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I‘m looking for you.

作者: 刻糖風雅
掲載日:2011/11/20


 ある日、僕が出会ったのは――黒猫。

 その黒猫が、僕の運命を狂わせた。

 そう、あれは――。



 僕は、夕方に学校からの帰り道を歩いていたんだ。

 賑わう街中を抜けて、人通りの少ない住宅街を通っていた。

 夕方といえば、夕飯の支度を始める時間帯だ。所々の家から美味しそうな匂いがし始めてきた。

 早く家に帰ろうと、足を速めた。

 僕の家は、住宅街の外れの方だ。此処からは、あと二十分位掛かる。

 近道をして帰ろうと思い、角を曲がって、すぐまた角を曲がる。

 曲がった角の所に青くて丸い蓋付きのごみ箱があり、その上に黒猫が居た。なんだか、黒猫と目が合ったような気がした。

 黒猫は、ごみ箱の上から飛び降りて、僕の横を素通りして行った。

 それから、また、道を曲がったり裏道を通ったりして家に帰った。



 次の日の朝。午前六時。

 まだまだ寝たいと思いながらも、無理矢理に身体を起こす。

 欠伸をして伸びをして、ベッドから降りる。

 制服に着替えて洗面所に向かう。

「大智(だいち)。起きたのー?」

「ああ、うん」

「そう。ご飯出来ているから。リビングの机の上ね」

「わかった」

 リビングの机の前に座る。のろのろとご飯を食べ始める。

「あと、今日高校のころの友達と同窓会で、遅くなるから。自分でご飯でも作って食べといて」

 玄関から声がする。母さんもう出るのか。

 僕の母さんは、中学校の教師だ。遅くに帰ってきて、夜遅くまで書類整理とかしている。

 父さんは、今中部の方に単身赴任中だ。ほとんど帰ってこない。

「はいはーい」

「じゃあ、お先に行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 ご飯を食べ終わった頃にはもう七時近かった。

 そろそろ出ないと間に合わないな。

 今日は、再来週にある文化祭の打ち合わせをするらしいらしい。僕のクラスの奴は全員七時半に集合だ。

「さて、出るかな」

 二階の自分の部屋から鞄を取ってきて、戸締りをして、

「行ってきます」

 誰もいない家に鍵をかける。

 『竹井』と書かれた表札をちらりと見た。自分の家でも、引っ越してきて二年目。いまだに何となく違和感がある。前に住んでいた新潟の方と比べると、東京は自然が少ない。

 のろのろと歩いているうちに、昨日の黒猫が居た場所まで来ていた。

《おい、お前》

「えっ?」

 住宅街を見ながら歩いていた時、誰かに声をかけられた。周りを見回しても人(・)一(・)人(・)いない。

《おい、聞こえないのか?》

 くるりと後ろを向くと、昨日会った(と思う)黒猫が居た。

 軽々とごみ箱から飛び降りた黒猫は、僕の後ろにちょこんと座った。

《そう、お前だよ。竹井(たけい)大智(だいち)》

「わっ。猫が……」

《しゃべったからどうした?》

「いや、不思議だろ……。それに、僕の名前……」

《ああ、知っているさ。俺は、お前だからな》

「はっ?」

 黒猫の姿が歪んでいく。

 目がおかしくなったのかと目を擦る。

 そして、もう一度見たときには、僕が僕の目の前にいた。

「僕……!?」

 そこには、制服じゃない僕の姿があった。ジーパンにTシャツを着て、紺色でチェック柄の上着を羽織っていた。私服は僕のと全然違う。

 それでも、ありえない……! 似すぎている。

 夢かと頬を抓るが、目の前にある景色は変わらない。夢なら覚めるはずだ。

《だから、そうだと言っている》

「他人の空似……じゃない……よな?」

《正真正銘、俺はお前だ》

「でも、こんなことあるのか?」

《何を言っているんだ。目の前にあることを否定するのか?》

「……。じゃあ、目的はなんだ? お前がここに居るのは何でだ? 黒猫が急に人に変わるなんて非現実的すぎる」

《それは……》


グサッ――。


《――こういう事だ》

「えっ……?」

 僕に鋭く光るナイフが突き刺さる。丁度腹のあたりに刺さった。十五センチほどの長さの黒いナイフ。

 最初は驚いたせいもあり、痛みを感じなかった。でも、徐々に傷口が痛み始めた。血も傷口から漏れる。

 痛みで力が抜けて、立っていられなくなってきた。コンクリートの上に両ひざをつく。

「うっ……!」

《心臓に一突きの方がよかったか?》

 見上げるとあいつが笑っていた。

 今見ると、なんだか悪魔みたいだ。

「何でだ……? 僕を殺そうとした理由はなんだ!?」

《理由? お前に教える義理は無いね。それと、これは返してもらうよ》

 あいつは、僕の腹に刺さったナイフを思いっきり抜いた。

「くっ……。痛……」

《刺されて痛くないなんてその方がおかしいと思うぜ?》

 僕の血がべっとり付いたナイフを、ペロッと舐めた。ここまで来ると気味が悪い。それは、映画とかで殺戮者がやることだろ。

 なんだかさっきより痛みが引いてきた気がする……。

 僕は死ぬのか……?

でも、もうこんなに血が出てるし。もう、ダメかな。

「じゃあ一つだけ教えろ! お前……本当は何なんだ?」

 ぼやける視界が真っ黒になる前にあいつが教えてくれた。

《俺か? 俺は……お前の影だよ》




ある日僕が出会ったのは――僕。

そして、僕の運命を塗り替えた。

そう、あれは――僕の影だった。

僕の人生に終わりを告げたのは、僕自身。









‐END‐  


 初投稿です。

 まだまだ、初心者なので下手ですが……。感想、アドバイス等くださいましたら嬉しいです。

 これから気長に書いていきますので、温かい目で見てやってください。


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― 新着の感想 ―
[一言] 終わりのゾクッとする感じが… 最初、猫がなにを意味するのか疑問でした。 上手くいえませんが、全体的に怖さを感じられました。
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