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新聞部(仮)【リレー小説】  作者: 「小説家になろう」LINEグループ
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勘違い

この回の執筆者は海雪夜火さんです。

「他のみんなも小説を書き終わったとのことで部室に来てみたけど……」


一人つぶやく。

目の前には誰もいない部室があった。


「あれ? 集合時間間違えたか?」


携帯で時間を確認する。うん、集合より10分遅れだ。


「……虚しい」


最近一人でいることが多い気がする。少し前に幽霊と友達になっちゃうし、俺のスクールライフはこの先大丈夫なのだうか? いや、大丈夫なはずがない。


うまいこと反語にできたな!


「……」


無言で手を三回叩く。


「お呼びですか!」

「うわ!? どこから!?」


叩いた時には背後にロリぃ員長が立っていた。


「最近は走り込みなどをして鍛えてますからこれくらいのスピードが出せます!」

「鍛えたからって出せる速度なのか……?」


はっきり言って人智を超えてる気がしたのだが……気にしても仕方がないか。


「そして御用は?」

「寂しいから部員来るまで相手して」

「明らかに扱いおかしくないですか!? あなたの従者とかじゃないんてすよ!?」

「そんなことないそんなことない」


絶対におかしいです……などとぼそぼそ呟くロリは放置して雑談を始める。


「そういえばお前って幽霊とか信じるか?」

「な、なんでいきなりそんなことを?」

「ちょっとした興味だ」

「いや、自分の目でみたなら信じますけどそもそも存在しない、と思ってますから信じていないというのが正解だと思います。そもそも……」


顔を青くしながらまくし立てるように早口で叫び出すロリぃ員長。

さては……


「お前幽霊苦手だろ」

「にゃ、にゃにを根拠にそんなことを!?」

「お前の様子見てたらそうなのかなーと」

「得意とはいいませんけどいる筈ないですし……」

「はいはい、わかったわかった」

「聞いてくださいー!」


これは面白いことを聞いた。今度千鶴に合わせてみるか。どんな反応するのか楽しみだ。


「あの……すごい悪い顔してるんですけど何を考えてるんですか?」

「あーなんでもないよ」

「うそだ! 私で遊ぶクラスメイトと同じ顔してます!」


委員長がクラスメイトに遊ばれてるのかよ。


そこで扉の向こうから足音が聞こえる。どうやら誰か来たようだ。


「さて、誰か来たみたいなので私は失礼しますね!」

「ちょっと待て!」

「なんですか?」

「お前はどこから出ていこうとしてるんだ……?」


そこには窓にてをかけて外に出ようとするロリぃ員長の姿が。


「どこって……窓ですが?」

「何故そんなに不思議そうに……」


まどからでていくのっておかしいよね? 俺間違ってないよね?


「あ、もう人がきます! また今度!」


そう言うと窓から外へ身軽に飛び込み、そのまま窓を閉める。

するとなぜだか窓のロックも反動でうまくかかり、ロリぃ員長がそこから出ていった痕跡はほとんど残されなかった。


「どうしたんですか?」

「ああ、菅原か」

「……?」


人に姿を見られないように窓から逃げて痕跡も残さない。


「あいつ忍びでも目指してるのか?」


少なくとも普通の人ではないよな……



……………

………


「さて、全員揃ったので一番先に! 終わった俺から発表しようと……」


そこで鳴り出す携帯。誰だよこんな時に、委員長がすごい顔で睨んできてるんだけど。


「ちょっと失礼、もしもし?」

『お兄ちゃん……』

「優子か、今忙しいから後で……」

『助けて……』

「!?」


電話先からは非常に緊迫した声が伝わってきた。


「なにがあった!?」

『お願い、いつものスーパーに来て! 早く!』

「なにがあったのか説明くらい……」


切れた……


「なにがあったのー?」


何があったんだ、スーパー? なんでそんなところに……


「あの……」


もしかして不良絡まれたとか? それで逃げてきて連絡してきた……


「ちょっと……」

「悪い、帰る!」

「はぁ!?」


俺は迷わず窓に向かって走り出す。

そしてロリぃ員長がやっていたように飛び込みながら窓を閉める。

流石にロックは締まらなかったが飛び出すことには成功した。


背後から怒鳴り声が聞こえる気もするが知らない。後から謝ればいいだけだ。


「待ってろよ優子!」


息が切れるのも気にせず走った。元々運動などしていない俺が走ったところで早くはないがそうしてないとダメだというなにかに囚われていた。


そして過呼吸になりかけた時にスーパーが目に入る。その入口には優子の姿も確認できた。


「お兄ちゃん早く!」

「おう!」


みたところ外傷などはなさそうだ、よかった。


「お疲れ様、早速だけどこれ持って! 」


店に入りながら手渡されたのは二つの卵パック。

なるほど、これで戦おうってことか。


「お一人様2つでひとパック30円だよ! これは買わなきゃいけないよね!」


……変な言葉が聞こえた気がする。気のせいだよね。


「こんなに安いから少しでも買いたかったんだけど店員さんがお客さんの顔覚えてるみたいで何人か2回買いに来てることバレててさー……」


そのまま上機嫌でセールの話を続ける優子。これってもしかしなくてもさ……


「セール品が安かったから呼んだだけ?」

「そうだよ?」


目眩がした。俺は……なんて勘違いを……


その時になってようやく携帯に無数の着信があることがわかる。

その数40件、すべて委員長から。

ご丁寧にメールまで届いていた。『ドタキャンした罪は重い』とのことだ。


「ははっ……俺明日生きて帰れるかな?」


乾いた笑いはセールによる熱狂に包まれたスーパーに虚しく消えた。

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