押し出すように
どうして、わたしはここにいるんだろう。
目が覚めた思ったことは、それだけだった。
わたしには夢があった。
歌手になるという夢だ。
それがなぜ、いつもの家でまた目を覚まして、やることがないことにホッとしているんだろうか。
私の求めた自由とは、なにもしないことであったか。
そんなことすら見失って、はや五年。
わたしの心の中には、すっかり藻が生え、身動きをとるにも、やっとだった。
なくしてはいけないものを、わたしはなくしてしまったのだ。
どうか、あなたにはそうなってほしくない。
だから、わたしは言葉をつづるのだろう。
なにかをくいとめるために。
わたしの心を海にさらそう。