表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リアルチートと、極振りな友人達 〜運営を困らなせる噂のアイツら〜  作者: 暁 龍弥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/42

災禍序列の逆襲 ― カーミラ再来と、“虚無の調者”

救世選択者として承認された、その直後だった。


アルケイン・シェルタの空が――

音を失った。


風は吹いている。

建物も人も存在している。

だが、“存在しているはずの音”だけが消えている。


【緊急警報】

《未確認高位存在 接近》

《災禍序列:異常反応》

《音・魔力・感情の観測値が“ゼロ”に近づいています》


レンの顔色が変わる。


「……おかしい。

 破滅でも滅びでもない。

 これは……“消失”だ」


カイが剣を握る。


「敵の気配がしねぇ……

 いや、最初から“いねぇ”みたいな……」


レイナが胸を押さえる。


「怖い……

 でも、何が怖いのか分からない……」


アリアははっきりと怯えていた。


「……来ます。

 これは……“世界が空白になる前兆”……」


その瞬間――

議事堂の中央に、影が“生まれた”。


現れたのは、人型ですらなかった。


輪郭が曖昧で、

色も、質感も、感情も持たない“空洞”。


視界に表示された名前が、背筋を凍らせる。


【災禍序列・第二位】

《虚無の調者ヴォイド・コンダクター

《存在を“無かったこと”にする者》


声はなかった。

だが“意味”だけが直接脳に流れ込んでくる。


――救いは無意味。

――滅びも無意味。

――存在すること自体が、誤り。


会場にいた人々が、次々と膝をついた。


「……なんだ……ここに……いたくない……」

「怖い……じゃない……“空っぽ”だ……」


レイナが叫ぶ。


「みんな!!私を見て!!

 ここにいる!!生きてる!!」


だが、その声すら“薄れていく”。


虚無の調者が一歩進むだけで、

周囲の人間の“存在感”が削れていく。


レンが歯を食いしばる。


「破滅や滅びは“感情”がある……

 だが、こいつは違う。

 “意味を否定する概念”だ……!」


その時――

黒いドレスが風に揺れた。


虚無の前に、ひとりの少女が立つ。


カーミラ・ハートレス。


破滅の調者。

だが今の彼女は、以前のような狂気を纏っていなかった。


「……やっぱり来たのね。

 いちばん“つまらないやつ”」


虚無の調者が、わずかに反応する。


――破滅は、感情を残す。

――貴様は不要。


カーミラが苦笑する。


「そう。私はまだ“泣く”し“壊したい”って思う。

 だから、あんたよりマシなのよ」


カイが驚愕する。


「カーミラ……!?

 敵じゃねぇのかよ!!」


カーミラは振り返らずに答えた。


「敵よ。

 でもね――“無”だけは許せない」


レイナが小さく息を呑む。


「……世界が無くなるのは……

 救えないとか以前の問題だもんね……」


虚無の調者が、淡々と“命令”を流す。


――破滅も救済も不要。

――世界は、消えればいい。


その瞬間、

都市の一角が静かに消滅した。


爆発はない。

悲鳴もない。

ただ、“無かったこと”になる。


アリアが悲鳴を上げる。


「やめて!!

 それ以上……消したら……!!」


虚無の調者がアリアを“見た”。


――大陸の核。

――不要。

――最優先削除対象。


アリアの存在が、急速に薄れていく。


「……っ……体が……軽い……

 消えちゃう……!!」


俺は即座に動いた。


「《調律・存在固定アンカー》!!」


アリアの存在を、俺自身の調律と“重ねる”。


――アリアは消えない。

――ならば、貴様ごと消す。


虚無の圧が、俺へ向かう。


世界から、俺の“音”が削られていく。


(……まずい。

 こいつは“戦闘”じゃない……

 “概念干渉”だ……)


カイが叫ぶ。


「深淵!!

 無理すんな!!」


レンが必死に思考する。


「存在を消すなら……

 “消せない理由”を作るしかない……!」


レイナが一歩前へ出る。


「意味がないなら……

 “意味を作る”!!」


彼女は震える声で叫んだ。


「アリアちゃんは、ここにいる理由がある!!

 生きたいって願った!!

 それだけで、存在していい!!」


カーミラが小さく笑った。


「いいこと言うじゃない……」


そして彼女は、虚無の調者へ向き直る。


「ねぇ、ヴォイド。

 あんたが嫌いなのって――

 “意味を持つ存在”でしょ?」


虚無の調者が反応する。


――意味は不要。

――存在は誤差。


カーミラは一歩踏み出す。


「なら、私は“誤差”になる。

 破滅ってのはね……

 世界を壊すくせに、感情を残すのよ」


彼女の破滅の旋律が、初めて“防壁”として展開される。


虚無が、わずかに後退した。


レンが目を見開く。


「破滅と虚無は相性が悪い……!

 破滅は“意味を否定しない”……!」


カイが吼える。


「じゃあ行くぞ!!

 “意味のある拳”を叩き込んでやる!!!」


レイナが光を放つ。


「消させない!!

 誰も!!」


俺は深く息を吸う。


「――虚無には、調和をぶつける」


「《調律・存在肯定エグジスタンス》!!」


四人と、そしてカーミラの“感情”が重なる。


・怒り

・恐怖

・優しさ

・願い

・壊したくないという矛盾


それらすべてが、“存在する理由”になる。


虚無の調者の輪郭が揺らいだ。


――……誤差……

――計算不能……

――撤退……


虚無は、音もなく後退し、空間から消えた。


静寂が戻る。


アリアはその場に崩れ落ち、震えながら言った。


「……消えるかと思った……」


俺はすぐ抱きとめる。


「もう大丈夫だ」


カーミラは背を向けたまま言う。


「……貸し一つ。

 次に会う時は……敵として来るから」


カイが叫ぶ。


「それでもいい!!

 今は助けてくれてありがとな!!」


カーミラは振り返らず、消えた。


レンが低く言う。


「最悪の敵が来たな……

 破滅より厄介だ」


アリアは小さく呟いた。


「……でも……

 消えなかった……

 私……ここにいていいんだ……」


俺ははっきり言った。


「ここにいる。

 そして、守る。」


その瞬間、ログが降りた。


【新脅威解放】

《災禍序列 第二位:虚無の調者》

《世界消失ルート 解禁》


救いは、次の段階へ進んだ。


“滅び”ではなく、

**“存在を消す恐怖”**との戦いへ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ