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「もうすぐモリン村に着くよ」
ルーカスはエレーナに声をかける。
「うん、ありがとう兄さん」
ルーカスは妹に気を使って度々声をかけている。
エレーナは決して全部が見えないわけではない。
ある程度周りの気配を感じ取ることが出来る。それも魂を見ることが出来るからなのだろう。
例えば手を引いたりせずとも、ルーカスとクロードがエレーナの前後に歩けば、問題なく真っ直ぐ歩く事もできる。
「全く心配しすぎなんだよ。お前は」
クロードがやや気味シスコンのルーカスを呆れた目で見る。
「兄さんの心配性は今に始まったことじゃないから」
言いながらも、エレーナは満更でもなさそうだ。
兄が兄なら、妹も似たようなものだ。
「そんなことより、村に着いたな」
話の方向が変になりそうだったので誤魔化すかのように、
ルーカスが話題を変える。
「クロード、買い物に行ってくれるか?俺は宿の確保をする」
ルーカスは、財布と先ほどモンスターから採った魔石を渡す。
「了解だ、こっちは任せてくれ」
商品の目利きや、魔石の買取の交渉等はしっかり者のクロードに任せた方が安心だ。
クロードと一旦別れ、ルーカスとエレーナは宿を何件か見て回る。
王都とその他の村との交易の中継地点となる、モリン村は
とても栄えていて、大通りの道などは馬車がすれ違い出来るぐらい広くて、人通りも多い。
当然、宿も色んな宿がある。
例えば、いかにも貴族が利用しそうな高級な宿。
自分たちの様な一般人が利用しやすい安い宿。
見た目がやたらと派手で、何故か男女のカップルらしき人たちが出入りしてる宿まで。
「うーん、悩むなぁ。どこにしようか」
エレーナの希望を聞くルーカス。
「そうだね。私はそこまで贅沢は求めないから、ある程度清潔で安いところならいいよ」
「わかった。じゃあ3件目にしようか。」
歩き回って10件くらい見たが、そこが一番値段がリーズナブルで中の清掃も行き届いてたと思う。
宿屋アンデンベリに到着。
「いらっしゃいませ」
物腰の穏やかな老紳士が丁寧な姿勢で迎える。
「3人で1泊お願いします」
「かしこまりました。お食事はいかがしますか?」
「うーん」
ルーカスは少し悩む。
「折角、旅をしてるから宿の食事食べてみたいな」
エレーナは悩む兄を後押しする。
「わかった、それじゃあ食事もお願いします」
「承知しました、本日19時と明日朝7時に食堂にいらしてください。お食事はその時間からお出ししております。それではごゆっくり」
「ありがとうございます」
終始丁寧な対応をしてくれた老紳士に、お礼を言い部屋に向かう。
「よし、じゃあクロードを迎いにいってくるよ」
「いってらっしゃい」
ルーカスはエレーナに手を振り、部屋を出た。




