2話 第1の殺人(完全密室)
金口虎南は夕飯後に道化師山荘の見取り図を描いた。
以下本館の見取り図である。
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|金|長|江|□暖_炉□|中|渡|□|
|口|井|戸|□□□□□|村|辺|□|
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|高|田|鈴|□□□□□|高|佐|斉|
|橋|中|木|□玄_関□|田|藤|藤|
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「きゃあ。上手」
「ふ、別に大したことじゃないさ」
千尋にほめられた。金口は自慢げに腕を組んで見せた。
これなら今晩にも鉄兜の出番があるぞ!
「お風呂もトイレもないわけ?」
「まるで監獄だな」
斉藤富子と佐藤三郎が言った。
その時外から爆発音が聞こえた。
学生7人と警察官とオーナーとバイトは急いで橋へ向かった。
そこで彼らは信じがたい光景を目にした。
「は、橋が落ちてる・・・!?」
「これじゃあここは監獄じゃないか!」
道化師山荘は山奥にあり、この橋以外の道がない。
だから橋が爆発で落とされると陸の孤島になるのだ。
10人が山荘に戻ると暖炉の前に男がいた。
見慣れない男に中村オーナーが声をかける。
「これはこれは高田様。夕飯はどうされますか」
「イラナイ。ワタシハヘヤニモドル」
高田と呼ばれた男はピエロのマスクをつけていた。
ヘリウムガスで変えた声でそう答えると席を立つ。
「ちょっと怪しい奴だな」
「ああ。もしかしてあいつが橋に火をつけたんじゃ」
鈴木と高橋が話している。でもそれは間違いだと金口は思った。
あいつが火をつけたなら俺たちと会わずに山荘には戻れない。
「何かトリックがあるんだ」
「きゃあ。かっこいい」
考える金口を千尋がほめた。え?また俺何かやっちゃいましたか?
そうして夜になった。
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深夜二時。静まり返った山荘の一室で男はハンマーを取り出した。
素人が使うなら刃物より鈍器の方がいい。
男は部屋を抜け出すと別の部屋の前で立ち止まった。
中からはいびきが聞こえる。
「Don't disturb」の札がなかったので男は部屋に入った。
鍵はたまたまかかっていなかった。
ベッドに向かうとハンマーを振り上げた。
そして一気に振り下ろした。
五分後、男はハンマーを置いたまま部屋から出てきた。
ドアノブに「Don't disturb」の札をかけてそのまま自室に戻った。
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金口は朝ごはんを食べていた。
焼きたての目玉焼きがうまかった。
江戸川はソファーに腰掛けてコーヒーを飲みながら英字新聞を広げている。
ブラックが苦手なのか時々「にがぁ」と言っていた。
あいつ現地で同じことやったらぶっ殺されるぞ。
とか思っていたら鈴木次郎がやってきた。
「なあ金口。田中先輩しらね?」
「今朝は見ていないなあ。お、札かかってるぞ」
部屋の前に行くとドアノブに札がかかっていた。
「Don't disturb」と書かれている。なんだこれ。
「この札は起こさないでくださいの意味なんですよ」
「お、俺も知っていたぜ。これは起こさないでくれの意味なんだ」
英語を読めた江戸川と金口のことを全員が賞賛した。
ふ、別に大したことないんだけどな。
「でもさすがにもう11時だぜ。起こしてやらないと駄目だ」
「そうですね・・・おや、鍵がかかっていますよ」
確かに鍵がかかっていて開かなかった。
金口は受付のオーナーのところに行く。
「オーナー。田中先輩がまだ起きてこないんです。鍵を貸してください」
「わかった」
中村オーナーは壁にかけてあった合鍵を持ってきた。
それを使って鍵を開ける。がちゃり。
「田中先輩。そろそろ昼っすよ。早く起きないと・・・」
金口はそう言って部屋に入り電気をつけた。
その瞬間に全員が固まった。
ベッドの上に死体があった。
頭から血を流していて枕元にはハンマーが置いてある。
死体はピエロの仮面をつけられていた。
仮面を外すとその下には田中先輩の顔があった。
「これは・・・見立て殺人!!??」
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江戸川刑事が全員の事情聴取をした。
金口は全員の話の結果を聞いていた。
「まず部屋は完全な密室。窓もなく行き来できるのはあのドアだけで、そこは鍵がかかっていました」
「死んだのは夜2時頃。アリバイは全員なしか」
鍵は部屋の隅にあった。他に鍵は合鍵しかない。
でもその合鍵は受付の壁にぶらさがっていた。
「あれを使う時はオーナーに申請書を出して押印をもらわないと駄目だ」
「しかし昨日からそうした申請はなかった。つまり誰も使ってはいない」
やっぱり完全な密室だった。一体どうやったんだろう。
そう思っていたら千尋が言った。
「どうして田中先輩はピエロのマスクをしていたんだろう?」
「はっ!まさか!」
金口は慌てて別館に向かった。千尋と江戸川も追いかけてくる。
別館に入るとあの部屋へと向かった。
「くそ!やっぱりそういうことか!」
「なるほど。これは殺人予告ですね」
赤いペンキで塗られたマスクがひとつ減っていた。
模様は覚えていないがたぶん田中先輩のしていたやつだ。
「つまりあと4人の死人が出るってことだ」
「きゃあ。かっこいい」
金口は手を握りしめた。
犯人は捕まえてみせる。真実はいつも!




