4話 私のカウントダウン 始まる
朝の会、退屈な、先生の話を聞き流していたら、服担任の伊東先生が我らが担任、酒井先生を、かなり慌てた感じで呼びに来た。普段落ち着いた雰囲気の酒井先生が慌てているのだ。これは何かしらあったのだろう。酒井先生は、1時間目の準備をしろと言い残して教室を出ていった。1時間目...ああ、体育だ。一気にテンションが落ちてげんなりする。仲のいい紗菜につれられ嫌々体育館へ向かう。紗菜はいつも元気でうらやましい。準備体操をするときに酒井先生が自転車でどこか行くのが見えた。そしてよそ見をするなと怒られた。そして二時間目は自習だった。
三時間目、先生が例文を言っているが全く頭に入って来ない。だってさすがにおかしい。誠が全然来ない。どうしたんだろう。はっきり言って、あいつが5分10分遅刻するのはいつものことだが、こんなに大遅刻はしない。四時間目になっても誠は来ない。給食にいたっては誠も酒井先生もこなかった。
昼休み、件の紗菜に相談してみた。
「ねぇ紗菜。誠、風邪でも引いたのかな?」
「んじゃない?」
「大丈夫かな?」
「もう。美鳥、心配しすぎだよ。インフルエンザの季節でもないし、2、3日したらまたくるよ。」
「まぁ、そうだよね」
「それとも何かしら心配する理由があるの?」
「いやいやいやいや、そんなのないって」
本当はあるなんてそんなこと言えない。
帰りの会も、酒井先生はいなかった。どうしたんだろう。いつもは誠と帰るのだけど、今日は一人だ。今日はなにかと上の空だった気がする。そんなことを考えながら、あいつのいない帰り道を歩いた。
家に帰ってもやっぱり私は上の空だった。帰宅して、制服を脱いで、普段着に着替えて、宿題を前にしていたら、いつの間にか8時を過ぎていた。
我が家に母はいない。私が小さい頃に居なくなった、と言うことだけ父から聞いたことがある。「居なくなった」が何を指すのかを私は知らない。でもそんなこと、今の私にはどうでもいい。私の感覚を理解できる人はそう多くは居ないと思うけれど、中学3年の私にとって、父親との二人暮らしというのは、いろいろと気を使うものだ。それに加えて家事の大半は、自分でせねばならない。受験を控え、今後一層勉強に励まなければならない自分にとって、負担は決して軽くない。そんな理由で母が欲しいとは思うけれど、将来の為と思って頑張ってくれと父親に言われては仕方ない。家事の時は、いつもこんなことを考えている。でも私にはまだなんとか救いがある。誠の存在だ。あんなに優しくて、カッコいい人は、この世にいるのだろうか。彼のためだと思って今日も私は生きている。いや、今日も私は彼に生かされている。
やっと小説っぽくなってきました(^-^)v
次回は本日(2020,5,13)21時に投稿する予定です。待っててね?




