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カウントダウンとストップウォッチ(旧ver)  作者: wacca
四章 サクラサク
13/29

1話 交差点

 真新しい制服に袖を通す。いつもと反対側に歩き出す。はじめて持った定期を改札に通す。いつもと違うことだらけだ。それでも変わらないのが私の気持ちだ。今日も頭の中は誠でいっぱいだ。電車が来る。現実に引き戻される。押されるように社内に入る。これから毎日これか。早々に嫌になってきた。私が進学した学校。それは県立梓野高校だ。それは私の最寄り駅から東京方面に三十分も電車に乗らなければならず、毎日満員電車に乗られる日が続くのだ。ああ嫌だ。はやく着かないかな。こうして私の高校生活最初の日は、嫌にまみれながら始まっただった。

 今年は記録的な寒さだったからか桜の開花が例年より一週間も遅くなった。ということで、満開の桜の下の入学式になった。私が学校に着いたのは、結構ギリギリな時間だったが無事間に合うことができ、入学式も無事終わった。今日はこれだけで終わりだ。担任の(やしろ) (しん)先生が言う。

「入学おめでとう。担任の社進だ。これからよろしく。えぇ今日はこれで解散となるが、書類関係を忘れずに持って帰りなさい。それと、校則の冊子もあるからよく読んでおくように。ああ、あと明日自己紹介もしてもらうからそのつもりで。それでは、気を付けて帰りなさい。じゃあまた明日。さようなら。」

「さようなら」

朝とは違って、空気輸送の電車に乗る。校則の冊子を開く。ああそうか、スマホの持ち込みはOKなんだ。これは幸運だ。そのあとはボーッとしていた。そしたら危うく乗り過ごしそうになった。

 次の日、おはようを言う相手の居ない教室に入る。10分して担任の社先生が入って来る。退屈な話をこれまた五分。やっと終わったと思ったら自己紹介の時間になってしまった。8番目位に順番が回ってくる。

「私の名前は...」

英語を訳したような、ありきたりな文章を並べて早々に終わらせた。一応他の人の話に耳を傾けつつ、ボーッとしていた。

「はじめまして。御厨 友士です。」

突如、私は混乱に陥る。あまりにも似ている。あまりにも。そう、碧海 誠に。世の中に、自分のそっくりさんは、三人いるという。こんなにも上手く誠のドッペルゲンガーは現れるのだろうか。

 その夜、夢を見た。誠がいる。声をかけようとする。誠が遠退いていく。私はたまらず追いかける。誠が遠退いていく。私は追いかける。誠が...いつの間にか現れた木の下に、御厨くんが座っていた。

「ねえ、誠見なかった。」

「知らないぜ。」

「今ここ通って行ったと思うんだけど。」

「見てねーよ」

私はまた走り出す。服が、ぐっと引っ張られた。振り替えると...目が覚めた。ああ、変な夢を見た。考えてみれば、御厨くんが、誠を知っているはずはないし、そもそも私自身、御厨くんと話したこともない。時計を見ると8時を過ぎていた。電話をする。私は入学式から3日目にして高校を休んだ。

 次の日。満員電車、ああもう嫌だ。しかし今日は目的がある。そう、御厨くんに話しかけてみることだ。でもどう話しかければいいのだろう。中学時代、陰キャを貫いてきた私にとって、初対面の人、特に男性に自分から話しかけるのは、ハードルが高い。どうすれば...結局その日、私は話しかけることが出来なかった。次の日も、その次の日も。そのままなんと2ヶ月が過ぎてしまった。一応友達はできた。すぐ後ろの席の成谷 さくらさん。え、一人だけ?無論、一人だけである。でも仲が良いから別にいい。

「美鳥ちゃん。駅まで一緒に行かない?」

「いいよ。一緒に帰ろう。」

こんな具合に仲良くしてもらっている。駅まで一緒に行くだけなく、この前は、ショッピングにも行った。とりあえず、友達のことは安心だ。それとは対照的に誠の方は何にも進展がない。先述のとおり、御厨くんには話しかけられないし、誠はいまだに目を覚まさない。きっかけがないのだ。それによくよく考えてみれば私はほぼ初対面のひとに、彼氏に似ているから話してみたいと思って居るのだ。最近は話しかけようと思うだけで緊張してくる。どきどきする。気づけば御厨くんの挙動を見ている自分が居る。私は気がつかなかった。もうすぐ”交差点”に差し掛かることに。

今日もお読み頂きありがとうございました。次回は明日2020,5,18の朝9:00に投稿予定。首をながーくしてお待ちください(^^)。30cmくらいは伸びるかな?

                    wacca

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