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2話 第1の殺人(完全密室)

金口虎南は夕飯後に道化師山荘の見取り図を描いた。

以下本館の見取り図である。


+-----------------+

|金|長|江|□暖_炉□|中|渡|□|

|口|井|戸|□□□□□|村|辺|□|

|-|-|-|□□□□□|-|-|-|

|□□□□□□□□□□□□□□□□□|

|□□□□□□□□□□□□□□□□□|

|□□□□□□□□□□□□□□□□□|

|□□□□□□□□□□□□□□□□□|

|□□□□□□□□□□□□□□□□□|

|-|-|-|□□□□□|-|-|-|

|高|田|鈴|□□□□□|高|佐|斉|

|橋|中|木|□玄_関□|田|藤|藤|

+-----------------+


「きゃあ。上手」

「ふ、別に大したことじゃないさ」


千尋にほめられた。金口は自慢げに腕を組んで見せた。

これなら今晩にも鉄兜の出番があるぞ!


「お風呂もトイレもないわけ?」

「まるで監獄だな」


斉藤富子と佐藤三郎が言った。

その時外から爆発音が聞こえた。


学生7人と警察官とオーナーとバイトは急いで橋へ向かった。

そこで彼らは信じがたい光景を目にした。


「は、橋が落ちてる・・・!?」

「これじゃあここは監獄じゃないか!」


道化師山荘は山奥にあり、この橋以外の道がない。

だから橋が爆発で落とされると陸の孤島になるのだ。


10人が山荘に戻ると暖炉の前に男がいた。

見慣れない男に中村オーナーが声をかける。


「これはこれは高田様。夕飯はどうされますか」

「イラナイ。ワタシハヘヤニモドル」


高田と呼ばれた男はピエロのマスクをつけていた。

ヘリウムガスで変えた声でそう答えると席を立つ。


「ちょっと怪しい奴だな」

「ああ。もしかしてあいつが橋に火をつけたんじゃ」


鈴木と高橋が話している。でもそれは間違いだと金口は思った。

あいつが火をつけたなら俺たちと会わずに山荘には戻れない。


「何かトリックがあるんだ」

「きゃあ。かっこいい」


考える金口を千尋がほめた。え?また俺何かやっちゃいましたか?

そうして夜になった。


+  +  +  +  +


深夜二時。静まり返った山荘の一室で男はハンマーを取り出した。

素人が使うなら刃物より鈍器の方がいい。


男は部屋を抜け出すと別の部屋の前で立ち止まった。

中からはいびきが聞こえる。


「Don't disturb」の札がなかったので男は部屋に入った。

鍵はたまたまかかっていなかった。


ベッドに向かうとハンマーを振り上げた。

そして一気に振り下ろした。


五分後、男はハンマーを置いたまま部屋から出てきた。

ドアノブに「Don't disturb」の札をかけてそのまま自室に戻った。


+  +  +  +  +


金口は朝ごはんを食べていた。

焼きたての目玉焼きがうまかった。


江戸川はソファーに腰掛けてコーヒーを飲みながら英字新聞を広げている。

ブラックが苦手なのか時々「にがぁ」と言っていた。


あいつ現地で同じことやったらぶっ殺されるぞ。

とか思っていたら鈴木次郎がやってきた。


「なあ金口。田中先輩しらね?」

「今朝は見ていないなあ。お、札かかってるぞ」


部屋の前に行くとドアノブに札がかかっていた。

「Don't disturb」と書かれている。なんだこれ。


「この札は起こさないでくださいの意味なんですよ」

「お、俺も知っていたぜ。これは起こさないでくれの意味なんだ」


英語を読めた江戸川と金口のことを全員が賞賛した。

ふ、別に大したことないんだけどな。


「でもさすがにもう11時だぜ。起こしてやらないと駄目だ」

「そうですね・・・おや、鍵がかかっていますよ」


確かに鍵がかかっていて開かなかった。

金口は受付のオーナーのところに行く。


「オーナー。田中先輩がまだ起きてこないんです。鍵を貸してください」

「わかった」


中村オーナーは壁にかけてあった合鍵を持ってきた。

それを使って鍵を開ける。がちゃり。


「田中先輩。そろそろ昼っすよ。早く起きないと・・・」


金口はそう言って部屋に入り電気をつけた。

その瞬間に全員が固まった。


ベッドの上に死体があった。

頭から血を流していて枕元にはハンマーが置いてある。


死体はピエロの仮面をつけられていた。

仮面を外すとその下には田中先輩の顔があった。


「これは・・・見立て殺人!!??」


+  +  +  +  +


江戸川刑事が全員の事情聴取をした。

金口は全員の話の結果を聞いていた。


「まず部屋は完全な密室。窓もなく行き来できるのはあのドアだけで、そこは鍵がかかっていました」

「死んだのは夜2時頃。アリバイは全員なしか」


鍵は部屋の隅にあった。他に鍵は合鍵しかない。

でもその合鍵は受付の壁にぶらさがっていた。


「あれを使う時はオーナーに申請書を出して押印をもらわないと駄目だ」

「しかし昨日からそうした申請はなかった。つまり誰も使ってはいない」


やっぱり完全な密室だった。一体どうやったんだろう。

そう思っていたら千尋が言った。


「どうして田中先輩はピエロのマスクをしていたんだろう?」

「はっ!まさか!」


金口は慌てて別館に向かった。千尋と江戸川も追いかけてくる。

別館に入るとあの部屋へと向かった。


「くそ!やっぱりそういうことか!」

「なるほど。これは殺人予告ですね」


赤いペンキで塗られたマスクがひとつ減っていた。

模様は覚えていないがたぶん田中先輩のしていたやつだ。


「つまりあと4人の死人が出るってことだ」

「きゃあ。かっこいい」


金口は手を握りしめた。

犯人は捕まえてみせる。真実はいつも!

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