6話 ヘルゾディックvsカゲヨシ 【終幕】
アイディアが湧きまくってモチベが……。
光はカゲヨシに噛みつくように光り、カゲヨシは大きく吹き飛ばされた。
カゲヨシは吹き飛ぶ瞬間、一体なぜ、結果が得られなかったのかだけを考えていた。事実、ヘルゾディックの後ろにいた人間は全員殺した。後に残ったのは能力が使えないと言っているヘルゾディック本人だけ。
もしや嘘を言っていたのでは、と思ったのも一瞬だけ。カゲヨシが次に見たのは百を遥かに超えている人間。もはや数えるのもバカバカしくなるほどの人の壁だった。
「いいか、ゴミというのは無限に湧く害虫だ。そんなゴミがまさか、たったの百程度だと本当にそう思っていたのか?」
カゲヨシがいつの間にか再生している腕を不思議に思うより早く、ヘルゾディックは不思議そうに、それが普通だとでも言うように言ってきた。
カゲヨシはもう、言葉も出なかった。ただし、心では言葉が小さく、されどハッキリと言った。
バケモノだ。と
カゲヨシは絶望しながらも、起き上がるために、地面に手をついた。しかし、その地面に違和感を覚え見てみると、そこには人だった何かが転がっていた。
「ふんっ、」
ヘルゾディックがそういうと、その人間だった何かは空中を飛び、ヘルゾディックに頭?からつかまれた。すると、それは自己再生をするように形が綺麗な人間の女の人になった。
「ちっ、このゴミの『自己治癒能力』のせいで、ゴミ共が消化できん。……まぁ、気晴らしにはなるか。――さて、ゴミ野郎。もう一回いくぞ!!」
ヘルゾディックはその女の人を投げるのか、腕を大きく振りかぶった。
「このゴミに『集中能力』付与。『爆弾化能力』付与。ゴミとともに吹き飛べー!!」
ヘルゾディックは女の人を投げた。すると空中にいる人間が火水風土雷を虹のように出した。それらはすべ女の人に追跡するように飛んでいく。
もちろん、カゲヨシは能力を使用した。しかし、なにも起こらない。
ああ、俺は死ぬんだ。それを理解した瞬間、まるで世界の動きがゆっくりになったようになった。
走馬灯。カゲヨシはすぐにそれを理解した。すると声が聞こえてきた。
そういえば死ぬとき、声が聞こえるようになるっけ、とカゲヨシは思い出すように心で呟いた。
(母上も見てくれていただろうか……)
すると、有象無象の声の中、母の声が聞こえた。「ごめんなさい。」そう謝ろうとして聞こえてきたのは。
「なんで負けるんだよカス!!私がいったいお前にどれだけ時間をつぎ込んだと思ってんだ!!お前は私の未来を輝かせるのが役目だろ!!なんで私の邪魔を、負けやがる。」
目を丸くさせることもできないそのとき、周りの声も聞こえ始めた。それは、罵詈雑言の嵐、命を懸けて戦った人間に贈る言葉にしてはかなり尖った言葉。その心を見たのか、ヘルゾディックは言った。
「哀れだなあ、ゴミ。同情はしてやる、だが過程と結果は変えん。苦しんで死んでいけ。」
「限界を超えた一撃‼」
眩い光が、投擲されていた女の人から発せられ、辺りを刺すように輝いた。
勝者 ヘルゾディック
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