私兵偽造でございますか?
その人物が分かると今度は駅の防犯カメラや周辺の防犯カメラで足取りを追っていくことになるのである。
駅から列車に乗れば停車する駅の全ての防犯カメラを調べて何処で降りたかを調べ、改札を通る映像が見つかればその近隣のカメラの映像を調べて拠点や住まいなどを割り出していく。
リレー捜査である。
秀美はリリアが赤い女性を呼び出した時間を思い出しながら
「午後5時半くらいから見ていくか」
と呟いた。
修吾はそれを聞き
「わかった」
と答えながら、ちらりとカメラ映像を流し出した秀美の横顔を見た。
先月の事件の時も、今回も、情報の出所が分からない。
高校時代から親友で共に刑事になってコンビを組んでいるのだが…この一ヵ月自分ではわからない部分が突然増えた。
「かといって、特段性格が変わったようにも見えないし」
何があったんだ?
と心で呟いていた。
秀美は女性の中で見た映像と同じ映像を見つけ
「こいつだ」
と指をさした。
修吾ははっとすると
「…確かに、一万円を使ってるな」
と呟いた。
「しかもタバコか」
偽札を使うにはあるある状況だな
秀美は頷いて
「ああ、俺もそう思ってな」
と告げた。
修吾はちらりと
「…そうか」
と答えた。
男はその後、改札を潜り列車に乗り込むのが駅のカメラで映っていた。
ここからが人海戦術になる。
何処で降りたかを調べるのだ。
が、修吾は顔をしかめると
「…切符買ってないな」
これは骨が折れる調べになりそうだな
と呟いた。
秀美は「ったくだ」と応えながら、ちらりと修吾を見た。
先から反応が一拍遅れなのだ。
もう10年以上の付き合いだ。
間で分かるのだ。
秀美は立ち上がると目を抑えながら
「取り敢えず、列車の停車駅のカメラを回収して調べていくしかないな」
と立ち上がり
「少し休憩しようか」
と告げた。
修吾は頷いて
「ああ」
と答えた。
修吾にも秀美の気持ちがわかったのである。
正につーかーの仲であった。
秀美は他の仲間に駅のカメラの改修を頼んで捜査二課のフロアを出ると
「何飲む?」
と聞いた。
修吾は「午後ティー」と答えた。
秀美は笑って
「お前、相変わらずだな」
と言い自販機のところに行くとそれぞれの飲み物を買って修吾に午後の紅茶を渡すと屋上へと誘った。
時間は既に午前3時だ。
深い闇が広がっている。
秀美は屋上に着くと修吾を見て
「間、があったな」
と告げた。
修吾はそれに
「ああ、お前」
この前と今回とそのネタ何処で仕入れたんだ?
と聞いた。
「俺だってお前だって情報屋はそれなりに持ってる」
だが…タイミングがな
秀美は頷いて
「だろうな」
前回はスカってすぐだったし
「今回は追っていたわけじゃないし」
情報屋に収集させてって訳じゃないからな
と答えた。
そして、振り向くと
「だが不正はしていない」
近いうちに話をする
「それで信じてくれないか?」
と告げた。
修吾はそれに
「わかった」
と答え、ペットボトルのキャップを外すと紅茶を喉に流し込んだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。