11話 ある男の記憶【1】
前回の話を見返したら倒置法が多い事に気づいた今日。
「てめー屈伸煽りしやがったな、……俺をそこらの奴みたいに思うなよ。俺は勝って黙らせるタイプじゃなくてお前をあおり返した後、ネットに晒す奴だからな!!」
男は自分が操作しているキャラを屈伸するように操作して、相手も同じことをすると即座に頭を撃ちぬいた。
不意打ちだ。
「ざまあー‼」
男は相手が倒れた地面を撃ち続けていたが、唐突に自分のキャラの体力が吹き飛んだ。
「ちくしょー、スナ野郎が。クソゲーみたいなことしやがって。……何やってんだろ俺。」
コントローラーを壁にうちつけ、暴れだしたと思ったら急に静かになって天井を仰いだ。
「……飯買いに行こ。」
**
「お、新味のカップラーメンだ。……今日はこれにするか。」
無事にカップラーメンを買って、どんな味かを想像していると耳を破きそうな悲鳴が聞こえた。
「ん、なんだ?」
覇気がない声を発した男はそれを見た瞬間、一目散に走った。
「なんで犬の大群が道を爆走してんだよおーー!」
そう、数十匹の犬がよだれを地面に垂らしながら男を追いかけるように走ってきたのだ。
「なんで?なんでなんでなんで?おかしいだろ、なんでこんなことになってんだ‼」
男は無我夢中で走った。だから、気付けなかった。目の前が池だったことに。
男はギャグのように池に飛び出し、小さい声で「あっ、」と呟いた。
(俺、泳げないんだよねっ)
言葉を発する暇もなく、男は池に手をグッドの形にして沈んでいった。
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「……って……さい。」
もうなんだよ、朝くらいゆっくりさせてくれよ。そう思いながらゆっくりと顔を上げると一人の美少女がいた。
男は即座に理解した
(あ、これ夢だ。)
考えてほしい、起きると目の前に銀髪系美少女が一人いる図を、夢じゃんそんなの。逆に夢以外選択しあるか。……妄想かもしれないということに今気づいたわ。これが妄想なら俺想像力豊かすぎだろ。
「えっと、あの。だ大丈夫ですか。」
「え、あ、ハイ。大丈夫デス。」
現実逃避していましたと言って笑いを取ろうとしたが、キョどってしまった。
陰キャにこれ辛すぎる。なにか、今すぐ陰キャの印象を飛ばせる出来事よ来い!
「あの、良かったらこれ。使ってください。」
美少女はポケットからハンカチを出し、キョどってしまった不審者におずおずと渡した。
あれ、こいつ。もしかして俺に惚れた……?ハーレムルートキタコレ?来ちゃった?
そんなことを考えていると、一人の美少年が近づいてきた。
「貴族様、どうかしましたか?……もしかして、そちらの者がなにかしましたか。」
美少年がよくわからないことを言ってそれについて考えようとすると、美少女の美少年を見る目がハートになっていることに気づいた。それを見て俺は気づいた。(黄金の理解力)
「ふっ、なにもないさ。じゃあな。」
俺は爽やかに顔を赤くして去っていくように歩き出した。途中つまずいてしまったが、見られてないことを祈ろう。
(恥ず―、俺めっちゃ見当はずれなこと考えて、美少女を見てたんだけど。気づかれてないよね?……やっぱ銀髪系美少女は信じられん、信じられるのはスタイルがいい金髪のお姉さんだけだな。)
男はせっかく作ったオチも壊して去っていった。
なお、さっきの男女は男が去って行った後、ラブコメしていた。
好きなキャラランキング第二位の回想。ちなみに、キャラ格差はあります。
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