3話 第2の殺人(完壁なアリバイ)
金口虎南は別館の壁にかけられたピエロのマスクを調べていた。
このマスクが江戸川以外の10人を指しているはずだった。
つまり赤いペンキで塗られたマスクが誰を指すのかわかれば、
犯人が誰を殺そうとしているのかわかるわけだ。
「くっそお。これが誰のことか全然わからねーぜ」
田中の顔にかけられていたマスクを思い出す。
特に田中っぽいところはなかった。もしかして関係ないのか。
本館に戻るとひと騒動起きていた。
金口は長井千尋に何が起きたのか聞いた。
「それが、高橋先輩が下山するって聞かなくて」
「無理だろ。森は深いし磁石もきかないそうだし」
橋を渡る以外にはヘリコプターの救助を待つしかなかった。
なので橋が落ちたことを向こう岸の人が気付くまでは我慢だ。
「うるせえ!こんな人殺しのいるとこにいられるか!」
「ですがあの森は危険なんです。地元民でも迷うのに」
高橋太郎とオーナーの中村が言い合っている。
高橋はミステリー研のメンバーに向かって言った。
「それに俺はこいつら信用してねーんだ!変な奴もいるしな!」
変な、という言葉にメンバーの全員が反応した。
高橋はそれを見て満足そうに頷いた。
「とにかく俺は行くぜ」
オーナーの制止をふりきり高橋は出て行った。
そこで今度は千尋が扉まで向かう。
「高橋先輩を呼び戻してきます!」
「おい千尋!森は危ないって・・・」
呼び止めたが千尋は行ってしまった。
金口はやれやれと首をすくめた。
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「遅いなあ長井先輩」
「そうだね。もう二時間もたつよ」
一年生の佐藤三郎と斉藤富子が言った。
江戸川と高田を除く六人全員が暖炉の前に集まっていた。
「もうふたりとも『怪人ピエロ』に殺されていたりして」
本館の玄関が開いて高田が入ってくるなりそんなことを言った。
全員がびくっと体を震わせた。
「な、なんだその『怪人ピエロ』って」
「知らないんですか。この地方に伝わる伝説ですよ」
高田は奇妙なマスクをしたまま語りだした。
むかしむかし、この村に闇と光という仲の良い二人がいました。
二人は結婚を誓ったのですが、親や村人の反対でできませんでした。
闇と庄屋の娘との結婚が決まりましたが、式の前日の夜に
光はピエロのお面をかぶり村人全員をぶっ殺しましたとさ。
「そしてどの死体にもピエロの仮面を被せられていたそうです」
「つ、つまりその伝説をなぞらえての犯行か!?」
高田の説明に鈴木が叫んだ。
佐藤と斉藤もぶるぶる震えている。
「さあ。それは犯人のみぞ知ることです」
「な、なあ。高橋先輩と長井先輩、探しに行った方がよくね?」
佐藤の提案で捜索に向かおうとなったその時だった。
本館の玄関の扉が勢いよく開いた。
「千尋!?無事だったのか」
「うん虎南くん。でも高橋先輩どこに行ったか見失っちゃった」
千尋が言うには高橋は南西に向かって走っていったそうだ。
日が落ちる前に探そうということになった。
「高橋せんぱーい。どこですかー」
「もう下山しているんじゃないか」
あたりを見渡しても人のいる気配はなかった。
戻ろうかと思ったところで金口は変なものを踏んだ。
「なんだこれ・・・うわああああああ!!」
「どうしたの虎南くん・・・きゃあ!」
踏んづけたのはピエロの仮面をした死体だった。
頭から血を流している。
おそるおそる仮面を取るとやっぱり高橋だった。
とうとう二人目の犠牲者が出てしまった。




