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2.少女名前を得る

 女?なにいってんだ、、、?


「あ?なんでそんな顔するんだ?」

 俺のセリフだ、、俺がおかしいの?

 小柄な誘拐犯Aは疑いの目でこっちを見る。

 なんだこいつ疑惑の目で見やがって。男に決まってんだろ。男だよな、、、、?


 少し気になって股間に手を伸ばし触ってみる。


「おい!さっさとしろ!」


 大きな声で後ろの大柄な誘拐犯Bが叫ぶ。

「なんだよ!大きい声出すな!お前の大声を聞くと耳が痛くなるんだよ!」

 Aは振り返って反応する。


「何って。おい。何をたらたらしゃべってんだ。早く連れて行くぞ。てかなんで手を引っ張るんだ。担げよ」


「いや、重いだろ。女だからって。俺には担げなんだよ!、お前なら担げるかもしれないけど。お前今日は黙ってみてるだけなんだろ?なら俺はこうするしかねぇんだよ!。なんだよ仕事量は半分にしようって俺はお前みてぇに体がデカくねぇんだよ。今日は休めばいいだけだろ。そんな毎日毎日人さらいなんてするもんじゃねぇんだよ!疲れたってお前毎日やってるからだろうが!」


「そうしねぇと生活ができないだろうが!いつもいつもお前は見てるだけで、、おればっかだ!くそ!昔からの誼みだからお前と組んだけどなぁ、、」


「生活できてるだろうが!じゃあ俺が悪いってことか。すまねぇなぁ!こんなヒョロイやつがお前みたいなでかいやつと組ませてもらってなぁ!幸せですよ!」


「なんだその態度は!てめぇが路頭に迷っていたのを俺が救ったんじゃねぇか!」


「勘違いするな!てめぇが路頭に迷ってたんだろうが!それを俺が誘ったんだよ!奴隷商人のおっさんとのつながりを作ったのも俺だ!てめぇは俺についてきただけだろうが!」

「あ?なんだてめぇ。やんのか」


 Bが指を鳴らしながらAに近づいていく。

 Aは少し後退りしながらも負けてたまるかと顔を上げガンつける。


 Aの額に冷や汗が浮き出す。Bは頭に血が昇っているが、勝てる喧嘩に興奮し口角が上がる。


「おい!女の子を囲んで何をやっているんだ!」


 突然横から大きな声で怒鳴られる。二人はそちらのほうに顔を向けると金髪でBより身長の高い男が二人の目に入った。Bは少し驚きながらもその男を睨み付けながら「なんだてめぇ。」と威嚇する。


「なんだてめぇ。とは何だ!」

 胸を張り二人に対して指をさす金髪。

「あ?お前ほんと何なんだ?なんでそんな格好したやつがこんなくそみてぇな場所にいるんだ?まぁいいわ。今こいつと喧嘩するからそこでちょっと待ってろ。こいつ殺してからお前の話を聞いてやる。」


 再びAとBはお互いに睨む。


「ふざけているのか!?喧嘩なんてさせるわけないだろ!お前たちは仲間じゃないのか!なら私はその額から尋常じゃないぐらい汗が出ている小さい君を助ける!」


 Aは表情を変えず

「そうしてくれるとありがたいが、これはこいつと俺の喧嘩だ。そこで黙ってみてろ。」

 ちょっとカッコつけてAとBはもう一度顔を合わせる。

「だからそんなこと...」


「「うるさい!」」


 AとBは同時に叫ぶ。金髪はたじろいだがもう一度気合を入れなおして

「じゃあそこにいる女の子はどうする気だ!」

「気にするな」

 BはAの目を離さず答える。

「いい。持ってけ」

 AはBの目を離さず答える。

「あ?この女は金になるんだぞ。お前をぶっころした後おっさんのとこにもっていくんだよ。」

「もういいだろ金はもうたまってんだよ。金をそんなにためてどうすんだよ。」

「もういい。死ね」

 この言葉をきっかけに二人は思考がぶっ飛び獣のようにお互いになぐりかかる。


 金髪は茫然としていた。しかし、すぐに自分を呼び戻し女の子を助けようと喧嘩している横をそっと通りすぎぼーっとしている女の子を脇にかかえ静かに町の中心の方へ逃走した。喧嘩している二人は女が逃げたことを気づかず殴りあっていた。




 金髪は町の中心の公園に着いた。


 金髪は少女をベンチに座らせ少女の正面にしゃがみ顔をみると表情はなく焦点が合っていない。


「大丈夫?」

 心配そうに話しかける。すると焦点が合いガレンは少女と目が合った。

「....せん」

「え?」

「す...せん」

「なに?」

「すみま...せん。

「あ、ありがとうございます....助けてくれて....玉なしなのに....」

「玉なし?あーうん。いいよ。もともと君を追いかけてきた結果だからそんなに気にしなくていいよ。」

 微笑んでいると少女は突然立ちあがりベンチの横で額と両膝を地面につけて丸くなってしまった。


「ど、どうしたの?どこか痛い?」

 ガレンも片膝をつき丸くなってしまった少女にすこし困惑しながらも心配してみる。


「どこも痛くありません。それよりもすみません。お願いがあります。今俺いや私には身寄りもお金も何もありせん。ですから私はこれ以上何もしなければこのまま飢え死んでしまいます。どうかもしよければ助けてはいただきませんか。家事でも手伝いでも仕事でも何でもします。ですからどうか。」

 涙声だがはっきりとした口調で懇願し額を地面にめり込ませる。


「ちょっと大丈夫!?おでこ痛そうだけど!う、うん。一応は分かったけど。実は僕この町の人間ではないんだ。ここにはちょっと仕事で来てるだけでもうあと一週間でここを出なくてはいけないんだよ。困ったなぁ。あ!でも宿を借りてるからその宿でよければ一週間だけだけど泊めさせてあげるけどどうする?」


 少女は涙目になっている顔を上げガレンの手を強く包み込み

「一週間もいいんですか?!ありがとうございます!」

 少女はガレンに対し笑顔で反応した。


「おぉそんなに喜んでくれるの?なんかうれしいなぁ。じゃあ立とう。大丈夫?」

 金髪は中腰になり手を差し伸べると少女は「はい。」と答えその手を頼りに力なく立ち上がる。


「そういや名前を聞いてなかったね。僕の名前はフィージャー・ガレン。君の名前を教えてくれるかな?」


「えーと、、、、すみません。私はもう名前を捨てました、、、。以前はありましたが、もう前の自分とは物理的に違いますから、、、。」

 少女はうつむいて話す。


「え?物理的?それって君が召喚されてきたことと関係ある?」


「召喚、、、、、?召喚!?召喚ってどういうことですか?!」

 少女は再び顔を上げ目を見開き驚いた表情でガレンを見つめる。


「え?君召喚されてきたじゃないか。この町の大通りに急に召喚魔法の魔法陣が発現してから結構たった後君が召喚されてきたんじゃないか。」


「……そんな……。召喚ってことは…召喚者がいるってこと…か」

 少女は黙り込み考えている。


「召喚されているんだから召喚者はいるだろうね。実を言うと君にそのことについて聞きたくて追いかけてきたんだけどその様子だと知らないようだね。」


「そうだったんですか、、、。その、、、召喚魔法って一体どういうものなんですか?」


「えーと。召喚っていうのは発動しても魔法陣完成まで時間がかかるぐらい高度な魔法なんだ。普通は魔獣とか精霊を召喚するけど人間の召喚なんて相当な魔法使いか高位の魔術師じゃなければできないことなんだけどそんな召喚者きいたことないしな、、、、。転移なら納得なんだけどあれは確かに召喚だし。一体君は何者だい?」


 少女は悩みながら喉から絞り出すように話し始めた。

「私は、、、、すみません、、、わかりません。わからなくなってしまいました。まえは確かなものだと信じていたものがありましたが、それは本当に確かで現実で起きたものなのかわかりません。今この景色には実感が持てるのですが、前の記憶には実感が持てません。すみません意味わかりませんよね。」

 少女は再び落ち込み始めた。


「んー多分今は混乱しているんだよ。いきなり召喚させられてあんな男たちに囲まれたら混乱するに決まってるよ。だから少し落ち着こ?宿で少し休めば考えもまとめられるよ。」

 ガレンは少女を安心させるよう背中をさする。


「ありがとうございます。そ、それで名前なんですけど、、、お願いします。名前をつけてはもらえませんか?ガレンさんなら付けていただいても大丈夫だと思います。」

 少女はガレンに目を向ける。


「えぇ名前って、、、捨てたのは理解するけど、僕が君に名前をつけるなんて、、、ちょっとそれは無理かなぁ。僕そこまで責任取れないよ。まだ君と会ってそこまで時間かかってないからね、、、。」


 ガレンは目を背け少女の願いを拒否したが、少女は諦めることなく

「で、でも一週間泊めてくれるんですよね。何か呼び名を決めないと「君」だけじゃ不便ですよ」

「そうだけど、、、。不便だけど、、、。僕からは無理だよ。僕そんなに偉い人じゃないよ、、、、。」

 落ち込んでいたはずの少女は高身長金髪に詰め寄っていた。


「不便ですよ。」

「うん、、、。不便、、、だね。」

「そうですよね」

「でも、、、」

 詰め寄る少女

「なぜそんなに、、、」

「ガレンさんだからです。」

「え、、?えぇ、、そこまで、、君がいいならいいけど後悔しないでよね。」

「はい」

「本当に、、、?いいの?つけちゃうよ?」


 ソーアンは真剣にガレンの顔を見つめ無言で訴える。そんな顔を見てガレンはなぜか追い詰められている感覚になり、断れなくなってしまった。

 ガレンは頭を抱えて考えだす。そして少し経った後悩むように

「じゃ、じゃあソーアンっていうのはどうかな?魔法の言葉で召喚って今意味なんだけど、、、。」


「そのまんまですか。一応はそれでいいです。」

 少女は何も表情を変えずに名前を受け取る。


「君がいいならいいけど。あ、あと全然軽い口調で話してもらって構わないからね。ガレンでもいいよ。だってずっと敬語じゃ疲れてしまうだろ?しかも、君みたいな子にずっと敬語で話されるのも、、、、ちょっとね、、、」


「ちょっと待ってください。君みたいな子って確かに見た目女の子ですけど私21ですから他人から見られても大丈夫だと思いますけど」


 ソーアンが真顔で話すと驚いた表情するガレン。


「21?!えぇ、、どう見ても14、15歳ぐらいにしか見えない、、、」

「14、15?!私そんなに幼く見えます?」

「え?うん。その見た目で21はありえないでしょ。ていうかそんなわけないでしょ。逆鯖読みにも程度はあるよ。」


 あ、こいつ信じてない。


「いや、ほんとですって。見た目はそうだったとしても中身は21歳ですよ?」

「そんなことありえるかい?僕が人間を召喚するんだったら死なない確率を下げるために成熟した体で召喚するでしょ。幼い体で召喚する意味がないでしょ。なんの目的にしたって」


 え?それはそうなのか?確かに幼体のゴブリンを召喚したって意味ないかもしれない、、、


「そ、それはそうかもしれないですけど、、、。」


「そうでしょう?君はその体のまま召喚されたんだよ。召喚された時に姿を変えるなんて召喚魔法の粋を超えている。」

「それは知らないですけど、、、、だって事実だからホントのことだから、、、」

 ソーアンはだんだん自分が21歳っていうことに自信をなくしていく。

「わかった。わかった。21歳ね。」

 ガレンは全てを察した顔で子供をあやすように微笑む。


 やめてくれ、、、そんな顔しないでくれ、、、


「いや、ほんとだって!!」

「うん。うん。」

「ほんとだよ?」

「わかってる。わかってる。」


 だからその顔やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!









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