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リアルチートと、極振りな友人達 〜運営を困らなせる噂のアイツら〜  作者: 暁 龍弥


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― “存在を肯定する力”の正体

虚無の調者が消え去った後のアルケイン・シェルタは、

まるで「世界が一度、息を止めた」かのように静まり返っていた。


消滅した区域には瓦礫すら残らない。

そこに“何かがあった痕跡”さえ存在しない。


レイナが唇を噛みしめる。


「……なくなった、って言葉すら使えないよね……

 最初から無かったみたい……」


レンは地面に膝をつき、手を当てる。


「“消えた”のではない。

 “存在が否定された”。

 これは破壊よりも、はるかに危険だ」


カイが拳を強く握る。


「殴れねぇ敵なんて反則だろ……!」


アリアは小さく震えながらも、ゆっくり顔を上げた。


「……でも……

 私は消えなかった……」


その一言に、全員が彼女を見る。


「深淵の調律と、みんなの声が……

 私を“ここに縛り留めて”くれた……」


俺は静かに頷いた。


「虚無は“意味のないもの”を消す。

 逆に言えば――

 意味が確定している存在は消せない」


レンが反応する。


「つまり……

 存在理由が“他者と結びついている”ものほど強い?」


「そうだ」


俺は周囲を見回しながら続ける。


「破滅は“感情を歪める”。

 滅びは“諦めを誘う”。

 でも虚無は――

 “最初から存在しなかったことにする”」


「だから一人で立つ存在ほど、消されやすい」


レイナがはっとした。


「……だから……

 アリアちゃんが一人で苦しんでた時、

 一番危なかったんだ……」


アリアは小さく笑う。


「……はい。

 “私は鍵で、道具で、感情を持ってはいけない”

 そう思い込んでいた頃の私は……

 たぶん、簡単に消されていました」


カイが歯を鳴らす。


「許せねぇ……

 存在していい理由を奪うとか……!」


◆ 学術院緊急会議 ― 虚無への対抗理論


数時間後、学術院の地下深層。

アルケイン・シェルタ最高機密区画。


ケイル=リヴィオンを中心に、

都市最高峰の研究者たちが集められていた。


ケイルが低い声で言う。


「確認された。

 虚無の調者は、破滅・滅びとは完全に別系統の災禍だ」


巨大な魔導スクリーンに表示される図。


・破滅:感情暴走

・滅び:諦念固定

・虚無:存在否定


レンが即座に言う。


「虚無は“個体”を狙う。

 世界ではなく、存在理由そのものを削る」


ケイルは頷いた。


「その通りだ。

 だから都市・国家・英雄といった“役割”だけの存在は脆い」


会場がざわつく。


「役割だけ……?」


俺は静かに言う。


「“誰かにとっての意味”がない存在は、

 虚無にとって“消しても問題のない誤差”になる」


レイナが胸に手を当てる。


「じゃあ……

 虚無に勝つには……?」


アリアが、恐る恐る口を開いた。


「……“存在を肯定する力”が必要です」


全員の視線が集まる。


「深淵の調律は、

 音や魔力だけじゃありません」


アリアは自分の胸に手を当てる。


「“誰かが誰かを必要としている”という関係性……

 それが、虚無に対する唯一の抵抗になります」


レンが息を呑む。


「……数値化できない……

 だが……確かに、虚無はそこを破壊できなかった」


ケイルが静かに言った。


「つまり――

 虚無対策とは、個を強化することではない」


「“繋がり”を可視化し、固定することだ」


◆ 新たな調律 ― 存在肯定調律エグジスタンス・リンク


俺はその言葉を聞いた瞬間、

“音”がひとつ、頭の中で鳴った。


(……これか)


俺は深く息を吸う。


「調律を、ひとつ進化させる」


全員が息をのむ。


「《存在肯定調律エグジスタンス・リンク》」


空気が、柔らかく震えた。


今までの調律は――

・音を整える

・感情を重ねる

・世界の流れを修正する


だがこれは違う。


「これは“存在の根拠”を結び直す調律だ」


カイを見る。


「カイは、俺たちの前に立つ」


レイナを見る。


「レイナは、心を支える」


レンを見る。


「レンは、道を示す」


アリアを見る。


「アリアは、生きる理由そのものだ」


それぞれの役割ではない。

“関係性”そのものが、音として重なる。


ログが静かに表示された。


【新調律解放】

《存在肯定調律:エグジスタンス・リンク》

《効果:対象の存在理由を他者と結びつけ、虚無干渉を無効化》

《制限:単独では使用不可/信頼・感情が必須条件》


レイナが目を潤ませる。


「……一人じゃ使えないって……

 それ、すごく……優しい力だね……」


カイが豪快に笑う。


「最高じゃねぇか!!

 一人じゃダメってのが、俺ららしい!!」


レンは静かに頷いた。


「合理性だけでは到達できない領域だ。

 だが……だからこそ虚無は踏み込めない」


アリアは涙をこぼしながら微笑んだ。


「……私、初めて……

 “存在していい理由”をもらいました……」


俺ははっきり言う。


「お前は、最初から存在してよかった。

 それを“証明する力”を、やっと形にしただけだ」


◆ 迫る次の危機


だが――

その瞬間、警報が鳴り響いた。


【緊急通知】

《虚無の調者、再出現予兆》

《次の標的:複数都市/同時消失の可能性》


ケイルが歯を食いしばる。


「単独排除は不可能……

 虚無は、世界全体を“無意味化”しに来る」


アリアが震えながらも、前に出た。


「……私も、行きます。

 今度は……守られるだけじゃなく……

 “誰かを守る側”として」


レイナがすぐ手を取る。


「一緒に行こう!」


カイが剣を担ぐ。


「守るって決めたからな!!」


レンが弓を構える。


「虚無は、繋がりを恐れる。

 なら――世界中に繋がりを作る」


俺は空を見上げ、宣言した。


「虚無が“無”なら、

 俺たちは“在る”を示す」


「――存在を肯定し続ける限り、

 世界は消えない」


新たな戦いが始まる。


滅びでも、破壊でもない。

**“存在を守る戦い”**が。

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