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4話 第3と第4の殺人(死体の瞬間移動・完壁なアリバイ)

金口虎南は第2の事件、高橋殺人のアリバイを確認した。

暖炉の前には9人全員が集まっている。


「高橋先輩が飛び出した後、ほとんどの人はここにいた」

「いなかったのは長井先輩と江戸川刑事と高田さんです」


金口の言葉に鈴木二郎が続いた。

すると江戸川が言った。


「いいえ。私は部屋にいました。そして部屋の前には皆さんがいました。つまり実質アリバイがあります」


部屋には窓もなくこっそり抜け出すことはできない。

だが金口は言った。


「例えば高橋にあらかじめ外に出たあと指定ポイントに来るよう言っていたかもしれない。

そしてあんたは部屋の壁に小さな穴をあけてテグスを通して絞殺したのかもしれないんだ」


一同がおおっと湧く。江戸川はくそっと呻いた。

金口はまだ続けた。


「第一の殺人の密室トリックもテグスを使ったんじゃないかと思ってる。

テグスがあれば何でもできる。小説に書いてあった」


すごい!名探偵だ!皆が口々にほめたたえた。

だがここで江戸川が反論した。


「いやまて、それだと私以外にも出来たということになる」

「ふん、まあそれは仕方がない。実質誰にもアリバイがないってことだ」


金口はそう言って部屋に戻った。

他もそれに続いた。


+  +  +  +  +


「ねー犯人誰だと思う?」

「僕はわかんない」


佐藤三郎と斉藤富子は佐藤の部屋のベッドにいた。

斉藤は言った。


「田中先輩に高橋先輩ときたし次は二年生?」

「他の人かもしれないし。オーナーとかバイトの人とか」


佐藤はそう言ってエノキを取り出すと斉藤のアワビにあてがった。

斉藤はうっふーんと言った。


「まあ僕らは平気に決まってるぜ」

「そうそう平気に決まってる」


ふたりはエノキとアワビに夢中でドアが開いたことにも、そこから男が入ってきたことにも気づかなかった。

振り上げられたハンマーが直撃してはじめてピンチに気づいた。


「あ、あんたは・・・」

「あ、あなたは・・・」


その続きを口にすることはできなかった。

男のハンマーが二人の頭をかちわり氷にしてしまった。


+  +  +  +  +


9時を過ぎても起きてこない佐藤と斉藤を金口たちは探していた。

それぞれ役割分担することにした。


「じゃあ鈴木くんは佐藤くんの部屋を見て。

斉藤さんは女だから部屋に入るのはやめましょう」


長井千尋が的確な指示を出す。

さすが学級委員だ。とても冷静だった。


「虎南くんと江戸川刑事と私は外を見てきます。

中村オーナーと渡辺さんと高田さんは別館を見てください」


それぞれが役割に従って動いたが、どこにも佐藤と斉藤はいなかった。

これが朝9時のことだった。


それから2時間たってから金口が言った。


「こうなったら斉藤さんの部屋を調べよう」

「仕方がない。細かいところは渡辺さんに調べてもらおう」


おそるおそる斉藤の部屋を開けた。

中には誰もいなかった。荒れた痕跡もない。


「誰もいません。変なものは・・・あ、写真があります」

「これは・・・佐藤との写真!?付き合ってたのか!?」


金口は驚いた。ぜんぜん気づかなかった。

そこで言った。


「佐藤の部屋に何か痕跡があるかもしれない」

「え、でもさっき調べたけど何もありませんでしたよ」


鈴木が言ったが金口は申請書を出してオーナーの押印をもらい合鍵を借りた。

そして佐藤の部屋の扉を開けた。


「うわあああ!!な、なんてことだ!!」

「うわあああ!!た、たいへんだあ!!」


ベッドの上には血まみれの死体がふたつあった。

どちらもピエロのマスクをつけていた。


マスクを取ると佐藤と斉藤だった。

これで四人も犠牲者が出てしまった。


+  +  +  +  +


「だから俺が見たときは何もなかったんだ!」

「嘘をつけ!」


鈴木二郎と金口が言い合っていた。

他の全員が鈴木のことを危ない奴っぽく見てた。


「お前が部屋を確認したのが9時だ。

部屋から戻ってきて受付に鍵を返そうとしたときに別館へ行っていたオーナーたちと外を見ていた俺たちが戻ってきた」


「そしてそれから2時間、鍵は誰も使っていない。

申請書が出されていないし、受付の前には三人以上がいた」


「11時に斉藤の部屋に入ったあと佐藤の部屋を見たら死体がふたつあった。

つまり佐藤の部屋に何もなかったというお前の発言は嘘だ!犯人はお前だ!」


すごい!さすが名探偵だ!みながほめたたえた。

鈴木はくそっと呻いた。


「最初の日にお前が別館に行ったのもピエロにペンキを塗るためだ!

この見立て殺人をするためにな!」


「違う!俺はちゃんと『サトウ』と書かれた部屋に行って中を見た。

その時は何もなかったんだ!」


鈴木は佐藤と斉藤の部屋を指さした。

それぞれの部屋にはカタカナのブロックを入れる表札ケースがあった。


佐藤の表札ケースには「サ トウ」とブロックがみっつ入っている。

斉藤の表札ケースには「サイトウ」とブロックがよっつ入っている。


「あれ?そういえば部屋の場所が・・・いや俺の勘違いか」

「何をごちゃごちゃ言ってる。とにかくお前が犯人だ!」


こうして鈴木は部屋に監禁された。

見張りは金口と長井と高田が交代でやることになった。


+  +  +  +  +


翌日大変な騒ぎになった。

なんと監禁していた鈴木が死んだのだ。


「9時から1時までは俺が部屋の前にいたぜ」

金口が言った。


「1時から5時までは私が部屋の前にいました」

長井が言った。


「5時から9時までは私が部屋の前にいました」

高田が言った。


死体が発見されたのが10時のことだ。

9時以降は部屋の前を3人以上がずっと見ていた。


つまり完璧な密室殺人・・・とはならなかった。

金口は言った。


「死体は頭を鈍器で殴られていた。

そして頭から出た血でメッセージが書かれていた」


「犯人は自分なので自殺しますと書いてあった。

つまりこれは自分で自分を殴っての自殺だ!」


すごい!天才だ!かっこいい!

みながほめたたえた。

え?俺また何かやっちゃいましたか。


こうして道化師山荘で起きた惨劇は幕を閉じた。

俺たちは救助ヘリに乗って下山した。

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