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私兵偽造でございますか?

秀美はリリアの戸惑いなど知らず東京近隣の比較的人の乗り降りの少ない所謂鄙びた駅を一駅一駅回り売店の店員に一万円を確認させたのである。

同僚の的井修吾も同じように各地を回り確認させて歩いた。


売店に渡った通貨は時間との勝負なのだ。

特に駅の売店などの場合は翌日には一括で集められて売上金として銀行へと入金される。


そうなると何処で犯人が使ったか分からなくなるからである。


数軒回り秀美は東京都内だが埼玉に近い千ヶ瀬駅で時計を見た。

「ヤバいな」

11時か

「今日は終電に乗れないかもしれないか」


そう呟き、千ヶ瀬駅の売店を見て目を細めた。

あの時に見た映像の売店と似ている気がしたのである。


秀美の特技の一つは視覚認識が良いということであった。

一瞬しか目に映らなかったモノでもある程度覚えていられるのである。


秀美は売店の店員に手帳を見せ

「今日の売り上げの中に一万円があれば偽札かどうか確認をしてもらいたい」

と告げた。


店員は驚いて

「え?は、はい」

と慌ててレジの中から一万円札を出した。

と言っても、そう言う場所で一万円札を使う人間は少ない。

ましてこんな鄙びた駅である。


店員は一枚だけの一万円札を手に確認しサッと蒼褪めた。

「これ…」

そう言って秀美に差し出したのである。


秀美は手袋をしてそれを受け取り

「かなり精巧に出来ているが…偽札だな」

と透かしを確認した。


ホログラムの部分が無いのだ。


まさかである。

よもやである。

店員はへなへなと椅子に座ると「そ、んな」とぼやいて項垂れた。


秀美はそれに

「いや、手触りやぱっと見では分からないくらい性能が良い」

一瞬で見分けるのは難しいだろう

と言い、携帯を手にして修吾に連絡を入れた。

「偽札が出た」

使われたのは千ヶ瀬の駅の売店だ

「今から駅と売店の防犯カメラを回収して庁に戻る」


修吾はふぅと息を吐き出し

「わかった」

と答え

「こっちは空振りだった」

俺も戻るから

「庁で合流な」

と携帯を切って入ってきた電車に乗り込んだ。


秀美は店員に言って札とカメラ映像を回収し

「悪いがこれから鑑識がくる」

犯人の指紋と区別する為に指紋を取るのでその心づもりでいてくれ

と言い、駅の方でも防犯カメラの映像を回収して警察庁の方へと戻った。


時刻は午前0時30分。

空には満月が昇り、夜半であることを無言で教えていた。


秀美の持って帰った偽札は直ぐに科捜研に送られ、指紋と偽造に使われた紙やインクなどの鑑定に入った。


秀美を含め捜査二課では秀美が持って帰った防犯カメラの映像でその一万円を使った人間の割り出しを映像で調べ始めた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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