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大切な恋のお話
中学一年生の春、私は期待と不安を胸に抱いて校門をくぐった。
新品の制服を身に纏って、何だか大人の仲間入りした気分で、背筋をピンと伸ばして。
どんな生活が待っているんだろう、友達はできるかな、なんて他愛もないことを話しながらクラスを確認する。
「え、うそクラス違うじゃん!」
「えー!そんな……。で、でもでも!クラス離れてても遊ぼうね!」
「当たり前じゃんよー。」
「それじゃあ私こっちだから、あとで一緒に帰ろうね。」
「うん、バイバイ!」
「……。」
生憎仲の良い友達と離れてしまい、友達も元からあまり多くない私の中学校生活は早速不安に苛まれていた。
(初日から鬱だな)
人一倍人見知りをする私にとって話せる人がいないというのは、孤立してしまうのではないかという想像をさせるのに充分すぎることだった。
でも、きっと大丈夫だ、と自分に言い聞かせて。
新しい出会いへの期待を胸に、教室の扉を開ける。
素敵な出会いがあればいいな、なんてことも少しだけ考えながら。
もう、あんなことにしたくはないから。