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遥か高みへ至る者  作者: 英明孔平
第一章 
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第三十七話 これから

「え……王女殿下……?」

「はい、お久しぶり……と言いたいですが、今朝まで寝ていたので、あまり実感はわきませんね」


 開かれた扉を掴んでいるのは、王女殿下その人だった。


「だ、大丈夫なんですか?」

「元々、エルーシャとマサヤ様に比べれば、そこまで深い傷というわけでもなかったので、治療の魔道具ですでに傷は塞がっていましたから」


 治療用の魔道具は、例え傷が深くとも死んでさえいなければ治すことが出来る。

 ただその代り、相当高価で余り作られていないらしく数が少ない。さらに消費魔力が、他の魔道具と比べると段違いであり、使用も医術の知識が必要らしく、おいそれとは扱えないもののようだ。


 俺とエルーシャはある程度は治してもらっているが、お姫さまに魔力を渡していたこともあり、医療関係の方々が軒並み魔力切れを起こしそうだったので、残りは通常の治療に任せることになった。


「パトリック卿と叔父様にご無理を聞いてくださって、マサヤ様のお加減を、その、お伺いに……」


 お姫さまは、先ほどまでカインズさんの座っていた椅子に座り、顔を伏せる。

 

「大丈夫ですよ」

「っ――!?」


 お姫さまの肩が、ビクリと動く。


「この傷は自分が決めたことでついたものですから、王女殿下の責任ではありません」


 あの時も、俺を巻き込んだことを悔やんでいる様子だったので、恐らく今もそうなのでは? と思い、声を掛ける。


「あ、え、えっと……だ、駄目です。マサヤ様を巻き込んだのは私の責任です」


 そうは言われても、そりゃ俺は聖人君子ではない。全く恨んでいないと言ったら嘘になるが、それでも俺が自分で選んだことだ。

 それに、全てがお姫さまの責任ではない。囮の策を考えたのはカインズさんだ。かといって、絶対に間違っているとは言えないのでどうしようもない。


「まずは謝罪を言わせてください」

「既にそれはカインズさんから受け取っています」


 お姫さまの言葉を、言い方は悪いが拒否する。


 気まずい沈黙が訪れる。


「そ、それでしたらどうすれば私はマサヤ様に償いを……」


 そういうことじゃないだよ。


「償いなんて必要ありません」

「ですがっ――」


「あのサンドウィッチをもう一度いただけませんか?」


 お姫さまの顔がポカンとした表情になる。

 当然だろう。

 どうすれば許してもらえるかで、サンドウィッチだ。


「あれのおかげで、俺はほんの少し、元の世界を懐かしめました。それと、俺がこの道を選ぶことが出来た切っ掛けでもありますからね」

「あ、あれはその……」


 ポカンとした表情から一変し、顔が真っ赤に変わる。


「あれは……私が作ったもので、そんなもので……」


 むしろ最高じゃないか。


「おいしかったですよ? あれでお願いします」

「は……はい」


 すっかりお姫さまをゆでだこのようになってしまっている。

 嘘は言ってはいない。ハーブがあれだったが、美味しかったのは事実だ。


「あ、あのマサヤ様はこれからどうするので?」


 そういえば考えていなかった。

 そこで俺は、すっかりゆでだこになったお姫さまに言う。


「できるなら、王女殿下のところで働かせてもらおうかと思ってます」


 何だか湯気がでている気がする。


 転移者と知られた以上、恐らく元の職場ではないところに送られるはずだ。

 それならば、と思い、つい調子に乗ってしまったのもあるが、余り期待せずに言ってみる。


 お姫さまは真っ赤な顔を冷ますように横に振り、息をつく。


「マサヤ様が宜しければ、こちらからお願いいたします」


やっと、一章を終わらせることが出来ました!

本当にここまでお読みくださりありがとうございました!


十話が折り返しって言ったの誰でしょうね


言い訳と二章からの予定などはこれから活動報告に書き込みます


それと続けて、今日の11時過ぎに閑話を続けて投稿します

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