9話 ある少女の記憶
本文が少なすぎることに気づいた。
昔のある村に普通の少女がいた。
良く寝て、よく食べて、よく遊ぶ、どこにもいそうな少女が昔いた。少し変わった価値観と強すぎる能力を持った少女が。しかし、少女は村に受け入れられて、平凡にされど楽しく生活していた。
そんな少女は最悪の形で人生の転機を迎えた。村に召集命令が下りたのだ。この時、村は飢饉が続いておりここで男の人が抜けると村は壊滅するだろうその時期に。
少女は村の人たちが大好きだ。おはようと挨拶してくれる隣の老夫婦、時々野菜をくれるおじちゃん、一緒に遊んでくれる子供たち。少女はそんな人たちに死んでほしくなかった。
だから、少女は村の人たちの反対を押し切りたった一人で、軍に加わった。
少女が軍隊長にあったとき、軍隊長はこんな小娘一人に何ができると怒った。それに対し、少女は凛とした表情で軍隊長に頭を下げて言った。
「私は村の人たち全員を足して余るほど強いです。そのため、私一人でも問題がない思い来ました。そしてもし、私が大手柄を立てたとき、私に王様と話をさせてください。手柄を立てれなかった時、好きにしていいので。」
軍隊長は即座に了解した。そもそも、こんな少女が大手柄を立てられるはずがなく、さらに、この少女はスタイル顔ともによい。軍隊長は後の楽しみに心を弾ませた。
しかし、現実は予想と違った結果に終わった。それは一瞬だった。開始の合図と同時、空間が捻じ曲がるように相手の軍を呑み込んだ。そこに追い打ちをかけるように一匹のバケモノが――少女が天から剣を振り下ろしながら落下していった。
次の瞬間、今度こそ相手の軍は世界から存在を消した。
そして、この戦いの功績が認められた少女は王様と話をした。
「王様、私のお願いを一つ聞いてくれませんか?」
「お願い?……言ってみよ。」
「私はこれからも世界の敵――魔族を討伐する討伐軍に永久に身を置く代わりに、村の人たちに召集命令をださないで下さい。」
「よかろう、その願い聞き入れよう。」
「では、」
そう言うと、少女は自分のことを剣で真っ二つにした。しかし、血は流れなかった。少女は寿命という概念を断ち切ったのだ。これを見た王は目を丸くしていた。
「では……私は……永久に……軍に……身を置きます。」
少女は寿命を断ち切った代償に、口が上手く回らないようになり、表情も変わらなくなった。
これは少女がバトルロワイアルに呼ばれる二百年前の実話である。
少女の国は百九十年前に魔族に滅ぼされた。少女が出たすきを狙ったのだ。世界の正義が魔族、悪が人間になった瞬間である。
少女の国が逆転し、魔族を滅ぼした。しかし、今の国に不満を抱く人間が現れた。別の正義と悪が生まれた。
過去の遺物と呼ばれる者たちが悪となった。
革命者が正義となった。
正義が変わった
悪が変わった
変わった
変わった
変わった。
度重なる悲劇から少女も変わった。世間で正義と呼ばれる方に味方をするようになった。
市民を殺した。魔族を殺した。王様を殺した。同僚を殺した。そして、
村の人間を殺した。友達だった人たちを、変わらない姿の少女が殺した。
二百年後。少女はなにが正義でなにが悪かわからなくなった。正義と悪は二百年で数十回変わった。そして、人間は争いの元だという者達が一時的に、ほんの少しの時間正義となった。だから少女は人間を殺しまわった。そして、その星から人間は消えた。
ふと少女は思った。
なんで私は生きているんだろう。私はなにを守りたかったんだろう。
少女の体は傷一つない血まみれの体だった。とてもどす黒い赤だった。
ようやくつまんない回想トップツーが終わったー。疲れた。
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