1話 学習
考えてみればそろそろ受験校を決めなければならない。公立の偏差値の低い学校にしか行けないのは分かりっきている。私立高校なんて高嶺の花だ。世間一般の家庭だって、父親の稼ぎに母親がパートで稼いで、それでもなんとか公立の高校を目指すのだ。こんな父子家庭にそんな余裕はない。その父親だって、私のために仕事を持ち帰って来る...つまり残業がしにくいので、もちろん手当ては少ない。そうすると県立梓野高校位しか選択肢はない。あまりにも偏差値の低い高校にいくと、不良が多そうで嫌なのである。まぁ、一応それなりの勉強はしているつもりではあるので梓野高校を目指すことになるだろう。
父が休みをとって参加した三者面談。予想どうり梓野高校で決定となった。本当なら、本当ならこれから受験に向けてより一層の勉強に励むべきなのだろう。しかし...方程式を解けば彼が出てくる。漢字を復習すれば誠の文字を探してしまう。ああ、彼が、頭から離れない。受験に受かるより、彼のことが今の私には重要だ。我慢できなくなってスマホを手に取る。彼の家にかけてみる。
「こんにちは、碧海君の...友達の咲湯波美鳥ともうします。」
もちろん電話に出るのは彼の母親だ。
「ああ、美鳥ちゃん。いつも仲良くしてくれてありがとうね。」
「あの。差し支えなければ、誠くんの容態を知りたいのですが...」
「誠ねぇ。もう半年も意識がもどらないのよ。」
「そうですか...」
「美鳥ちゃん。大丈夫よ。幸い怪我もほとんどしてないし、意識はないけど容態は安定しているから。」
「もし意識が...戻ったら、連絡...していただけますか。」
「えぇもちろんいいわよ。」
「ありがとうございます。それではそろそろ失礼します。」
「はいはい。わざわざありがとうね。」
複雑。嬉しいのか、悲しいのか、それとも...
そうだ。単語の書き取りだ。さあ、始めよう。”wait” この単語を、私は忘れることはないだろう。
今回から第三章!いつもありがとうございます!
次回は本日2020,5,17PM9時に投稿予定です。
寝る前に少しだけ、きゅんとしませんか?(-.-)Zzz・・・・
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