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魔族の掟  作者: ベイカーベイカー
第四章 断片編
59/122

第五十二話 “彼女”の生き方






「・・・・・・・・・・・・」

感傷的になるようなたまではないが、俺は森の中にある外縁にまでやってきた。


延々と続く森に見える“壁”に、ぽっかりとソフトボールくらい穴が空いていた。

ブチ破られたあの穴も、昨日は窓くらいあったのにここまで自動的に復元されていた。



こう言う何とも言えない気分の時は、海を見るのに限ると言うが、案外間違っていないのかもしれない。

この広大な海を見ていれば、この感情も大海の一滴として消え去る様に感じたからだ。


それに、もしかしたら俺も海を見るのがこれで最後に成るかもしれないから、見納めにやってきたのだ。

決して魔族の皆の騒動に辟易して抜けだしてきた訳ではない。


歓迎会は三日後に延期され、更に有ろうことか刺客にフウセンが狙われた直後だと言うのにドンチャン騒ぎを再開したのだ。

あれは夜通しになる気配を孕んでいた。




「なんや、あんさんもここに来てたんか。」

訛りのある日本語が後ろから投げ掛けられた。

意外な人物やってきた。



「おい、主賓がこんな所に居て良いのかよ。」

「勧められたキッツイ酒を一杯飲んで、酔えなくて萎えたわ。酒の臭いが嫌やから風に当たりに来たんやけど、これは無理そうやな。」

フウセンはそうぼやいてから、その辺の適当な草場に座り込んだ。


「フウリンは帰って来たのか?」

「うん、さっき帰って来た。ウチは無事だからゆっくりしてええって伝えたんやけどな。」

「そいつは良かった・・・・。」

何となく、あいつは危ない橋を渡って来そうな気がしたから、無事に帰ってきて安心した。



「色々と情報収集してきたみたいやけど、やっぱりウチらに帰る場所はあらへんっぽいわ。もう・・・どこにも・・・。」

「・・・・。」

「いや、最初からどこにも無かったんかもしれへんな。

ウチは生まれついての化け物やし。ウチが“処刑人”になったのも、このまま普通に生きてたら周りが危ないからやもん。」

「・・・魔族の連中も悪くないぞ。

住めば都っていうだろ、ちょっと血の気が多いが気さくな連中ばかりだ。」

生憎、俺はこんな局面で気の利いた台詞を言えるほど頭は良くない。

そう言うのはイケメンの特権だ。



「はん、化け物の親玉には相応しい場所ってことやな。」

「・・・・・・・。」

なぜだか、そんなはずないのに、彼女の自虐的な言葉はまるで俺を責めているようにも思えた。



「やけっぱちになるなよ、クロムの奴は性格があれだが頼りになる奴だ。それに軽く構えとけば、案外なんとかなるもんだ。」

「気休めはええわ。昨日今日過ごして分かった。

今の自分がとてもストンと腑に落ちるんや。分かるか? 人間だった頃はいっつも言葉にできへんモヤモヤが胸の中に有ったんよ、だけど今になったらそれが無いんや。

型に嵌まるっちゅうか、パズルのピースがぴったりと合うって言うんか。そんな感じなんや。

ウチは今な、悲しい事いっぱい有ったはずなのに、ちっとも何も感じへんのや。」

「そんなのは、色々有り過ぎて感覚がマヒしてるだけだ。」

「違うんよ。あの魔女やないけど、なんだか何事もどうでも良いって思えるようになったんや。

大事なもんなんて無んやったけど、どれもかしこも同価値に思えるんや。だけどそれをウチはどこかおかしいと思っとる。チグハグで訳分からへんのや。」

「・・・・・。」

彼女の中で、魔王と人間の価値観が同居しているのだろうか。


確かに魔王みたいな存在なら、何もかもが同じでどうでも良く思えるのかもしれないが。




「ウチ、魔王に成ってみようと思うわ。」

「・・・・・・。」

「誰かがそう言う役割でウチを必要としてくれんなら、この茶番に付き合ってやってもええ。」

「・・・・茶番とか言うなよ。あいつらは、真面目に生きてるんだぜ。」

「茶番やなかったら、何なんや。ウチの人生、あの日の為の御膳立てみたいないな物やったんや。こんなのどんな下らん落語のオチは無いわ。

だったらもう、ここから先は笑い話のようなもんやろ。せやから、ウチが魔王何て失笑モノの役を演じようが変わらんやん。」

「・・・・お前、まだ錯乱してるんじゃないのか?」

「逆に聞くわ、あんさんがウチと同じ状況で、狂わない保証は有るんか?」

「・・・・・・・。」

俺は、何も言えなかった。



「それに、楽しいかもしれないやろ。魔王に成ったら、神様みたいに崇め奉られてずっと生きられるかもしれんやから。

・・・何も、考えずに、何もかも、ぶっ壊せるかもしれへん。」

「そん時はもう一度止めてやるよ。」

「ええよ、せやけど、そん時はウチの前に戦うのはあんさんの知り合いになると思うけどな。」

「・・お前ッ・・・・。」

俺は危うく、フウセンを怒鳴りつけるところだった。


だけど俺にはできなかった。

振るえた涙声を出す彼女に俺は何も言えないのだ。


何となくだが、フウセンの奴が昔惚れてた幼馴染に似てるからだろうか。

手ひどく振られた俺だが、惚れた弱みで今でも憎からず思っているのだろうか。



・・・もう、この話は止めよう。




「あほう・・・男なら、それでも止めてやるって言うてみんかい。」

「そう言うのはフウリンにでも言って貰えよ。」

「せやから・・・ウチとあいつはそう言う関係やないわ。

中々顔はええから最初の内はそんな風に思ってた時期も有ったけど、修羅場潜ってるうちにそないなもんと違うって気付いたんや。

そう言うあんさんらはどうなんや。」

「おい、お前まで・・・止めてくれよ。

俺はエクレシアとはそういう関係じゃねーよ。だいたいあいつは使命を食って生きてるような敬虔な奴なんだ、釣り合わねーよ。」

「はーん。やっぱりそっちかいな。

ウチは誰とは言ってないよ。メイ君って単純やね。」

「こ、こ、このッ・・・・。」

俺は思った。


やっぱり、女なんて大嫌いだと。




「ちちち、違うわ、周りがそう言うだけだし!! 俺ら以外に人間が居ないからそう言う風に思われてるだけだしッ!!」

我ながらなんでテンパっているのか分からないが、どもりながらそう言ってしまった。



「きゃはははは!!! なんや、ムスッとしてても可愛えとこあるんやないか。まあ、ムッツリっぽいけど。」

「ちょ、違うしッ!! ムッツリじゃねーし!!」

「えー、そやけど、あんさんの見る目が時々嫌らしい気がするんやけど・・・。」

「ッ・・・。」

「・・・なぁ、そこは負い目が有っても否定せいや。」

はあ、とフウセンは溜息を吐いた。



「まあ別にええけどね。」

「いや、納得するなよ!! 誤解だかんな!!」

「はいはい・・・。」

フウセンはどうでも良さそうにそう言った。





「酷いわぁ・・・私もミネルヴァちゃんも人間なのに。」

「ッ!?」

すると、その辺の木の陰から、ひょっこりとクロムの奴が姿を現した。



「お前、いつから居たんだ・・・。」

「彼女が魔王に成るとかトチ狂ったことを言いだしたあたりから。」

結構最初の方から居たようだ。


「隠れて盗み聞きかよ、悪趣味だな。」

「人間観察は私の趣味なの。」

「悪趣味やわぁ・・・。」

フウセンにまで言われてしまっている。



「つーか、なんでこんなところに居るんだよお前。」

「それがね、エクレシアの奴がお酒を口にして酔っぱらって絡まれたから、逃げて来たの。」

「あー・・・・。」

アイツ酒癖悪いもんな。結構鬱憤溜まってるのか、酔うと普段では想像の出来ないことするし。



「何だか色々悩んでるみたいだけれど、嫌なら変わってほしいものだわ。好きに生きていれば細かい事なんでどうでも良くなるわ。」

「発言だけみればお前の頭クルクルパーに聞こえるぞ。」

今のフウセンには到底かなわない生き方だろう、それは。



「そんな単純やないわ。

あんさんになにが分かるんや。」

「分かるわけ無いし、興味も無いわよ。でも自分の人生よ?

他人に好き勝手にされるなんて、少なくとも私は耐えられないわ。

自分の事は自分で決めていかないと、生きているなんて言わないのよ。そうでしょう?」

「やめとけ、こいつに口じゃ勝てねぇよ。」

無駄な労力を重ねようとしているフウセンに、俺はそう言ってやった。



「別に言い負かすつもりで話をしているわけじゃないんだけれど。」

何を言われても大抵飄々としているクロムだが、このように話を遮ろうとするとムッとする。

こう言う時は適当におだてとくに限る。



「いやな、お前は自分ばっかりで喋らないでさ、エクレシアみたいに誠意を持って話したりすれば、話の有難味が増すって言うかな・・。」

「なかなか難しい事を言ってくれるわね。

私は自分を曲げる生き方なんてしたくないわね。そう言う意味じゃ、エクレシアは羨ましいわね。

だって、絶対に私には出来ない生き方しているもの。」

「とりあえず、俺からは悔い改めよ、とだけは言っておくよ。」

「あははは!! 可笑しい!!」

俺は至極真面目にそう言ったのだが、クロムは手を叩いて笑いやがった。



「お前のそう言うお気楽な所が・・・俺は羨ましいよ。」

俺はげんなりして溜息を吐いた。


クロムの奴と話をしていると、何だか九官鳥とでも話している気分になる。



「・・・なあ、ウチにこれから、良い事有ると思う?」

フウセンはクロムに問うた。


「無いなら、作ればいいのよ。楽しい事をね!! そうね、人生を彩るなら、やっぱり趣味よ!!

何か、熱中できるものがあれば最高だわ。特に魔術を学んで真理を探究なんか遣り甲斐が有ると思うし。」

「おいおい、趣味に魔術を勧めんなよ・・・。」

「なにを言っているの、中世には魔術に傾倒する貴族が多くいたのは歴史が証明しているわ。まあ、趣味で魔術をやられるのは業腹だけどね。」

やっぱりクロムに口で勝てる気がしなかった。頭の出来が違うのだ。

言ってる事が割と正しいのが何だかムカつくが。



「趣味・・か。ウチに趣味を楽しむ権利なんてあるんかな・・。」

「何バカな事言ってるの。貴女はね、選ばれたのよ!!

凡俗な地上の人間の中から、この世の真理と叡智を極めることが可能となる『才能』を生まれながら持っていたのよ!!

それも大師匠すら上回る絶対的な才能なの。元々が魔王のだろうがなんだろうが、どうでも良いじゃない。

重要なのは、それが今、貴女の物だってことなのよ。」

クロムは俯くフウセンに声高々にそう言った。



「・・・そないなこと、考えた事なかったわ。」

「胡散臭く聞こえるけど、事実なのがなぁ・・・。」

俺は無表情で胸中を纏めているだろうフウセンを見た。


クロムは素人でも五年有れば魔術師として十分な準備期間に成るといった。

もうその段階を彼女は終えているのだから、あとは吸収するだけだ。


彼女が本格的に魔術を学べば、恐らく人間として空前絶後の魔術師になるのだろう。




「あのな、ウチはずっと一人前の魔術師に成る為に“処刑人”になったんや。それが『盟主』に対する恩返しになると思ったんよ。」

「・・・それで?」

テンションの高くなったクロムも、空気を読んで彼女に促した。


「恨んでええって、『盟主』は言うたけど、あの人は少なくとも最低限の義務だけ果たす本物の親とは違ってウチに気に掛けてくれたこともあるんや。

それでも本物の親よりマシって程度やったけど、気に掛けてくれていたのは本当やったと思う。」

「師匠、あれでも人の親だからねぇ。実子じゃないけど。」

クロムがしみじみと、合いの手を入れるようにそう呟いた。


あの『盟主』に子供・・・実子じゃないと言う事は養子なんだろうけど、何だか意外に思えた。

いや、あの大師匠の弟子なんだから、次代に魔術を継承させる子供くらい居て当然か。




「全部が全部、嫌いになんて成れへんよ。」

彼女は首を振って、苦しそうにそう言った。


親愛の感情。

俺には、理解できないものだ。



「ウチにもこんな情が残っとるとは思えへんかったけど、最低限の義理は果たそうと思うわ。

・・・ウチ、やるわ。魔王になって、生きたまま真理の最果てを全て網羅し尽くしたる。

そんで、もうウチが不幸なんて思えんくらい、楽しい事いっぱい見つけたるッ!!」

「素晴らしいわッ、その意気よ!!」

「おいおい、誘導されてないか? ちゃんと考えた方が良いんじゃないのか?」

俺の中にフウセンを恐れると言う感情が無い訳でもなかったが、彼女の今後の人生に関わる事だ。


一時の感情に任せて、決めて良い物ではない。



「ううん、もう決めたわ。ウジウジ悩んでても仕方ないやろ。

それにこの状況や、どの道魔術を学んで、みんなを守らなあかんやろ。ウチなんかに、付き従ってくれる言う奇特な連中ばっかりやけど。」

「クラウン経由で俺もその奇特な連中の一人って事かよ。」

まあ、フウセンがやる気だしてくれるなら心強いが。



「だけどな、それは生きる目標や。それとは別に、何か趣味を見つけようと思うわ。」

「趣味ねぇ・・・サイリスなんかは魔術の実益も兼ねて色々とハーブを育ててブレンドしたハーブティを作ってるって言ってたけどな。」

「うーん、実益かぁ。でも実益が有っても釣りなんかじゃ、そのうちそんなことしてる場合じゃなくなるやろうし。

・・・・・やっぱり武道とか?」

「厳しい剣術の先生なら紹介できるぜ。そん時はお前が妹弟子な。」

「それなんやけどな。」

何やらフウセンは難しい表情になった。



「なんかな、ウチに剣を振り回すのは合わない気がすんのや。向いてないって言うかなぁ・・・。」

「・・・・よく言う・・・。」

バンバン魔剣を振り回された立場からすれば、なに言ってんだこいつと言いたくなる話だ。


これもそう簡単に決まるもんではない、と思っていたら、フウセンは意外にも早くポンと手を打った。



「あ、そうだ。“処刑人”だった頃の筆頭が弓の名手やったのを思い出したわ。

弓なら実益も趣味も兼ねられへんか?」

「確かにそうだけどさぁ・・・。」

こいつが弓術とか精神を重きに置く武道とかをやる姿とか、ちっとも想像できないのだが。



「とりあえず、誰か弓とか得意そうな人とか紹介してくれへん?」

「え、・・・まあ、魔族の皆は長いこと弓を引いているんだ。

探せば名人くらいいるかもな。お前ならみんなもきっと喜んで教えてくれるだろうけど。」

俺の隊にも弓使いはいるし、旦那に頼めば紹介してくれるだろう。


そこで俺はふと、何だかばつが悪そうな表情をして黙り込んでいるクロムが目に入った。


だからだろうか、俺は記憶の検索の片隅に引っかかった出来事に思い当たった。



「そういやクロム、お前って弓できたよな?

エクレシアが弓矢の納品の際の最終調整してるのを見たって言ってたぞ。

自信なくしたとか、真似できない腕だとかってかなり絶賛してたが・・・。」

もし俺が神様に会える機会がくるとして、一つ質問ができるのなら、なんでこいつにここまで才能をくれてやったのか問いたいものだ。


「そりゃあ、できるわよ。弓を使った魔術はありふれているし。教養の一つとしてかじってたわ。」

「かじったって・・・それでエクレシアから褒められる腕ってどんだけだよ。」

エクレシアも一応騎士の嗜みとして、五十メートル先の狙った的に矢を当てるくらいには弓が扱えるらしい。


ほかにもいろいろと並行して習っていたから、そこまで熟練するのに数年かかったと言っていたが。



「私に扱えない道具は無いの。

それに、普段は暇してる戦闘要員は基本的に武器とかの熟練とかのスキル上昇要因だから。

技術を共有している“私達”にとって、それだけコツを掴み易かったり、練習量も数の分だけ底上げされるもの。」

「体がいくつもあるって便利だよな・・・・。」

実に羨ましい話である。

分担作業とは言え、こいつ自身は何もしなくても勘が鈍ったりしないし、日々技量が上がっていくのだ。


勿論武術なんかの練習量は単純な足し算ではないだろうが、なまじこいつには才能があるから侮れるものではない。

事実俺は真正面から容易く蹴られたこともあるし。




「というか、ギリシア系列の魔術って弓を使うのが多かったはずだけど。あっちじゃ剣より弓の方が魔術的な意味合いが強いし。」

「え、あ、それは・・・。」

クロムにそう指摘されて、俺はどもってしまった。


一応、俺もできないこともない。

というか、殆どアイツの記憶頼りな訳だが。


だけどあれだろ?

自分の技術でもないのにそれをひけらかすのって、なんだか人間としてダメな気がするし。



「呆れた。肉体強化とか技術の再現とか、本人の能力に依存するのよ。

いくら大元の技術がすごくても、肝心な時に体が動かないってこともありうるの。いつでもできるからと言って、備えないのはバカのすることだわ。」

そして、宝の持ち腐れね、とまで言われてしまった。


・・・・ぐうの音も出なかった。




「・・・・うん、一緒にやろうか?」

「・・・おう。」

フウセンに気を遣われた。なんだか虚しい。



「なあ、上手いんなら教えてくれへん? なんか、まだ魔族のみんなの態度に慣れへんというか、気後れするというか・・・。」

まあ、今まで普通の人間の中に生きていたフウセンが魔族の皆に慣れないというのは分かる。

なにせ、自分と相手は根本的に違う存在なんだから。


俺もだいぶ慣れたが、まだ知らない種族にあったばかりの時はなんだか苦手意識が生じるのだ。

とは言え、なんでこいつに頼むかなぁ。



「嫌よ、別に私は誰かに何かを教えるのは嫌いじゃないけど、弓術だけは嫌。絶対に嫌よ。」

と、俺が何か言う前にクロムは完全拒否の態勢をとった。


ちょっと意外だった。

何だか弓の話が出てから嫌そうな雰囲気だしていたが、ここまで露骨に嫌悪を示してくるとは思わなかったのだ。



「でも、上手いんだろ。俺は前々からあんたの射撃の腕は痺れるなぁ、と思ってたんだが。」

ちょっと気になったので、おだてて反応を見る。




「・・・・・・・・・・・・・・。」

しかし、そっぽを向いてだんまりを決め込んだ。

およそクロムらしくない反応に、俺は面を食らった。



「なんや、ケチやなぁ。」

「しょうがないからエクレシアに頼むか。」

それから大人げなくクロムは一切口を開かなかったので、そういうことになった。



「ケチとは心外ね。確かにお金にがめつい自覚はあるけど、使いどころは弁えているもの。

そして使うなら躊躇わないし妥協はしないの。誰かに物を教えるのも同じ。」

そう決まってからようやくクロムが口を開いた。



「私は誰かに何かを教えるときは、一切妥協しない主義なのよ。

そこまで言うなら、代わりに貴女が色々と魔術とかのデータ採取に協力してくれたら、付き合ってあげてもいいわよ。」

「おお、ええよええよ、なんぼでも付き合うたる。」

なんか交渉成立したようだ。


いきなりどういう風の吹き回しだろうか。



「つーか、どうしてそんなに頑なだったんだ?

あんたに限って教える自信が無いってことはないだろ?」

俺は気になって訊いてみた。



「あなたは年下の誰かに勉強とか教えたことあるかしら?」

「いいや。」

「私これでも負けず嫌いなの。

昔、年下の妹分に弓矢の練習に付き合ってやってたりしてたんだけど、気付いたら腕を抜かれたことがあるのよ。」

クロムにしては、珍しく苦々しい表情をしていた。



「あー・・・。気持ちは分かるが、そんなちっちゃな理由かよ。」

そう言ったら、腹を殴られた。

がはっ、と俺は肺の中の空気が残らず外に出た。



「へぇ、流石に器が大きいのね。じゃあ、女の私に一方的に殴られても、別に小っちゃいことだもの、かまわないわよね。」

どうやら、これはクロムの逆鱗だったようだ。



「こら、いきなり何やってんのや!! かわいそうやないか。」

途中でフウセンが割って入ってきてくれたおかげで、数発殴られたくらいで済んだ。



「げほっ、げほ・・・暴力反対・・・・」

「別に銃の的でも構わないのよ。彼女と一緒にやるんだから、貴方は射撃練習に付き合ってもらおうかしら。勿論、貴方を的にして。」

「すいませんでした。」

思いのほかダメージが少なかったから、腰を曲げて謝った。

なんだかんだ言って、こいつを敵に回したくないのだ。怖いし。



「ふんっ。」

「うわぁ・・・プライド無いんか・・。」

クロムは拗ねたようにそっぽを向いたが、フウセンには呆れられた。



「まあ、実益もええけど、文化的な趣味もええよな。やっぱり、魔術師なんやから読書とか?」

「だったらクラウンの奴に・・・ああ、うちの家主な。そいつが多分この村で一番本を持ってるだろうから、頼んどいてやるよ。」

「そか、おおきに。んじゃ、さっそく頼みに行こ。」

「え、あ、ああ。」

俺はフウセンと出会ってまだ数日だからわからなくて当然なのだが、彼女はやはり行動派らしい。

考えるより先に動く、みたいな?



俺はそれに驚きつつも、“壁”の方を振り返った。

もう親指の先と人差し指を丸めて先を合わせたくらいの大きさしかなかった。


もうここに、未練などなかった。



俺はフウセンに手を引っ張られるままに、彼女について行った。






・・・・

・・・・・

・・・・・・





「あんなのが魔王になったら、みんな引っ張りまわされるのかもねぇ・・・。」

一人になったクロムは、やれやれと肩をすくめて溜息を吐いた。


色々とやることがあるので、彼女は帰ることにした。



「・・・・げッ」

すると、彼女は帰路の途中で、ふらふらと微妙に足取りがおぼつかないエクレシアを見かけた。



「ひっく・・・・見つけましたよ・・・。」

「今日はついてないわね・・・。」

クロムはもう一度溜息を吐いた。

まさか森の中まで追いかけてくるとは思わなかったのだ。



「いいですかぁ!! あなたはですねぇ!!」

「とりあえず、これを飲みなさいよ。話はそれからにしましょう。」

目が据わったエクレシアは非常に酒臭かった。顔も真っ赤である。

クロムは錠剤を取り出すと、指で弾いてそんな彼女の口の中に飛ばした。



「うッ・・・・・みず、ください・・・」

「・・・・はい。」

クロムはその辺の葉っぱを数枚取ってコップの形に固定させ、その中に空気中から水分をかき集めて注ぎ込んで、彼女に渡した。



「聖職者とは思えないわね・・・。」

ごくごく、と喉を鳴らして水を飲み干すエクレシアを見て、クロムは一言そう漏らした。




「・・・・・・・・・・・。」

「体調を整える秘薬だから、アルコールぐらいならもう抜け始めてるでしょ。さっさと正気に戻ってよ。」

「私は初めから正気ですよ。」

こめかみを押さえて、エクレシアは即答した。



「だいぶ、酔いが抜けました。」

それから十数秒くらいしてから、彼女はそう言った。

すっかり彼女の顔から酔っ払い特有の赤みが消えていた。


「おかげで嫌なことを思い出しましたが。」

「まあ、あんなことがあった後だものねぇ。

ミネルヴァちゃんじゃないけど、ベッドに潜り込んで眠って忘れたいわ。」

「・・・・・・・・・。」

「どうしたの? まだ頭でも痛いの?」

さっきのフウセンみたいに俯いて難しい顔をしているエクレシアに、クロムは思ったことは基本的に口にする性格なので、そう問うた。



「いいえ、聖職者とは思えない、ですか・・・。」

「貴女ねぇ・・・そんなのただの嫌味に軽口じゃない。だいたい、貴女ってそんなこと気にするようなタイプじゃないじゃないの。」

と言いつつも決して謝ろうとしないクロムだった。



「・・・・・・・・・・・・。」

「え、もしかして気にしているの? 私みたいな人間の言葉なんてなに真に受けちゃってるよ。」

また黙り込んだエクレシアに、怪訝そうにクロムはそう言った。


しかし、それでも彼女に反応が無かった。



「まさか、あの『パラノイア』に負けたこと気にしてるの?」

クロムが彼女の様子を窺いながらそう問うと、エクレシアがぴくりと反応した。



「やっぱりね。あれは負けのうちに入らないと思うわよ。

あのレベルの魔術師は私たちの想像もつかないズルを使ってるに違いないもの。」

「違うんです・・・・。」

しかし、ぽつりとエクレシアはそういった。



「じゃあどうしたのよ。あのね、これ見よがしに私の目の前でそういう気になる態度を取らないでよ。気になるじゃない。」

「ですが、こんなことは貴女にいうようなことじゃ・・・。」

「じゃあ彼に聞いてもらえばいいじゃない。」

「彼になら、なおさら言えません。」

「うわ、うざ・・・。」

何だかクロムは好奇心より面倒くささが先立ち始めた。



「めんどくさい女ねぇ、お高く留まっちゃって。そんなんだから彼に遠慮されるのよ。」

「そういうわけじゃ・・・。」

「ていうか、ここで帰ったり帰られたりしたら、私の精神衛生上良くないわ。言いなさい。早く。さっさと。ほら!!」

「っは、はい・・・。」

というわけで、クロムはそんな風に催促してエクレシアを無理やり頷かせた。



「実は、いま私はとても悔しいと言いますか、何とも言えない気持ちなのです。」

「ふーん・・・それで? やっぱりあの人の所為で?」

「厳密に言えばそうかもしれません。

とっさとは言え、呪術で応戦して呪詛返しを受けた訳ですから。」

「ああ、そういうこと。」

言いづらそうなエクレシアの雰囲気から察して、ようやくクロムは理解した。



「ああ、つまり、対魔女専用術式を跳ね返されてダメージを受けた自分が恥ずかしいのね。」

「うぅ・・・。」

クロムの歯に衣着せぬ言葉は、図星だったようだ。

恥じ入るように、エクレシアが俯く角度が深くなった。



「でもあれって活性化した魔力に反応する呪詛じゃないの?

ぶっちゃけ男にだって効くし、逆に魔術師相手に効かないわけにはいかないから、それも当然だと思うけれど。」

「そういう理屈ではなく、私に効いてしまったことに落ち込んでいるんです。一応、私も聖職者としての立場がありますから・・・」

「そんなの、単純にレジスト能力の問題じゃない。

そんな生まれつきの素養で落ち込んでるとか、訳が分からないわ。

でもあの状況で最善手を打てるのはなかなか難しいでしょうけど。まあ、確かに聖職者としては迂闊だったとしか言えないわね。」

自分のアイデンティティを突き崩される攻撃というのは、往々にして魔術師には致命傷となるものだ。

生きていただけ儲けものである。


そういうわけで、いつ自分も似たような目に合うかわからない立場として、クロムはそれなりに同情していた。



「それだけではありません。」

「ん?」

エクレシアはしばらく言うか言うまいか迷ったようだが、クロムの表情を見上げて、意を決したようだ。



「これは貴女にいうべきことでしょう。」

「なによ。」

「もう一つ後悔したことがあります。

また、目の前で貴女の自殺を許したことです。」

「・・・・・・・・・・なにそれ。」

予想外のエクレシアの言葉に、クロムは少々絶句した。



「貴女は、私の知っているクロムさんではないのでしょう?」

エクレシアはそう言って、胸元からチェーンに繋がれた認識票のプレートを取り出した。


そこにはこう書かれている。



――――『メリス№382 探索用』


と。そして、彼女はそれを裏返した。


そこには、『個体名:クロム』と刻まれていた。



「ああ、それ返してね。同じ物があるとややこしくなるから。」

クロムは・・いや、“彼女”はそれを受取ろうと手を伸ばしたが。



「嫌です。」

エクレシアは手を引っ込めた。



「・・・・・・・・不思議ね、貴女は私を人間として認めないと思っていたのに。」

そして、“彼女”は微笑すら湛えて呟いた。


「我々人間は、神の似姿とされています。ならば、それを精巧に似て作られた貴女も、我々と同じである・・・こういう解釈は如何ですか?」

「旧約聖書の創世記ね。・・・それはいいことを聞いたわ。

次から誰かに神の冒涜だって言われたらそう返すことにしようかしら。」

「いえしかし、確かに神への冒涜には違いないと思います。

ただ、貴女はただの冒涜の域を超えてしまった。そこが問題な訳ですが。」

「真面目に返さないでよ、ちゃかしているんだから。」

「真面目な話をしているのです、ふざけないでください。」

「「・・・・・・・。」」

二人の間に、沈黙が下りた。



「こんな森の中で話すことではないわね・・・何か飲みながらにしましょう。大丈夫よ、逃げたりしないから。」

「・・・・わかりました。」

“彼女”の提案に、エクレシアは神妙に頷いた。






・・・・

・・・・・

・・・・・・





「ブドウジュースよ、一日に何度も酔うのは嫌でしょう?」

“彼女”は、グラスに赤ワインと同じ色の液体をグラスに注いだ。


クロムの仮住まいのテーブルの椅子に腰かけ、“彼女”は二人分のグラスを用意した。

そして、棚から取り出してきたワインボトルの中身はブドウジュースだという。


一瞬、エクレシアは警戒した。

なにせ、そこからムンムンと酒臭さが漂ってきているのだから。



「葡萄酒があるのなら分かります。触媒に用いますから。しかし、なぜブドウジュースが普通に棚に常備されているのですか?」

同じブドウが材料でも、ジュースとお酒では意味合いが全く違ってくるのだ。


「実はね、お酒に弱いのよ、私。

でもお酒の飲めない女なんて格好悪いじゃない。だからお酒っぽい感じのブドウジュースを作って置いてるの。」

「・・・・・・・・見栄ですか。」

「ええ、悪い? でも外でお酒を飲まなければならない状況もあるでしょうから、さっきみたいに酔い醒めの薬を常に携帯しているの。」

「・・・・・。」

そんな単純でバカらしい理由に、エクレシアは二の句が継げなかった。


試しに一口、グラスの中身を口に含むと、確かにアルコールを含んだ酒ではないことが判明した。



「なぜ、こういう技術力を人のために生かそうと思わないのですか・・・。」

「え、技術ってのは独占して初めて価値があるのよ。

それを人の為に生かすっていうのは、独占した者が利益のためにその恩恵を下々の者どもに分け与えるってことでしょ?」

「・・・いえ、もういいです。貴女が慈愛とかと無縁な方だとよくわかっていたはずなのですが。」

エクレシアは若干嫌味を込めてそう言った。



「慈愛って、投資のことでしょ? だったら私はあなた達にいっぱい慈愛を掛けてるわ。」

「・・・・・・。」

何だか異世界の人間と話している気分になるエクレシアだった。

そして、厄介なことに“彼女”のオリジナルは本当に異世界人な訳だが。




「そう言えば、貴女はこっちに無謀にも一人で布教に来てるって聞いたけれど、どんな感じなの?」

「地道な作業ですから。まずは話を聞いてくれる人を少しずつ集めている段階です。

その為に色々な方々の手伝いをしながら、この地に慣れるようにしています。」

「本当に地味な作業ねぇ・・・。」

「一朝一夕に人心は掴めませんから。」

「羨ましいわね、私には真似できない生き方だわ。」

グラスの中の水面を覗きながら、“彼女”は呟いた。



「貴女、それで生き難くないの? 個人的には、正しさだけで生きていけるなんて、聖人君子並みだと思うわよ。」

「これ以外の生き方を知らないだけです。」

「本当に、羨ましいわ。私が真理を会得するのに、貴女みたいな生き方が必要かもしれないもの。」

「貴女は・・・ただひたすらに求道者なのですね。」

納得はできないが理解はしたという風に、エクレシアは呟いた。



「ところで、輪廻転生の概念はご存知ですよね。」

「ええ、勿論。普遍的な概念だから語れば一晩掛かるわよ。」

「そのシステムが存在しているのを教会は認知していますが、聖書に明記されているものではないので対外的には認めてはいません。

しかし、我々はこう考えているのです。この世に確固として存在するシステムなら、それはすべからく神の御業であると。

――――この世には語られぬ神の真理があると。

その語られざる真実の探求も、我々の教会の役割なのです。」

「なるほどね。堂々と地上に本拠地を構えられないわけだわ。」

「ですから、貴女のような存在が確固として居られるのなら、それは間違った存在だと・・・断じたくはないのです。」

エクレシアはグラスの水面に映る自分の顔を見つめながら呟いた。



「前言撤回するわ。私、貴女みたいなお人好しになんてなりたくないわ。絶対損しかないもの。

言っておくけれどこの体は完全じゃないわよ。本当に人間そのものってわけじゃないわ。

人間大の大きさで、フラスコから出歩くことができても、ベースがホムンクルスには違いないもの。

一週間に一度は特殊な溶液に浸からないと、肌がボロボロになって全身の崩壊が始まるの。

その無様なさまは、貴女も見たことがあるでしょう?」

「・・・・・ええ。」

「だから、無理に納得しなくてもいいのよ。

私、これでも結構貴女のこと気に入っているのよ。

でも、お互いに理解しあえる関係になるって、必ずしも良いことだとは私は思わないもの。」

「それはただ、孤独なだけですよ。」

「人は独りじゃ生きていけない、なんて綺麗事が巷じゃ出回っているけど、それって可笑しな話よね。

なにせ、そういう社会の中にこそ本当の孤独はあるんだから。」

「ではなぜ、貴女は理解されることを望んでいないのですか?」

「それは簡単よ、私が魔術師だから。

不気味さと、不可解さを武器にしている存在だからよ。」

その質問だけは、即答だった。


誇り高い貴族の返答だった。




「・・・寂しくは、ないのですか?」

「寂しいなんて、一人で生きられない人間の泣き言よ。」

「違います、違いますよ。

貴女は、貴女たちは知らないだけです。誰かを愛し、尊ぶことを、“人間”ならできないはずがありません。」

「痛いところを突くわねぇ・・・。」

“彼女”は、笑みを湛えたままグラスを宙へ掲げた。



「或いはそうなのかも知れないわね。

でも、私に釣り合う人間なんて、今まで一人しか現れなかった。しかも女よ。

少なくとも私より強い男じゃないと嫌だから、そういう気になったことはないかも。ハードル高すぎだとは言われるけど。

だけどね、そんなの私じゃないわ。

愛やら恋やらと、そんな下らないことに目を奪われて、本来の目標を疎かにするなんて、そんなの不良品よ。」

廃棄処分でしょうね、と“彼女”は冗談でもなくそう言った。



「そんな扱いを受けてまで、貴女は“人間”だと名乗るのですか。」

「だって、道具だもの。“私”たち。

普通の人間だって、道具扱いされることあるじゃない。だから別におかしなことじゃないわ。

私たちの一派にはオリジナルに反逆しようと画策している者もいるけど、そんな余計な選択ができるって幸せよね。」

中身が減ったグラスにボトルの液体を注ぎながら、彼女はそう応じた。



「もし、あなた達の存在に間違いがあるのなら、それはあなた達が自分の命を軽視していることですよ。」

「命ねぇ・・・でも殺しているのよ、殺されるのは当然のことだわ。」

私はズルしてるけどね、と“彼女”は笑う。



「言っておくけど、私は貴女の言葉に感化されて考えを改めたりはしないわ。

所詮は水掛け論だもの。意見が食い違うだけの無意味な論議。そんなものに価値なんてないもの。貴女もわかってるでしょ?」

「ええ。」

エクレシアも、“彼女”の言葉にうなずいた。



「ですが、私たちはその永遠に答えの出せない問題に向き合わなければならないのでしょう。

神が人に与えたもうた最大の罰は、神のみしか分かりえない現世での善と悪の判断を人自身で決めるということ。

私も、求道者として神の答えにたどりつきたい。」

「そう、悪くないと思うわ、そういうの。」

「ですが、今日はそういうことや教会の人間であることなどの一切合財を忘れて、貴女と話をしようと思います。」

「え?」

“彼女”が驚愕するも、エクレシアはワインボトルを両者のボトルにドボドボと注いだ。



「朝まで飲みますよ。」

「・・・朝って、まだ十二時間近くあるじゃない・・。」

しかし、“彼女”は諦めたように溜息を吐いた。




「まあ、良いわ。今日はとことん付き合ってあげる。」


結局二人は朝まで色々とお互いに語りつくした。













冒頭ネタは現在ネタ切れです。思いついたら再開しますね。

自分は日常系の話は苦手なのですが、ここのところ連戦続きなのでいったん休息を入れたいと思います。

まあ、どうせすぐ戦いになりますしね。


それでは、次回で。



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