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敬愛冬童話参加作品

少年探偵団が冬の女王を連れ出すまで

作者: 敬愛

 物語には何かしらの意味と理由がある。

 それを解明するのが僕等少年探偵団だ。

 団と言っても三人しかいないんだけどね。


 まずリーダーの僕 真光真まひかりまこと。天才である。自称だが。

 団員に好かれていてリーダーだ。


 そして創価優輝そうかゆうき。発達障害と軽度の精神障害をもっているが、霊能力者の家系で探査ネットという一定範囲内の無機物・有機物に関わらず存在が確認できそのどちらなのかまで分かる特殊能力がある。性格は大人しいが、怒ると家に帰る癖がある。


 もう一人は真言遥しんごんはるか。太っている。その割には繊細な心の持ち主で少女漫画が好き。女性と間違われる名前をコンプレックスとしている。優輝とは分裂気質と循環気質で馬が合うらしく仲が良い。


 その日はポカポカしていて三人で登山でもしようと言う話になった。大して高くない山だ。しかし中腹辺りで突然夏なのに雪が降り出してきた。視界が悪く何時の間にか三人はバラバラになってしまった。


 「ふー寒いな。意識が飛びそうだ」みんなそう思っていた。何故夏なのに急に雪が降り出したのか。正常な現象では無い。優輝はネットを発動させた。動いていない生命体が二件発見された。おそらく真と遥だろう。その他にネットの網にはかからない無機物がある。それは塔であった。


 しばらくして真と遥と合流できた。そして優輝は「なぁ面白そうな物見つけたんだ。こんな山の中に塔なんてあったか?」


 「知らないな……」 二人は言った。とりあえず中に入ってみようと思い優輝は好奇心剥き出しで塔へ目掛けて歩き出した。


 ギギギと門を開けた瞬間、三人は空気の渦に巻かれグルングルン。天も地も分からなくなっていた。

 気付いた時には全く違う異世界に飛ばされていたのであった。


 三人はまたバラバラになってしまった。しかしみんなただ塔の中で迷っているだけなのだが。

 「助けてー」という声が真に聴こえた。そこには水着のお姉さんが立っていた。真を見つけるとブルブル震えながら「王様が遣わした救世主とは貴方ね?」と言われた。なんのこっちゃ……。


 私は夏の女王キャメルです。この世界は私達が季節を統括しているのですが、冬の女王が塔の最上階の部屋から出てこないので春が来ないのです、ああ寒い。

 「服を着たらいかがですか?」真は聞いた。

 すると女王は「私達はこの国の人々の楽しみを体現する役割があるのです。夏と言えば海水浴でしょ」と言った。

 どこにも海なんて無さそうだが、何処かにはあるのだろう。真はそれは大変ですね、僕たちは少年探偵団。どんな問題でも解決しましょう、と啖呵を切ったはいいが、とりあえず頬を抓る。夢じゃないな。困った。


 遥は秋の女王と出会ったようだ。秋の女王ライアは「今年は秋が短かったわ。全部冬の女王のせい。あら貴方太っているわね?秋が好きなの?」

 遥は言った。「この世界では知りませんが、僕等の世界では秋は食欲の秋と言われていて食べ物が凄く美味しいんですよ。食べなきゃ死んでしまいますから」


 「あら、カワイイ子だ事。貴方の様に熱い男なら冬の女王も諦めて春の女王に交代するかもしれないわね」


 冬の女王は何故出てこないのですかと遥は聞いた。秋の女王は言った。「冬の女王は自分が皆に嫌われていると思い込んでいるの。だから外に出るのが怖くて仕方がないのでしょう。引き篭もり、と言うのかしら」


 「そうなんですか、それは一種の精神疾患だと僕等の居た日本ではとらえられています。治療しないと」

 「そう言われても私達には稀な現象過ぎて解決策が思いつかないわ」


 「大丈夫です。恋を知らないのでしょう。僕等は少年探偵団。どんな問題でも解決しましょう」と啖呵を切ったはいいが、とりあえず頬を抓る。夢じゃないな。困った。


 その頃優輝は冬の女王パステルとお話をしていた。「貴方も変わった人ですわね」「僕も引き篭もりなんですよ、ゲームが大好きなんです。パステルは「私も一人遊びが好きなの。人と会うのは億劫で仕方ないわ。でも貴方の様なカワイイ男の子見た事無いわ。ずっとここにいてね」「僕も貴方の様に美しい人に会った事がありません」優輝はちょっとドキドキしながら異世界に来て自分と趣味や性格の合う人がいるとは思ってなかったので嬉しく思った。その時パステルは「何か人の気配が貴方以外にもするわ。邪魔ね」「ちょっと待って下さい……ネット!動いている者達が四人居ます」優輝は言った。「あら、まぁ他の女王達ね、私達がイチャコラしてるのが気に入らないのよきっと」被害妄想である。


 その頃春の女王スベリアは悲しみに暮れていた。パステルとは仲良しだったのにあの子が私まで遠ざけて引き篭もりになってしまうなんて…… どうしたらいいのかしら?お花が大好きな彼女に花を贈りたくてもこの寒さでは花なんて咲きません。「パステルは男嫌いだからな。燃える様な恋でもすれば……」スベリアは女王の中でも年長で、そろそろ動きだそうと思ってはいるのですが、一人ではパステルの心を開けそうもありません。


 「あらスベリアまた泣いて居るの?」キャメルとライアがスベリアを見つけ声をかけて来た。スベリアは「寒さが辛くて。パステルは春が嫌いなのかしら。あらその男の子達は?」キャメルとライアは「私達の恋人よ」と冗談めかして言った。真と遥は嘘でも美しい女王様に恋人などと言われてはしゃいでいた。


 「とにかくこのままではいけません。全てが死に絶えてしまいます」スベリアが言った。ライアは「貴方もパステルと似て暗い性格よね、恋人でも作ったら?」「冗談はいいわ。こうなったら強行突破よ。無理にでもパステルを引っ張り出しましょう」


 パステルはこの世の春を謳歌していた……冬なのに。可愛い年下で趣味の合う男の子なんて二度と現れないと思っていたから。でも親友のスベリアの事が気になっていた。「あの子も私と似て引っ込み思案なのよね。このまま冬が続いたら悲しむかも……」

 

 ねぇ優輝私と恋人に……


 その時無理矢理連れて来られた春の女王スベリアを連れて女王達は扉を強引に開け叫んだ。「お前が原因かー!」ビビるパステルと優輝。

 

 「何よ貴方達私達がイチャコラしてるのが気に入らないんでしょ、楽しそうなのが羨ましいんでしょ。何よ、私の好きな気持ちを邪魔させないわよ!」パステルはヒステリックに叫ぶ。

 

 全くとあきれた様子の春の女王スベリアはため息を吐きながら「分かりました。分かりましたよ!それでいいから。早く部屋を出て頂戴。春が来なくて国民が困っているの。王様からのお布れも出ています。ボーイフレンドも出来たみたいだし私達友達でしょ。」パステルは「ええ、友達よずっとね。だから私は我が儘を言います。この少年と結婚させてくれたら交代するわ」「仕方ないわねぇ。私より先に恋人が出来て私も自分の事の様に嬉しいけれど」

 

 優輝は美人な冬の女王と生涯愛し合う事を誓った。パステルは「少年探偵団さん、来年の冬も来て下さいね。引き篭もりは中々治りませんから」と言った


 真は言った「女王でも病気になるんだな、な遥」「そうみたいだね」「少年探偵団異世界の難題を解くか……カッコいいな」


 そして無事、春が訪れ王様に謁見出来た。願いは一つしかないだろう……「元の国に返して下さーい」

 優輝の父母に事情を説明するのに丸三日を要した。真と遥は「いやあ凄い冒険だったね」とお互い頷き合い何か日常がつまらなく感じていたが、すぐに元の世界の気楽さに慣れ少年探偵団は自然消滅した。

 

 


 

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