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リアルチートと、極振りな友人達 〜運営を困らなせる噂のアイツら〜  作者: 暁 龍弥


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大陸の核心へ ― 古代遺跡《レゾナンス・アーク》と“第一の刺客”

大陸エーテル北部。

森を抜けた先に、空へ向かってそびえ立つ巨大な“柱”があった。


石造りではない。

金属でもない。

まるで光と音で組み上げられたような建造物。


アリアが静かに言う。


「ここが、古代遺跡レゾナンス・アーク

 大陸の核心へつながる門です」


巨大な柱は、鼓動しているように光を脈打っている。


「1000年前 ― 私たちヴェルダは“音を遺す文明”でした」

「音で記録し、音で感情を共有し、音で世界を形づくっていたのです」


カイは腕を組んで低く鳴らす。


「音で世界を作る……シンエンと同じか」


アリアは首を横に振る。


「いいえ。

 深淵シンエンは“調律”――世界を整える。

 古代ヴェルダは“共鳴”――世界を重ねる。」


レンが理解したように言う。


「整える vs 重ねる。

 真逆の概念ではなく、親和し得る概念だ」


アリアは静かに続けた。


「しかし、1000年前――

 私たちの“共鳴文明”に、外から別の旋律が侵入しました」


レイナが息を呑む。


「それって……」


アリアは頷いた。


「そう。《災禍序列》です。

 本来この大陸には存在しない――“突然の異物”。

 調和の世界に、“破滅の旋律”を流し込んだ」


そこで文明は崩壊した。

そして大陸は“滅びる未来”に向かい続けてきた。


アリアは拳を握った。


「1000年の間、ヴェルダは救いを求め続け……

 そしてついに、あなたたち四人が来た」



遺跡の奥は暗く、空気が澄んでいる。


足音が反響し、光の粒子が舞い、

階段のひとつひとつが音を立てる。


迷宮ではない。

“音の道標”そのもの。


シンボルらしき部屋へ入ると、

半透明の巨大な石版が浮かんでいた。


アリアが触れ、動画のような記録が浮かび上がる。


そこには――

古代ヴェルダの人々と、巨大な構造物の建設風景。


音と魔力で、自然と文明を繋ぐ美しい映像。


しかし突然、映像が乱れ――

黒い影が降りてくる。


声ではなく、音だけの存在。

破滅そのもの。


次の瞬間、映像の中の人々が笑いながら互いを傷つけ始める。


そして音だけを残し、文明は消えた。


レイナが胸元を押さえ、震える。


「……怖い……

 でも泣きそうなくらい、悲しい……」


レンは固い声で言う。


「破滅の旋律は、喜びを模倣する。

 人の苦しみを“快楽”と誤認させる」


カイは怒りに歯を食いしばる。


「何千年もずっとこんな目にあってきたのかよ……」


俺は映像の音を聴き続ける。


(これは滅びじゃない。

 “破壊の快感を植え付けられた末路”)


アリアが涙を堪えながら言う。


「……だから大陸は迷っているのです。

 救われたいのか、滅びたいのか。

 ――自分たちの意思がわからない」


その言葉は、胸に重く刺さった。



遺跡の最深部へ辿りついた瞬間だった。


カシャ――ン…


耳障りな金属音。

音の調和が乱れる。


そして、現れた。


黒い外套。

顔を覆う仮面。

背中に複数の刃を収めた異様な武器。


名前が視界に浮かぶ。


■【災禍序列 第七位】

《狂刃の調奏者コンダクター/ジオ=ラグナ》


カーミラの部下――

“破滅の旋律を刃で増幅する者”。


ジオは狂気ではなく、冷酷な声で言った。


「選択者ご一行、ようこそ。

 その遺跡を起動されては困る。

 “終焉”が無効になるからな」


レイナが震える。


「やっぱり……邪魔しに来た……!」


カイは剣を突き出す。


「上等だ!オマエらが敵ならわかりやすい!」


レンは静かに分析する。


「動きは速い。だが癖がある。

 調律者である可能性は――高い」


ジオは仮面の奥で微笑んだように見えた。


「正解。

 私は《刃奏者ソードコーダー

 “破滅の調律を戦闘に転写する者”だ」


そして――

俺に視線が刺さる。


「深淵シンエン。

 君の“調和の旋律”は、非常に美しい。

 だからこそ――壊し甲斐がある」


刹那。


ジオが消え、

視界にもういた。


「っ!!」


カイが即座に割って入る。

火花――音が跳ねる。


剣の軌道が、戦いの“リズム”を乱す。

ただ早いだけじゃない。


“破滅の旋律そのもの”で振るわれた刃。


レンが叫ぶ。


「シンエンへの攻撃は“音を乱すこと”が目的だ!!

 調律させないための攻撃だ!!!」


ジオは狂気ではなく理性で殺意を重ねる。


「調律さえ奪えば、君はただの少年だ。

 可能性は潰す時が最も美しい」


カーミラとは違う。

快楽ではなく“論理の破滅”。


二種類の災禍が揃ってきている。


(調律を封じられれば――不利)


だから俺は前に出た。


「調律は奪えない。

 俺の音は、仲間がいるほど強くなる」


レイナが涙のような笑顔で叫ぶ。


「ハクアくん!!私が支えるから!!」


カイが敵の刃を受け止める。


「殴り合いなら任せろ!!!」


レンが援護射撃でリズムを整える。


「割り込みタイミングは俺が作る!」


仲間の音が、俺の中に重なっていく。


そして――


「《同奏・調律:絆交響ディオ・レゾナンス》」


四人の意志が調律へ転写された。


・カイ → 攻勢

・レイナ → 支援

・レン → 最適化

・俺 → 調律


それぞれの“らしさ”がそのまま力になる。


戦場の音が――俺たちの側に傾いた。


ジオは初めて焦燥の色を見せた。


「……なるほど。

 仲間がいる限り――君は壊れないのか」


俺ははっきりと言う。


「仲間がいるから強いんじゃない。

 仲間と一緒に“戦いたい”から強いんだ」


ジオの姿が揺らぐ。


「《強制転移リコール》……!?」

「まだ……削り切れていない……!」


災禍序列の強制召喚によって、

ジオは光の粒になって消えていく。


その最後の言葉は、静かで残酷だった。


「次の刺客は――“カーミラの番”だ」



遺跡の静寂が戻る。


アリアは震える声で言う。


「戦わなくていい未来を――

 本当に選べるんですか……?」


俺は頷く。


「選べる。

 俺たちが諦めなければ」


カイが剣を振り上げる。


「何回来ても潰すだけだ!」


レイナは涙を拭き、笑う。


「誰も泣かせたくない。

 だから戦うんだよね!」


レンは矢を持ち直す。


「敵がくるたび、俺たちは強くなる」


アリアは膝をつき、

胸に手を当てて祈るように言う。


「……すべてを救おうとする音。

 どうか――消えないで」


遺跡中央の装置が光を放つ。


【大陸の核心ルート解放】

《レゾナンス・アーク起動》

《次の目的地:神歴図書都市“アルケイン・シェルタ”》


新たな冒険が開く。


だが同時に、

カーミラは動き出す。

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