1話 神殿にて
はたしてそこはどこなのだろうか。
白い空間にそびえ立つ神殿、その中に七人の人間とそれを見下ろす一人がいた。その一人の姿をハッキリと黙視することができないが、人間ではないことがハッキリとわかった。
その一人が口をゆっくりと開いた。その様はまるで目の前のおもちゃで遊ぼうとしている子供のようだった。
「やあ、まずは簡単に自己紹介をしよう。僕は君たちで言うところの神という存在だ。名前はないんだよねぇー、……とまあそんなことは置いておいて、君たちをここに呼び出した理由を語らせてもらおう。」
神と名乗る存在は目を輝かせながら、次の言葉を放つ。
「君たちには世界をかけたバトルロワイアルをしてもらいます!!ルールは簡単。ここに集まった七世界の最強の君たちはこの画面に見える大地で殺し合いをしてもらいます。そして察している人もいると思うけど、負けた人はその世界ごと消えてしまいます。ルールは以上!!さあ、さっそく始めようか。」
そういって手を上げようとした神だったが、一人の男がそれを止めた。
「貴様、さっきから調子に乗りよって……。黙って話を聞いていれば……我が貴様を今ここで殺そうか?」
他の人たちが状況を呑み込めていない中、一目見ただけで支配者を思わせる服装をした男が、神をにらみながらそう言い放った。
「貴様の見世物になること自体が受け入れがたいことのうえ、旨味がない。……貴様、ドが付くバカなのか?」
男は鼻で笑って言った。すると、空気が冷え固まってしまったと勘違いをしてしまうほどの威圧を神がこちらに向けてきた。しかし、その威圧を受けている男は表情を崩さない。
「あのねぇ、君たちに拒否権はないの。神の決定は絶対。君たちは僕を楽しませるおもちゃに過ぎないんだ……。あんまり調子に乗るなよ雑種がっ……。」
「ふんっ、その神の座に胡坐をかいて座っている羽虫がよくここまでふんぞり返れるものだな。」
まさに一触即発の二人の目の前に突風が吹いた。その突風から咲くように女の人が現れ、次の瞬間、きらめく羽があたりに散った。そんな彼女はニコニコしながら神を見た。
「ふふふ、ダメよぉそんな一方的なお願い。そうねぇ……じゃあ、勝った人は好きな望みをかなえるっていうのはどう?」
おっとりとした口調で神を見ながら言う。
「ぐっ、運命神。なんでお前が。」
神は苦虫を嚙み潰したような顔を、逆に男はその運命神の言葉に興味を持った様子を見せる。
「ほぉ、なかなか面白いことを言うな……。なるほど、一概に旨味がないと言えなくなったわけか……。」
男は顎に手を当ててそう言った。
「だがな、やはり俺は貴様らの見世物になるつもりはない。さっさと我を元の場所に――」
返すのだな。と言い終わる前に、また一人の男が割って入った。その男はさっきの支配者っぽい男とは逆の好青年の見た目をしていた。
「彼女たちが困っているだろ。わがまま言わずさっさと承諾したらどうだ!!」
支配者っぽい男が……いや、全員が啞然とする中、なおも男は衝撃の言葉を口にする。
「神様、僕はここの七人を代表してそのバトルロワイアルを行いたいと思います。」
「は?」はたしてそれは誰の言葉であろうか、いやそれはもはや関係ないだろう。神はその言葉を聞くと同時に、笑顔を取り戻し、運命神も「えっ」とした引きつった顔でその好青年を見た。
「OK!!ここに七人の声明を代表した言質をいただいた。これより、世界をかけたバトルロワイアルを開始する!!詳しい説明は現地についた後、紙で渡します。それでは、『ワールド・ゲーム』を開始する!!」
「まて!!」支配者の男が叫ぶときにはもう遅かった。体は光に包まれ、次の瞬間、七人の姿はどこにもなかった。
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