なみだのネックレス
森の中の赤い屋根のおうちは、うさぎのねねちゃんのおうちです。
ねねちゃんは、おかあさんがだいすきです。
おかあさんは、りょうりもおさいほうも、なんでもできます。
おかあさんのつくるにんじんケーキは、ほっぺたがおっこちるほどおいしいんです。
それに、いつもにこにこわらっているおかあさんをみていると、ねねちゃんもやさしいきもちになるんです。
今日、おかあさんは、部屋でぬいものをしています。
ミシンで、カタカタ カタカタ。
ねねちゃんが、ピアノのレッスンにいくときのかばんをぬってくれているんです。
ねねちゃんは、おかあさんのために、おいしいにんじんジュースをいれてあげようとおもいました。
れいぞうこから、にんじんジュースをとりだして、コップにいれようとしました。
だけど、手がすべって、コップはゆかに……。
ぱりん
コップは、半分にわれてしまいました。
ねねちゃんは、びっくりしました。
それから、おかあさんがかなしむなぁとおもいました。
むねがちくんといたみました。
むねのちくちくは、だんだんつよくなって、とうとうねねちゃんの目からなみだがぼろぼろこぼれだしました。
ねねちゃんが、しくしくないていると、どこからか歌が聞こえてきました。
こぼれおちたなみだは
きっと宝石さ
なみだの宝石はつながって
すてきなネックレスになるよ
ねねちゃんが、おどろいて、窓の外をみると、お友だちのくまのまくちゃんが歌っているのでした。
「まくちゃん、たいへんなの。おかあさんのコップわっちゃった!」
「この歌、おばあちゃんが歌ってたんだ。いい歌でしょ。ねねちゃん、げんきだしてね」
まくちゃんは、にっこりわらって帰っていきました。
「できたよ」
おかあさんが、かばんをもって部屋からでてきました。
「あらあら、どうしたの?」
ないているねねちゃんをみて、おどろいています。
「おかあさんに、にんじんジュースをあげようとして、コップをわっちゃったの。ごめんなさい」
おかあさんは、やさしく言います。
「わざとじゃないものね。おかあさんにジュースをくれようとしたきもちがうれしいわ」
ねねちゃんは、やっとなきやみました。
テーブルの上をみると、水色のきらきら光るネックレスがひとつありました。
「わぁ、ネックレスになってる!」
ねねちゃんは、うきうきしてきました。
「なみだのネックレス、おかあさん、つけてみて!」
「なみだのネックレス? なんのこと?」
「これ」
「あら、こんなきれいなネックレス、どうしたの?」
「いいから、いいから。おかあさん、きっとにあうよ」
ねねちゃんは、なみだのネックレスをおかあさんにつけてあげました。
なみだのネックレスは、おかあさんのくびもとできらりと光っています。