プロローグ
初投稿です
拙い文章ですがどうぞよろしくお願いします
なんとか完結までは漕ぎ着けたいです
よくある質問をしてみよう。
【あなたは二次元に行きたいですか?】
という質問だ。
オタク同士やSNSでも似たような質問はよく見かけるだろう。
大半はYES! と答えるだろうが俺はNOだ。
「以外だな。てっきりYESって答えると思ってたが」
歩きながらSNSを眺めていると、その質問が流れてきたので隣を歩く友人に、自分の持論をぶつけてみる。
すると、隣を歩く友人である仙道悠馬が意外そうに答えた。
変わらず携帯をいじりながら俺は答える。
「考えても見ろ。三次元で冴えないモブ的存在でいるようなのが、例え二次元に行ったとしても、結局はモブで終わるだけだ」
「二次元にも当たり前だがモブはいる。主人公のクラスメイトに通行人、作中にチラッとでも登場できたら御の字だな。どうして自分たちがそうならないと言える?」
悠馬は頭を掻きながら面倒くさそうな顔をする。
「よくわかんねぇな」
「ただしある程度物語をいじれたり、それこそチートでも使えれば話は別だけどな」
「それってあれだろ? 最近正也がハマっている異世界トリップ物っての」
「お前よく俺のマイブーム知ってるな。少しキモイ」
そう若干引き気味に答えてやると、悠馬は頬を引くつかせながら俺を睨んでくる。
「お前がそのジャンルの本を買いたいって言うから、わざわざこんな所まで来てやって手分けして探してやったんだぞ」
「こんな所って失礼な。聖地である秋葉に失礼だぞ」
確かに悠馬に頼んだのは俺だが、冗談で言ったはずなのに本当についてくるとは思わなかったんだから仕方ない。
人気の本だったため、結局は見つからなかったが。
「だったら断れば良かったじゃん。お前今日、同じ講義の女子にデートに誘われてただろ」
「あ? 興味ねぇよ。あんな頭どころか尻も軽そうな女なんか誰が気に入んだ」
デートに誘われた女子についての印象は全く同意するが、こいつの余裕に腹が立つ。
仙道悠馬と俺、結城正也は小学校からの腐れ縁だ。男との幼馴染だなんて気持ちが悪いので腐れ縁でいい。
悠馬は、小学校の時は俺の後ろをついてくるような大人しい奴だったのに、中学校に上がった辺りから雰囲気が大分変ったのだ。
今じゃ頭を金髪に染めて背も俺より高くなり、悔しいが見た目は不良っぽいがイケメンの部類に入る顔だ。
逆に俺は背も…顔も多分、恐らく、きっと平均的なレベルで中学でアニメにハマり、オタク街道まっしぐら。
それから高校、大学と奇妙な縁で同じ学部に入り、今でも正反対の俺らは友人関係が続いている。
「確かにあの女子はそうだけど…あの法学部のHさん、あの子も結局は振ったんだろ」
黒髪清楚できれいな人で、密かに憧れてもいた。
悠馬に告白をしたという話を聞きショックだったが、他の馬の骨よりは腐れ縁だが一応は長年の友人である悠馬だったため、応援してやろうという気持ちになっていたのだ。
それをあろうことかこいつは振ったのだ。
文句を言ってやりたい気持ちになったが、実質無関係である俺が言うのも…という気持ちになったため、何も言わずしばらく落ち込んだのは記憶に新しい。
「あ~、あれは……まあお前には関係ない話だ」
「うわっ、ずりぃ!」
はぐらかそうとする悠馬を問い詰めようとすると、目の前に女性が立ちふさがった。
「すいません。ちょっと宜しいでしょうか?」
立ちふさがった女性は、急に声を掛けてきた。
きれいなお姉さんで、歳は10代にも見えるし20代にも見え、Tシャツにジーパンというラフな格好にビジネスバッグを持っている。
当然、きれいな女性に話しかけられた俺は当然の如く動揺する。
「なんですか?」
俺とは対照的に冷静に答える悠馬。
だよな。俺じゃなく悠馬にか。一緒に歩いていると、俺と悠馬との差は歴然だ。でも俺は気にしない。こんな事は大学でも外でもよくある事だ。何度返事をして恥をかいたことか。
「はい♪実はですね、お二人に似合うアクセサリがありまして」
なんだ、ただの呼び込みか。秋葉では絵を売り込んできたりする販売員と、こういう輩は多い。
「アクセサリ?」
悠馬が不機嫌そうに答える。
逆ナンをされるところを何回か見たことがあるが、毎回睨んで追い払う。
ちなみに以前悠馬に思い切ってホモなのか?と尋ねたところ本気で引かれた。いやだって誰だってそう思うだろ。最近周りの女子の視線がそういう感じになってきてんだよ!
「こちらなんですが…」
女性は気にせず、ビジネスバッグから二つの小さな四角い箱を取り出す。
凄いな。全くノーダメだ。いつもなら大抵逃げだすぐらい不機嫌な声だったんだが…
悠馬もこれは予想外だったのか、眉を寄せ不機嫌そうな顔になる。それでも女性は気にせず、二つの箱を開けそれぞれ俺と悠馬に手渡す。
おっと不味い。つい受け取ってしまったが、このままだと買わされてしまうかもしれない。
女性に返そうと箱を見ると、中にあったのは一つの指輪だった。
指輪には、青い小さな石が散りばめられていて、素人目ながらも明らかに高そうに見えた。
こんな高そうなものを買わされては堪らない、と思い箱を閉じようとしたが、視線を指輪から離すことができなかった。
「気に入って頂けたようですね♪宜しかったら試しに着けてみては如何ですか?」
耳に女性の声が響く。すると無意識に箱から指輪を取り出してしまう。
「よくお似合いですよ♪」
再び女性の声が耳に響き、 気づくと自分の右手の人差し指に青い指輪が光っていた。
いつの間にか嵌っていた指輪に驚き外そうとして左手が指輪に触れた瞬間、視界が真っ黒に染まる。