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魔族の掟  作者: ベイカーベイカー
第五章 魔族戦乱
97/122

第八十話  幕間 グリムリーパー 前篇

それは三百年ほど昔のことであった。

『マスターロード』の統治が行き渡り、時世が安定し始めた頃である。


第三層のトロール種を中心とした多くの集落が有った。

そこに暮らす多くの種族は彼らと盟約を結び、安全を手にしてきた。



「(あ、何だこいつら、魔族か? なんで化け物がなんで俺を取り上げてんだ?)」

そんな中、彼は産まれた。


「(今度は趣向を凝らすっつてたが、なんでまたクソ魔族なんかに。

何かいかち割ってもアイツの頭ん中は理解できねぇ・・・。)」

産まれた時から産声を挙げず、泣き声を挙げさせようと尻を叩いた医者は彼に睨まれ、腰を抜かしたと言う。



彼の母親言う。

自分は彼を育てたのではない、育てさせられたのだ、と。

その赤ん坊は、明確な意思を持って母親から食事を要求した、と母親は語る。


クライと名付けられたブラックトロールは、そうして産まれながらにして異端児として認識されていた。



魔族は大抵が幼少期から戦闘の訓練を行う。

将来何かしらの職で武器を持とうが持つまいが、最低限は自身の魔族としての本能を磨いておくのだ。


「(なんでこの俺が、しかも魔族ごときに今更教えを請わなきゃならないんだよ。)」

だが、クライはそれに一度として参加しなかったと言う。

それに怒った教官が彼に体罰をしようとした時、逆に返り討ちに遭い、それを咎める大人たちを自身も怪我だらけになりながら反抗した。

その時、村の半分以上の大人がボロボロになったとされる。


すぐに彼は誰にも手が追えないと、半ば村八分状態となった。

彼を嘲笑う者の顔が、恐怖に引き攣るようになったのは、それからすぐのことだった。



魔獣が出現するのは毎年のことではあるが、今回は五匹も現れ、どの村も対応に追われた。

魔獣の数が増減するのはよくあることであるし、その程度で全滅するほど魔族は軟ではない。


しかし、クライはそのうち三匹を相手取り、素手で殺し尽くしたのだ。


それを見た魔族は言う。

彼は笑っていた、と。魔獣を一方的に殴りながら、笑っていたのだと。



クライが村では腫物を扱うようになったのは言うまでもない。

そんな彼が、同族たちを見下して嘲笑うのは今に始まったことではないが、より顕著となったのはこの時からだった。



「はん、魔族のくせして、なんで弱いことに耐えられるんだよ。

いやぁ俺には耐えられないし信じられないねぇ。お前ら、なんで息してんの?」

そこは魔族、反骨心を現したものも多かったが、彼の卓越した戦闘力に恐れをなす者も多かった。


一方で、頼まれもせずに魔物を狩り尽くす彼は、周囲の集落からは感謝されていた。

内外では評価が全く違うことに、村の大人たちは困惑しながらもそれを受け入れ始めた。


魔族にとって、純粋な強さとは正義である。

恐れられながらも、彼に憧れる者も少なくはなかったのだ。


彼の村八分が解かれるのも、時間の問題であった。






・・・・

・・・・・

・・・・・・





彼が青年と言えるほどに成長した頃、トロール種の村には見慣れない人影が現れた。


夢魔の一種である、リリト族のルナと呼ばれる女性だ。

リリス、リリトゥと言う読み方もある種族で、姿は人間と見分けがつかない“夜の眷属”だ。


彼女らは人間から絶世の美女として映るような容姿をしているが、彼女の魔性の美貌は他種族まで及んだという。



「てめぇどういうつもりだ、次が魔族とか聞いてねぇぞ。」

「だって言ったら真っ二つにされるじゃない。」

ある日、前世から転生して何十年かぶりに再開した二人の第一声がそれだった。


三メートル半を超えるブラックトロールと、平均的な人間の女性と同じくらいの身長しかないリリトでは身長差が圧倒的であったが、彼女は臆することなく彼の脇に座った。


「ちゃっかりてめぇは人間そっくりの種族に転生しやがって。

俺ぁこれでも人間としての尊厳はあんだよ。今は魔族だがよ。物珍しさで我慢するが、この前の女に転生させた時みたいにもう一度やったら次は出会い頭でぶっ殺すぞ。

あー、ウェルベルハルクの野郎が見たら、なんてバカにされるか・・・。」

「あはははッ!! それは悪かったわ。でもここ十数回の転生で、ずっと人間相手ばかりで飽きたでしょうから。

この魔族の封じられた領域なら、魔物と魔獣と幻獣と、それに魔族と選り取り見取りよ。」

「魔物と魔獣と幻獣と魔族なら、二十何度目以前までの転生で飽きるほどぶっ殺しまくっただろうが。

飯じゃねーんだよ、昔の味を思い出して恋しくなったりしねーんだよ、ボケが。」

人目のつかない所での邂逅だが、何も知らない他人が聞いていてもぽかんとする内容だった。


「で、どんな感じ? それとも私と会えなくて寂しかった?」

「そんなぬりぃ感情は忘れたね。

まあ、退屈はしてねぇよ。この体は人間と違うからな。

なんだか新鮮味が有って、一から鍛えてみようって気にはなった。」

「あらあらそれはそれは、ここ何回かは適当に殺して死んで終わりだったのに。」

「だから物珍しさだっつぅの。人間の時みたいに、寿命が邪魔せずに自分の満足が行くまで鍛えられるつーのは面白れぇじゃねーか。

幸い練習台にしても文句言われねぇ雑魚が腐るほどいるしよ。」

「それはよかった。どうやら久しぶりに満足しているようね。」

「満足は、していねぇさ。最初の生以来、一度もな。」

クライの呟きは本当につまらなそうに、どこまでも虚無に満ちていた。


「何度か極めた武技を封印して転生してみたこともあったが、何か違うんだよなー。

やっぱり、死にたくねぇってのが人間の活力なのかねぇ。」

「そう言って私のこと一切忘れさせて転生して、その先で私と恋人関係になってさらに転生した後文句言ってきたじゃないの。」

「そん時はその他諸々も忘れていたせいで、不覚にも伴侶を作ろうと思ったのが間違いだったんだ。なんで今更お前となんか・・・」

「あら、この絶世の美女を差し置いて、他の女と一緒になろうなんて良い身分ね。」

「この際ハッキリ言っとくが、俺は最初の生から今回まで、例外を除いてたった一度としてお前に欲情したことは無い。」

「でも、それもう三百回ぐらい言っていない?」

「うるせぇよ。」

クライは面倒臭がって、寝転がってふてくされるように彼女に背を向けた。


ルナはそんな彼を慈しむように、その三日月の双眸を細めた。

それは彼女特有の物でありながら、夜の魔女と呼ばれるリリト族に相応しかった。



「私は思うのだけれど。」

彼女はリリト族が自身の体に纏わりつかせて使役する大蛇の頭を撫でながら言った。


蛇は本当にさまざまな物を象徴する。

キリスト教では「人間」を示し、そのずる賢さから“知恵”を象徴する。

お互いの尾を噛む二匹の蛇は“不死”を象徴し、また“無限”を意味する。

時には神の使いとして信仰の対象となり、また魔女の使い魔と化する。



「最初の貴方の向上心って、つまり反骨心からでしょう?

誰彼に負けたくない、私に屈したくない、つまりはそう言う感情。

でも、今の貴方を縛るモノは何もない。人やモノ、常識、力、しがらみ、生死までも。この私でさえも。」

「くはッ・・・てめぇにムカついて月を斬ろうとしてた頃が懐かしいな。」

そう言う意味では、二人は蛇だった。


自分勝手な人間であり、片や最古の魔術師で片や強さの探求者。

死すら超越し、輪廻転生とはまさに無限を意味する。

時には神より畏れられ、そして魔女とその眷属である。




「貴方の怖いところは、本当に月を斬ってしまうところよね。」

「表面を掠っただけだろ、そんなの彗星にも劣る。今なら月どころか太陽まで斬れる自信はあるがな。

この体を極めれば冥王星ぐらいまでは斬れるか?」

「それでも、宇宙の果てには程遠いわ。」

「高だか数千年程度転生し続けただけだからな。何億も続ければそのうち至れるだろう。」

冗談みたいな会話だが、数少ない“二人”の知己はそう思わないだろう。


この二人の所為で、かつての世界では満月が二度と訪れなくなってしまったのだから。



「この世界では魔王も出てこねぇし、退屈すぎる。

うざってぇ教会の連中どもも、リュミスの腰抜けの所為でおおっぴらに魔術はつかわねぇし。

アイツ斬ってウェルベルハルク怒らすのも有りじゃねぇ?」

「私たちがやるなら、代わりを用意するだけだわ。アイツ、基本的に私たちを避けるし。」

「はん、お空に向かって、人形遊びはやめたのか、って叫べば嫌でも飛んでくるさ。

・・・・どうせ今のも聞いているんだろうが、万全の状態で挑まず負けるのは癪だ。俺は最強だからな。」

「そうね、どうせなら、今の状況を生かして。彼と人類、私たちと魔族って構図も悪くないわ。」

「今の魔族の落ちぶれようを知ってそれを言うのかよ。俺たちと魔族って、魔族が誤差レベルじゃねーか。」

あの『マスターロード』が激怒しそうな言葉も、クライは何食わぬ顔で平然と言った。



「元々魔王が吹けば消えるような連中よ、丁度いいハンデよ。」

「この肉体を極めれればそうかもな。何十年と動かしているが、まだまだイマイチなんだ。」

「魂が合わないのかもね。

ちゃんと胎児の頃に転生させたはずなんだけれど。初代魔王の定めたシステムは人間のとは若干違うから。」

「あぁ、初代魔王ってのも有りだな。魔界で悪魔百万斬りってのも乙だ。」

「そんな前座で満足するなら、とっくにやっているでしょうに。」

ルナはそんな彼の背に寄り添うように、寝転がった。



「もう強いやつを倒すのも挑むのも・・・飽きた。」

「だから、こうやって趣向を凝らしているのでしょう?

あ、そうだわ、逆に考えましょう。強い相手が居ないのなら、自分で育てればいいのよ。

前に似たようなことをやったじゃない。何回かの転生の合間に時々現れた、中華風の二人が居たでしょう?

次やるなら、相手が強くなるのを待つだけじゃダメよ。何かを後世に遺すっていうのは、生物の本能でもあるのだし。」

名案だと言わんばかりにルナはそう言ったが。



「・・・・んなの居たっけ?」

若干の間の後に、彼は真顔でルナに尋ねた。



「あら、酷い。貴方もしばらく遊べそうなオモチャみたいな顔してたじゃない。」

「殺した奴が何万何億と居るんだ、雑魚をいちいち覚えていられるか。」

「ま、それもそうねぇ・・・。」

ルナもそれであの二人のことは忘れることにした。彼の興味のない事を覚えておく意味は無いからだ。




「・・・・この世界の月を斬ったらどうなるんだろうな。」

「驚くんじゃない? 地上の人たちは。」

「むしろ、真っ二つにされたと気付かれないように斬ってみるのも面白そうだな。

だが、あそこまで行くのは面倒そうだ。」

「星々の間にある物理的な距離なんて曖昧だって貴方がよく知っているでしょう?

なぜ人の精神が宇宙に例えられるか知っている?

宇宙はね、観測されなければ存在しないの。虚無なのよ。だから、空気も無い。

だからどう観測するかによって、距離なんて変わるわ。人の心もね。」

ルナの言葉はいい加減に聞こえるが、彼女は人類が宇宙進出の適わなかった前世界で、最初にその眼で宇宙を観測した偉大な存在である。


これより大幅に科学が進んだ三百年後の人類より、よほど宇宙を知り尽くしている。

だから今も宇宙へ飛び立つことが適わぬ魔術師たちは、彼女を讃える。最も偉大なる人類最古の魔女、と。



「じゃあ、いつかこの星の人間どもがどう宇宙を観測するのか見ものだな。

尤も、星が平らだと思ってる連中ばかりで、自分たちを中心に空の星が回ってるとか言ってるようじゃ、あと何千年は期待できねぇな。」

「彼らがそう思うのなら、それでいいじゃない。私は彼らがそう観測した宇宙を見てみたいわ。

それを私の宇宙で塗り替えてやれば、さぞかし痛快な事でしょうね。」

「ああ、そりゃあ面白れぇかもな。」

「その頃には貴方も満足できることができているでしょう。

そうしたら、宇宙の果てでも見に行きましょう。」

「簡単に言いやがる。」

「簡単よ。人は誰だって宇宙へ行けるもの。彼方へのロマンさえあれば、ね。」

そんな気取ったセリフを言い終えると、ルナは立ち上がった。


そのまま何も言わずに、消え去った。

クライも同じく、面倒そうに集落へ歩いていく。


素っ気ない別れだが、それすら二人にとって別れにはならない。

何十度も転生を共にした二人は、糸を編んで強靭な縄を作るように、切りたくても切れない“縁”が出来ている。

世界の壁すらも、二人を別離させる要因にはならない。


もはや、一心同体に近い。二人は物理的に離れていても、魂レベルで常に一緒にいる状態なのだ。





そんな二人が一緒にいる姿を毎日のように目撃されるようになったのはその頃からである。


恨みなら事欠かないほどかった彼の報復に、彼女が一人の時に狙われることは少なくなかった。

しかし、彼女を襲った魔族は例外なく行方不明となり、その不気味な雰囲気も相俟って彼女に人が寄り付かなくなるのはすぐのことだった。



「てかお前、普段はなにやってんだ?

俺より数年早くこっちに転生して、俺の所に来るまで随分と時間が掛かったじゃねぇーか。」

トロール種の集落で、リリト族と二人で会話するというクライは酷く目立っていたが、周囲を一瞥するだけでその視線は四散していく。


「ん? ああ、第五層で女王様まがいなことをね。」

「はぁ? 何やってんだお前。魔王陛下への反逆ですかー?」

クライがふざけてそう言うと、くすくすとルナは笑みを浮かべてこう言った。


「違うわ。私がまだ“常夜の森”で“夜の眷属”の連中を顎で使ってた時のことが、彼らの中には伝わってたらしくてね。」

「ああ、俺と出会った頃のお前がそんな感じだったな。」

「そうそう。で、最初は生まれ変わりみたいに言われてたんだけれど、ある程度成長して本人だって言ったら私が魔王みたいな扱いされちゃったのよ。

なんでも、魔王の使徒みたいな感じみたいに。」

「そいつで再現してるんだから似たようなもんだろうが。」

クライがルナの両眼を指差しそう言った。


「だって元々の私の専門は“魔王”の研究だったもの。」

「あ゛? それどころかお前、それをぶっ倒せるほど完璧な存在に到達してどーたらこーたらって内容だったじゃなかったか?

魔王の使徒どころか、思いっきり敵じゃねーかよ。」

「そこは再現した“魔王の威光”をフル活用して、口八丁手八丁して上手い事利用していたのよ。」

「ハッ、流石は天下の魔女様だ。」

「まさかそれを今になってまで・・・・だって、ざっと四千年近くも前のことよ?」

「清朝も顔負けだな。」

「茶化さないでよ、変な風に曲解されて伝わってるせいで、ホント面倒くさいんだから。」

「くくく・・・そりゃあいい。」

クライは、あのルナが本気で辟易している様子が可笑しくて仕方がなかった。

こんな可笑しい事に出会ったのは、今回の人生では初めてである。



「特にあのサキュバスの子なんて、弟子入りさせてなんて言ってるけど絶対に性的な目で・・」

「つーか、お前。なんでその研究やめちまったんだ?

俺と転生し始めるようになってから、そんな研究してる覚えなんてこれっぽっちもねーぞ。」

長年連れ添ってなんでそんなことも知らないんだよ、という突っ込みは野暮である。


主体的に行動するのはいっつもクライ側で、質問を重ねて何かを聞くのはルナばかりなのである。



「え、だって、私の追い求めた答えは出たようなものじゃない。」

「はぁ?」

そしてルナは、察しの悪いクライを指さした。


「俺かよ・・・。」

「貴方は魔王を研究しても得られなかった答えを私にくれたわ。結果的に、貴方に付いてきて良かったわ。」

「・・・・ま、俺は最強だけどよ。」

「だって私、貴方に傷物にされちゃったもの!!」

「なッ、てめッ」

妙に張り上げたルナの声で、周囲の視線が二人に向いた。


クライは反射的に右ストレートを放った。

人間の頭なら、夏の浜辺のスイカ割りみたいに(この時代にそんなものは無い)なること受け合いの一撃である。


「きゃ☆」

それを見てから躱すの余裕でした、みたいな笑顔でルナは顔を横に傾け、そこを彼の拳を過ぎ去っていく。

ちなみにその身長差からそれは無理かと思われるが、現在ルナは立ってクライは腰掛けているので丁度いい感じである。



「酷いわクライ~、ちょっと茶目っ気出しただけじゃない。」

「俺がどれだけ短気か知らねぇとは言わせねぇぞこのアマぁ・・・。」

ルナはくすくすと笑う。この程度のことで本気で起こるクライが可笑しいのだ。


そしてクライも怒りは熱しやすく冷めやすい気質の持ち主であるからして、もう既にそっぽを向いている。




「で、それはそれとして、これからの話をしましょうよ。

魔族のクライはいったいこれからどんなことをするのかしら?」

「・・・・そうだな。」

詰まらないことはさっさと忘れて、クライも思考を切り替えた。



「あの偉っそーにしてやがるドレイク・・・『マスターロード』っつたか?

そいつをぶっ倒すってのでどうだ? 一応魔族で一番強いんだろ?」

「なるほど、とりあえず人類の次は魔族でも最強を目指すのね。

そうなると、彼と話せる身分が欲しいわね。彼の作った学府に通って“騎士位”を獲得するのが一番の近道だろうけれど。

それとも普通に直接殴り込みを掛けると言うのもありだろうけれど、どうするの?」

「バーカ、楽しみはとっておけよ。

それにすぐに殴り込みじゃ、芸がねぇだろ。お前は何かっていうとすぐそれだ。俺は蛮族かっての。」

人類でも三指に入る賢人をバカ呼ばわりしながら、クライは不敵な笑みを浮かべる。



「せっかく精霊魔術の適性のある体なんだ。

才能の関係でそっちにはノータッチだったからな。体のついでにそっちも鍛えるとするぜ。

あとは適当に寄り道してたら時間も潰せるだろう。寿命が尽きるまでにそいつを倒して、この肉体を極められればそれでいい。」

「貴方の戦いに対する向上心に対してだけは心から感服するわ。」

「知ってるだろ、生きがいなんだよ。」

ええ、とルナももう何も言うつもりもないのか、どうでもよさそうに肩を竦めた。






・・・・

・・・・・

・・・・・・





それからクライが第五層に行ったりしたりして、彼女とそのバックの全面的な支援を受けて、トロール種の集落から第一層の“学園”の門を叩いた。


「あとは自分でどうにでもなるでしょう?」

一通りの準備を終えて、ルナは後のことは全部クライに丸投げするようだった。


「騎士なら人間でも何度かなったことあるが、まさか魔族の騎士に成る為にお勉強だとはな。」

「貴方の頭の出来は心配してはいないけれど、その体の頭の出来はどうかしらね。」

「ああ、ちょっと弄ってくれ。」

クライは浅慮な言動が目立つ人物だが、ああ見えて頭は悪くない。

むしろ、普通に頭が良すぎて、彼の知己であるウェルベルハルクこと『黒の君』が現実を呪ったくらいである。


チェスなどのボードゲームをさせれば、ルナでさえ勝てない。

戦いと名の付くあらゆる物の、天性の才覚を彼は有している。



ルナも“騎士位”の獲得は争奪戦だ、とでも言えば何が有ろうとも無事に彼がそれを獲得するだろうことは、長い付き合いから分かっていた。

だから、その為に不安要素を今から消すのである。



ルナはどっかり座り込んだクライの頭に、ずぷりと手を差し込んだ。


脳みそを直接こねくり回し、そこに宿るクライの魂は普通ならこの世のモノとは思えない激痛で悲鳴を上げて泣き叫んでも良いはずなのに、彼は早くしろと催促する始末である。


「ちょっと待って・・・ここをこうして、はい、終了。」

作業を終えて、ルナは彼の頭から手を引っこ抜いた。



「計算能力や記憶容量を軽く十倍くらいにしておいたわ。

判断力とか反射神経とかは・・・必要ないわよね?

貴方ほどの武芸の境地なら、未熟な肉体の動きを想像通りに動かすぐらいは余裕でしょうけれど。」

「そこまでこの体は不自由してないな。」

「基礎能力は歴代最高ね。」

「だからこそ、磨く価値が有るんだろうが。」

「一応聞いておくけれど、アレは使う予定あるかしら?」

「ここ千年、何度アレを抜いた?」

「そうだったわね。」

お互いに必要な言葉を交わし終えると、ルナはさっさと彼の仮住まいから出て行こうとする。



「あのサキュバスの小娘によろしくなー。」

「そっちこそ、へましてしくじらないでよね。私の仕事が増えるから。」

そんな言葉の応酬を繰り広げながらも、今回の二人の邂逅は終わった。






・・・・

・・・・・

・・・・・・




「はぁ!? ふざけんじゃねーぞ!!」

クライは最短ルートで“騎士位”の試験を受ける為の必修科目の単位を獲得し、たった一年で試験場への切符を手に入れた。


しかし、いざ受けに行ってみると、担当の試験官からお前はまだ若いからもっと経験を積んでからにしろ、と諭されたのである。

試験官もこのまま試験を受けても合格率は良くなく、例え“騎士位”を得てもロクな役職に就けないだろうからという善意の配慮でそう言ったのだが、彼は舐められていると受け取った。



「なんだねその態度は!! それでは到底試験は受けさせられないな!!」

今年一番の優等生と聞いていた試験官も、クライの態度に激怒してしまった。

それからしばらく周囲の学生たちも憚らずに言い争いをしていると。


「何をしている、もう試験は始まるぞ。」

「これはッ、学長殿!!」

そこに現れたのは、『マスターロード』その人であった。


試験場は何部屋もあり、栄えある騎士の試験は毎回彼も見回りに来ている。



「ふーん、あんたが。」

クライは無造作に手刀を『マスターロード』に放った。

武道で言うところの、予備動作の無い無拍子と呼ばれる技術も織り込まれている。


何の脈略も殺意も無く繰り出された鉄も引き裂く一撃が、『マスターロード』の首筋に迫る。



「ほう?」

「お・・?」

『マスターロード』は、防御行動は取らなかった。


だが、彼の一撃はその首筋に添うように止まっていた。



「き、貴様、なにを!!」

「いや、いい。」

クライの行動に目を疑う試験官だったが、『マスターロード』が彼を制した。


「君には期待しているぞ。頑張りたまえ。」

そして、『マスターロード』はクライの肩を叩いて、去って行った。


それが二人の最初の邂逅だった。




「・・・・へぇ、鱗の一枚でも割ってやるつもりだったんだが・・。」

寸前で十以上も防護魔術が働き、最後の一つに防がれて彼の手刀は届かなかった。


「もう時間だって言ってたが、座っていいか?」

「あ、ああ・・・。」

試験官の魔族は『マスターロード』に無礼を働いて無事なクライに目を白黒させながらも、頷いた。



「(あれなら、久しぶりに10分は楽しめそうだな。)」

クライは内心で舌を舐めずりしながら、自分に割り当てられた試験番号の席に着いた。

久々に虐殺ではなく、戦いになると確信しながら。


そして彼は、成績トップで試験を突破した。







・・・・

・・・・・

・・・・・・




筆記試験の合否はその日の内の、午前中には発表される。

そして同時に午後の試合の対戦相手が決まり、その試合内容如何で“騎士位”の授与が決まる。


合格発表の張り出しを見に来た受験生たちは、各々の結果を受け入れ、ある者は歓喜し、ある者は去っていく。

クライは当然のように合格を得たことに満足したように頷いた。

そして肝心の彼の対戦相手は、どうやらギガース族のようだ。


周りを見れば、同族も何人か見受けられる。

そして彼らは例外なく、クライに視線を向けて恐怖と畏怖の入り混じった視線を送っていた。

彼らの思考は、クライでなくても同族なら手に取るようにわかるようだった。


この男と試合に当たらなくて良かった、と。



腰抜けどもめ、とクライが侮蔑の視線を送っていると。


「貴様か、『マスターロード』に噛み付いたという輩は。」

いかにも自分を勘違いしていそうな、大柄なギガース族の男が現れた。

全長八メートル近くであるから、かなりの上級の巨人族のようではある。


「その意気込みがこの俺に通じるかどうか楽しみだ。」

そして、彼がクライの対戦相手であるようだ。



「おいデカブツ、自分と相手の実力差ぐらい分かれよ。」

「なんだと、貴様!! この俺を侮辱するか!!」

「お、おいッ!!」

クライは敢えて挑発に乗ってやったが、彼の知り合いらしいクライの同族が慌てて止めに入ってきた。


「んだよ、邪魔すんなよ。」

「ッ!!」

それだけで同族は蛇に睨まれた蛙のように硬直してしまった。



「ふん、まあいい、この場は引いてやろう。

決着は試合で付けるのが道理であろう。」

と、興醒めたのか、ギガースの男はそう言って去って行った。


「命拾いしやがったな。まあ、寿命が数時間延びただけか。」

と、クライが呟くのを同族の男は聞いていたと言う。





試合は多くの学内の魔族の試験官や有力者、そして『マスターロード』が観戦する。

それなりの大暴れしても大丈夫なように屋外にあるグラウンドで行われる。


それは学内でも一大イベントであり、数多くの学生たちが見に来て、屋台まで出始める始末だ。

賭け事をする者もいれば、魔族屈指のエリートたちに黄色い声援を送る者たちもいる。



クライの試合は、なんと最初であった。

どうやら、成績順で順番と相手が決まるらしい。あのギガース、どうやら見た目に似合わずインテリなようだ。


そしてここ一年しか在籍しておらず、知名度も無く相対的に低く見られているのか、クライは賭博では人気が無いようだった。


が、そんなものは彼は興味など無かった。

彼の頭には、あのデカブツをどのように大衆の目の前で叩き潰してやろうか、それだけである。



そうこう考えているうちに、試合の時間が来た。


「ふんッ!! 捻り潰してやろう。」

気合十分らしいギガース族の男とグラウンドで対峙する。


「そういやお前の種族って、丈夫だったよな?」

「なにぃ?」

「――――始めッ!!」

そして審判の魔族が、試合の開始を告げる。



「ふむぅぅうううん!!!!」

轟音を上げて、大地を疾走するギガース族の男。


単純な戦闘力だけなら、ジャイアントの右に出る種族は居ない。

クライが自分の倍以上もあるその巨体の剛腕に、撥ね飛ばされるのを幻視した者は少なくない。



「はん。」

そこでクライが取った行動は、・・・なんと模擬剣を地面に捨てたのである。


「血迷ったかッ!!」

ギガース族の剛腕が振り下ろされる。

その手に得物は無いが、彼の全体重の乗った一撃は巨大な落石にも匹敵する。



「おい、お前マジで戦い方を習ったことあるのか?

・・・・とろ過ぎて欠伸が出そうだぜ。」

クライは片足で模擬剣の柄を蹴り上げると、僅かに浮いた柄の頭を蹴り上げて、ギガースの男の片足に向けて打ち出したのだ。



「なにッ!!」

拳を振り下ろす為に全体重を掛けていたギガース族の男は、思わぬ衝撃に転倒した。



「おいおい、みんな見てるぜ。転んでないで、さっさと起きろよ、おらぁ!!」

そのままクライは側面に回り込んで、太いギガース族の男の片足を踏みつけた。


「あッ、がぁ!!」

大した力を込めた様子も無いのに、ギガース族の男の強靭な骨が圧し折られた。



「これしきでッ!!」

片足を封じられた程度でギガースが、魔族が止まるわけがない。

反撃の為に、彼は振り払うように拳を振るった。



「あらよっと。」

しかしそれを読んでいたのか、見事なバック転でそれを躱し、振り切った腕にクライは手刀を落とした。


「あがあああああ!!!」

今度はメキメキと、周囲に骨の折れる嫌な音が響き渡った。



「えーと、たしかこの辺り・・・でッ」

「があッ!!」

激痛に悲鳴を上げるギガース族の男の背中に、クライは乗り上げ、追撃にその背を踏みつける。



「これで内臓が一つ潰れたな。ほらもう一個。」

「ごほぉ」

もはや悲鳴すら起きない。

クライが足を下すたびに、ギガース族の男は口からポンプの様に血を吐き出すだけになってしまった。



「おら、次は肺だ。」

「しょ、勝負ありッ!!」

止めを刺そうと足を上げたクライに、これ以上は不味いと見た審判が慌ててそう宣言した。

その声がやたらと響いたのは、その戦いとも言えない残虐な行いで、誰一人声を上げられずに居たからだ。


観客の誰もが思っただろう。

息を潜めていなければ、次は自分が餌食になる、と。




「・・・・・・はん。」

クライは詰まらなさそうに、ギガース族の男の背から降りた。



だが、その時。



「ごの、やろぉおおおおおおおおおお!!!」

突如としてギガース族の男の上半身が起き上がり、まだ無事だった片腕を振り上げた。


巨人族、特にギガース族は不死性にも近い生命力がある。

そして得意な属性は、地属性。大地から生命力を得られる彼らの耐久力は、他の種族の追随を許さない。


つまり、瀕死の重傷になったくらいでは彼らの戦意は喪失しないという事だ。

その辺は、クライの残虐さに当てられた審判の早計であった。


そして反撃しようとした彼の不幸は、体の機能の殆どを潰され、審判の声が聞こえていなかったことだ。



「おい、邪魔だから誰かさっさと片付けろよ、このデカブツ。」

クライは振り向いてそう言った。

だけに、見えた。


その瞬間、ギガース族の巨体が跳ね飛ばされたかのように大きく仰け反ってぶっ飛ばされた。



それを認識できたのは、『マスターロード』だけだった。

棒状に固定化した空気を、振り向きざまに一閃したのだ。


それも、一瞬で八回も同じ個所に。

殺さなかったのは、もはやクライの気まぐれでしかない。




「やべ、つい癖で斬っちまうところだった・・・。」

ギガース族の男が地面に落ちる音で、クライのぼやきはかき消された。



「で、合格なの?」

「えッ。」

あまりにも流れるように問うので、審判にその答えを持ち合わせていなかった。


審判が後ろの試験官や有力者たちに目を向けると、彼らは何度も首を縦に振った。



「ご、合格ッ!!」

「ああ、そう。」

審判の宣言に本来なら歓声が沸き立つところなのに、クライはただ当たり前のように受け入れ、そしてそれを祝福できる者はいなかった。


「じゃあ、早速騎士になれたところで・・・。」

正確には叙位されて初めて騎士に成れるのだが、準備運動も終えて高ぶったクライはそんなことどうでもよかった。




「おい、『マスターロード』。・・・俺と戦え。」

そして当人に向かって、クライはそう宣言した。






・・・・

・・・・・

・・・・・・





「あー、面倒くせぇ。」

全長二十メートルは下らないだろう巨大イノシシを一刀両断すると、クライは欠伸をした。



「今のは魔獣だよな。えーと、これで二十六匹ってところにしたいが、ノーカウントだ。まだまだ先はなげーな。」

クライはそう呟くと、後ろで戦々恐々としていた部下たちに、剥ぎ取れ、と命令した。



彼が騎士に成る試験に合格したその日、彼の要求を『マスターロード』は条件付きで受け入れた。

即ち、幻獣百匹討伐である。


これは楽勝だ、とクライは受け入れたが、二十匹ほど嬉々として斬り殺したところ、連中は彼を怯えたのか滅多に姿を現さなくなってしまったのである。

それ以来、十数年以上掛けて数えきれないほどの魔獣を毎日斬り殺す日々となってしまったのである。



勿論、『マスターロード』はそれくらい想定済みであり、彼の思い描く第一層の土地拡張計画に彼がまんまと利用された形となったわけである。

それをルナから指を指されて大笑いされ、腹いせに毎日魔獣が犠牲になる。



とまあ、そんな感じでクライは騎士生活を過ごしていたのである。





「クライ、そう言えば今度リリスたちがこっちに来るらしいわ。」

「あ゛? なんであいつらが来るんだよ。」

“不在宮”に併設されている一般騎士階級たちへのサロンの一部屋で、テーブルの上で足を組んで椅子に座ると言う見本みたいな不良の態度でクライはルナに問うた。


「あいつらの活動範囲は地上のヨーロッパが中心だろうが。

それともあの『カーディナル』のクソ尼とやり合うのなら、御免だぜ。友情ごっこなら舞台の中でやりゃあいいんだ。」

この二人と吸血鬼たち、つまり“ノーブルブラッド”はこの世界での旧知である。

ある意味で、この二人が唯一転生を重ねても繋がりがある組織と言えるだろう。


ルナは首領であるリリスの相談役みたいなものだし、クライも騎士団長なんて形式だけの役職を受けるくらいには深く関わっている。

何せ、あの組織には二人にとっても因縁深い“昔馴染み”まで居るのだから。



「違うわ、どうやら第五層の吸血鬼の親玉の撃滅が目的らしいのよ。」

「ああ、あの『最も尊き血と夜の王』とか言う奴か? ありゃあ穏健派だろう、それがなんで今更・・・。」

「それがね。」

ルナの説明はこんな感じである。


今第五層は、ルナの擁する勢力と、『最も尊き血と夜の王』こと“原生”の吸血鬼の勢力で二分しているそうだ。

それはまだいい、別にお互いに争いがあるわけでもない。


問題は、後者の吸血鬼たちが新天地を求めているという事だ。

その為に彼らは地上へ向かおうと呼びかけている。


そして前者はルナの言葉に従い、ここに留まる事を選んだ連中である。



“原生”の吸血鬼たちは、元々魔族の領域ではなく、地上に住んでいた者たちである。

元々この世界の存在なのだから当たり前なのだが、彼らは地上での異端狩りから逃れて、安住の地である魔族の領域へやってきた。

それが地上での異端狩り魔女狩りが下火になると、元の場所へ帰りたがり始めたのである。


二百年ほど前に『マスターロード』に敗北して、その権威が失墜したこともあり、ここ最近は顕著になっているそうだ。

現在『マスターロード』は、魔族を地上に出すわけには行かないと、その舵取りに奔走しているようだ。


そして“原生”の吸血鬼が地上に出れば、当然地上の吸血鬼は活性化する。

それは芳しくないと考える“ノーブルブラッド”が、人間達を守るべく彼らの討伐を決意したのだ。




「くっくっく・・・吸血鬼どもは、プライドそのものだからな。」

敗者のままでいるのは、許せないのだろう。

だから、自分たちの敗北を知らない地上へと向かおうとしているのだ、とクライは解釈した。


「一度自分たちが逃げてきた場所に行こうとするなんざ、馬鹿な連中だ。」

「ええ、本当に愚かよね。人間は昔より、もっと恐ろしくなっていると言うのに。」

「で、何でんなこと、俺に言うんだよ。」

「それで、リリスは私たちも手伝ってほしいって言っているのよ。」

「だから?」

「だから、って手伝いにいかないの?」

「あのなぁ、俺は戦いが有れば飯の心配も忘れて突撃するような馬鹿じゃないんだよ。」

「えッ!?」

「ぶっ殺すぞ。」

からかわれているは分かっている為、クライは口だけで手は出さなかった。



「だって、ある意味では神に近い吸血鬼なのよ?」

「だがリリスよりは弱いんだろう? それに負け犬には用は無いんだよ、俺は。」

「まあ、まだ彼女よりは弱いと決まっては無いけれど。」

だがルナも、このまま二つの吸血鬼の陣営がぶつかると、リリスが勝つと予想しているようだ。


当然だ、リリスはあの『黒の君』が吸血鬼の増殖予防の為に地上に送り出した最強の抗生物質なのだから。

アレに適う吸血鬼など、存在するわけがない。



「・・・・分かったわ、参加しないと言うのなら、私も手を貸す道理は無いわね。」

「しばらく上が騒がしくなるな。」

クライは、けらけらと笑った。



程なく日数が経つと、彼らの下まで“原生”の吸血鬼が滅びたと言う噂が聞こえてきた。

その間も、クライは魔獣を狩りながら、幻獣を探す日々を送っていたのだった。






こんにちは、ベイカーベイカーです。

初めてのクライ(の中の人)とルナのお話です。

あんまり想像通りの人物と違うと思う人もいるでしょう、ですがただ彼は無茶苦茶なだけなのです。

強敵がいなければこんなものです。大丈夫、次回には待望の強敵が登場しますから。

それに、どちらかというとこの話は二人の話というより、二百年ぐらい前に何が起こったのか、内容の補完が主な目的となっています。

二人のハチャメチャさはおまけみたいなものです。

次回後篇、こうご期待。



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