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リアルチートと、極振りな友人達 〜運営を困らなせる噂のアイツら〜  作者: 暁 龍弥


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36/42

選択者評価会議 ― 都市と世界が、四人の“救い”を試す日

都市崩壊を阻止した翌日。


アルケイン・シェルタ中央議事堂――

大陸最大規模の会議室へ、四人は案内された。


天井は高く、光の文様が浮かび、

階段状の席には都市中の研究者・政治家・学徒・宗教者が座る。


まるで裁判のような光景。


その中心に、俺たちは立っていた。


アリアはここに同行しているが、フードで顔を隠している。

彼女の正体は、今日明かさなければならない。


静寂が走り、司会役の研究官が声を放つ。


「これより《選択者評価会議》を始める。」


響く音。

緊張が背筋を刺す。



◆【第一項目:行動の評価】


最初に立ったのは、昨日も現れた研究官・ケイル。


「あなた方は確かに都市崩壊を阻止し、

 滅び派幹部ディルを退けた。」


その言葉に、会場がざわつく。


ケイルは続けた。


「だが、それは“結果”であり――

 行動そのものが正しかったかどうかは別問題だ。」


(まだ信用されていない……当然だ)


ケイルは質問する。


「深淵シンエン。

 あなたはなぜ“殺さずに勝つ”という選択を強制する?」


俺は短く答えた。


「殺したら、救いたいと思う自分を裏切る。

 生かせるなら、生かしたい。

 ――ただ、それだけだ。」


ケイルは静かに目を閉じ、言う。


「理想論だ。しかし……成立させてしまった。」


レイナが手を上げて言う。


「理想を笑うのは簡単です。

 でも、理想を信じて動かなきゃ未来なんて変わらないです!」


会場がわずかに揺れた。


カイが前に出て拳を握りしめる。


「俺らはケンカがしたいんじゃねぇ。

 守りてぇもの守るために戦う。それだけだ。」


レンは冷静に補足する。


「非殺傷戦闘が最適ではない場面も当然ある。

 だが救える者を救う選択肢は存在する。

 そして我々は“それを選ぶ力がある”と証明した。」


少しずつ、会場が揺らぎ始める。



◆【第二項目:滅びの反応とアリアの暴走】


会議は次へ進む。


エヴァ=セラフィアが立ち上がり、柔和な声で言う。


「昨日、アリア=ヴェルダの“核反応”が不安定化した。

 滅び反応は最大80%まで上昇。

 大陸は崩壊寸前でした。」


会場に緊張が走る。


エヴァが問う。


「深淵シンエン。

 あなたはどうやってアリアを“収めた”のですか?」


(どうやって……)


俺は正直に答える。


「支えただけだ。

 アリアが救われたいと願う気持ちを――否定しなかった。」


会場がざわめく。


「感情に寄り添っただけ……?」

「そんな曖昧なことで滅び反応が下がるのか?」

「運ではないのか?」


アリアが震える手でフードに触れた。


「……違います。

 救われたのは“私の心”です。」


エヴァが静かに言う。


「アリア。あなたは……自ら語れますか?」


アリアは頷き、ゆっくりフードを外した。


白銀の髪が揺れ、額の古代文字が露わになる。


会場が息を飲んだ。


【識別】

《大陸エーテルの核/救世と滅びの選択者補助機構》

《完全秘匿対象》


ざわざわ…ざわざわ…


「本物……?」

「都市を揺らす“世界の鍵”……!」

「知らなかった……」


アリアは涙をこらえるように言った。


「私は……大陸が造った“鍵”です。

 救われたくてはいけない存在じゃない……

 そう、ずっと言われてきました。」


レイナがそっと手を握る。


アリアの声は震えていた。


「でも……救われたいって思ってしまった。

 生きたいって思ってしまった。

 その矛盾が……滅びを呼んだのです。」


ケイルの眉が僅かに揺れる。


アリアは強く言う。


「深淵たちは……私を責めなかった。

 “弱くていい”って言ってくれた……

 私は……初めて救われたんです……!」


その言葉に、会場の空気が大きく揺れた。


中には涙ぐむ者もいる。


(届き始めている……)


だが、簡単には終わらなかった。



◆【第三項目:滅び派の主張】


議場の後方――

黒衣の男たちが立ち上がった。


「滅び派代表、“イスト=バーロウ”が申し上げる。」


彼の声は静かで、だが異様なほど強い。


「深淵シンエンたちの行いは“救い”ではない。

 ただ、滅びの時期を引き延ばした“延命処置”にすぎない。」


会場がざわつく。


イストは続けた。


「大陸は千年前から滅び続けてきた。

 今さら救済などあり得ない。

 希望を与えることこそ――最大の罪だ。」


レイナが震える声で反論する。


「希望を与えるのが……罪?」


イストは頷く。


「叶わぬ希望ほど、人の心を殺すものはない。」


(違う)


俺は一歩前へ出て言う。


「叶わないかどうかなんて、誰が決めるんだ?」


イストは視線を向ける。


「運命だ。

 滅びは“完成した未来”。

 そこから逃れることはできない。」


俺は静かに告げた。


「運命は“見えた未来”であって――“確定した未来”じゃない。

 それを変えていくのが人間だろ。」


会場がざわ…


イストは冷笑する。


「君は調律者。“特別な存在”だからそう言える。

 凡人が世界を変えられるはずが無い。」


レイナ・カイ・レンが同時に叫んだ。


レイナ「そんなの違う!!」

カイ「凡人でも世界変えられるだろ!!」

レン「可能性は誰にでもある」


アリアも続けた。


「私……“鍵”という存在すら、人間に救われました。

 可能性は……あります!」


イストの顔が険しく歪む。


「……なら証明してみせろ。

 その希望が本物であると。」


会場中の視線が俺たちに向けられる。



◆【第四項目:救済の証明】


ケイルが静かに告げる。


「深淵シンエン。

 あなたが選択者としてここにいる価値を――

 あなた自身の言葉で証明してください。」


(証明……)


俺は仲間を見て、一歩前へ出た。


静寂の中、声を放つ。


「俺たちが救いを信じる理由は、三つある。」


会場が息を呑む。



①「救えるから救う」ではなく


 「救いたいから救う」


「結果が保証されていなくても、

 救いたいと思う気持ちは本物だ。


 可能性がゼロでもいい。

 ゼロから一を作るのが“意思”だ。」



② 誰かを救うには、まず


 “その人の弱さを受け止めること”


「アリアは弱かった。

 でも、その弱さを責める必要なんてどこにもない。


 救われたいと願う心を否定しないこと――

 それこそが救いの始まりだ。」


アリアが涙を落とす。



③ 運命は“確定した未来”ではなく


 “揺らぐ未来”だ


「滅びが見えていたとしても、

 調律すれば軌道は変わる。


 未来は、変わるべきだと思う奴らが変えていくんだ。」


ケイルが目を見開いた。


エヴァが涙を浮かべた。


イストの表情が苦く揺れた。


そして――

会場の空気が一気に変わった。


『……救いは偽善ではないのか?』

『いや、あれは本気だ……』

『あの言葉に嘘はない……』

『救われたい……そう思ったことすら否定しないなんて……』


救いが、広がっていた。



◆【判定】


司会者が声を放つ。


「評価委員会――判定を行います。」


緊張が走る。

アリアが手を握りしめる。


「どうか……認めて……」


数十秒の沈黙ののち――


「――判定」


会場全体が立ち上がる。


「深淵シンエンたち四名を――

 “正式な救世選択者”として承認する!!」


歓声が響いた。


涙ぐむ者、祈る者、胸に手を置く者。


レイナが泣きながら笑う。


「よかった……よかったぁ……!」


カイが豪快に笑う。


「これで堂々と戦えるな!!」


レンは静かに頷く。


「評価が重荷になるが……悪くない。」


アリアは涙をこぼしながら言った。


「……ありがとう……

 本当に……救われたのは、私です……」


俺は軽く微笑んで答える。


「じゃあ――これからもっと救おう。」


その瞬間、ログが降りた。


【世界更新】

《救世選択者の承認》

《大陸全体の滅び反応 大幅低下》

《災禍序列の動きが激化します》


(来るな……)


次の戦いの気配が迫る。


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