光魔法ー3

闇魔法ー3


視力強化ー2

聴力強化ー2

味覚強化ー2

触覚強化ー2

嗅覚強化ー2

HP増加ー2

MP増加ー2

MP消費軽減ー2

レベル制限ー2


所有経験値増加2ー1


未収得スキル(+)』


「んあ?」

 なくしたはずの所有経験値増加が残っている?

 しかも変な形で、2-1ってなんだ?


 スキルを触って説明を呼び出す。

『1日に一度所有経験値を10%ー1%増加』

 つまりどういうことだ?

 2レベルの効果が残ったまま1レベルの分が減少している?


「それを捨てるなんてとんでもない、ってこと?」

 スキルにロックがかかっていてリセットによる返却、スキルポイントに代えることを禁じているのだろうか。


「確かに異性からのプレゼントを質屋で換金するような行為ではあるけれど」

 女神先生のこだわりなのだろうか、それともシステム外からの干渉はシステム内から操作できないとか。


「とにかくリセットできてよかった」

 プレゼントされたスキルそのものがロックされていてもおかしくなかった。


 結果としては1万ポイント相当のスキルを維持したまま、ペナルティーを解消するのに十分なスキルポイントを確保できた。

 想定以上、1万ポイントが戻ってくるよりも理想的な形だろう。


 1万ポイントがあったとしてどうする?

 火魔法を4レベルにするか?

 各属性を4レベルにできるだけのスキルポイントはある。


 鉄をも溶かす『着火』が使えたところで攻撃力と防御力のバランスが悪すぎる。

 火魔法4レベル、1000ポイント相当のスキルを使うには1000レベル、とは言わないが100レベル以上の能力値が求められるのではないだろうか。

 MPも足りなくなりそうだし。


 スキルポイントで体力や魔力を上昇させるのも効率が悪い。

 レベルを上げることが一番の戦力上昇になる。

 仮に1万ポイントが戻ったとしても、一番欲しいスキルは『所有経験値増加』だっただろう。


「10%と9%なんて誤差だしな」

 チート続行だ。


 寝転がってステータス画面を見ながら思案する。

 キャラクター作成のやり直し、一番楽しい所だ。


「ペナルティーを全部消してしまいたいけど」

 光属性の大弱点は消す。

 あれは本当に目がつぶれた。

 灯りライトの魔法を女子の誰かが使ったけど、そうでなくても太陽の光の下では視界も制限されるだろう。

 闇属性の大弱点も消したいが昼間に外にいる分には不便というわけではない。


 スキルリセットのおかげで上昇したスキルレベルは元に戻せる。

 だがこれからはペナルティーレベルを上げることはできない。

 スキルポイントの取得として有効だと思ったことはいきなり出鼻をくじかれてしまった訳だが、序盤に敵が使ってこないことは間違ってはいない。

 属性の大弱点が1つごとにスキルポイントが100ポイント稼げるのは痛い目を見た今でも有効だ。


「まず光から、次が闇か」

 この2つは大弱点を持っているだけで目が潰される。

 他の属性は足を取られたり吹き飛ばされたりと、いやではあるが気を付ければ何とかなりそうなペナルティーと感じた。


「それも魔法を使ってくる敵が出るまでだけどな」

 初級の魔法でも即死しかねないので要注意だ。

 低レベルでも攻撃魔法がある火属性は早めに大弱点を消しておいた方がいいだろう。


 ステータス画面をタップして光属性のペナルティーを消していく。

 不意に思いついてスキルレベルをー1から0にするときに+ボタンを連打してみた。


「出来た」

 光魔法の1レベルを取得していた。

 本来であれば火魔法、風魔法、土魔法の3つを2レベルまで上げないと取得できないはずの光魔法だ。

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