表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リアルチートと、極振りな友人達 〜運営を困らなせる噂のアイツら〜  作者: 暁 龍弥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/42

戦争後の静寂 ― 揺れる世界と四人の休息

戦場の轟音が消えた夜は、嘘みたいに静かだった。


王都フラウリアに戻る途中――

瓦礫に腰を下ろし、四人は黙って夜空を見上げていた。


視界いっぱいの星。

けれど、戦場の焦げた匂いがまだ風に残っている。


レイナが、ぽつりと呟いた。


「……怖かったけど、でもね……

 最後まで4人で立ててよかった」


カイは背中で笑った。


「だろ?

 “死ぬほど怖くて、同時に最高だった”ってのが戦いなんだよ」


レンは弓を膝に立てたままで、静かに言う。


「怖いままでいい。

 それでも前を向けるなら強い」


俺は三人の音を聴き、胸に刻む。


(恐怖でも、興奮でも、迷いでもない。

 “仲間でいたい”という意志だ)


それがある限り、調律は折れない。



王都に戻ると、歓声と拍手が響いた。


「深淵シンエンだ!」「三戦士だ!」「戦争を止めた英雄達!」


兵士もプレイヤーも、

王族ですら駆け寄ってくる。


だが俺は――誰の手も握らなかった。


理由は一つ。


“英雄扱い”は、誰かを傷つけるから。


(俺たちは英雄じゃない。

 ただ遊んだだけだ)


けれど、その沈黙すら

周囲には“謙虚な姿勢”として受け取られてしまう。


結果――

賞賛はさらに大きくなった。


王が自ら歩み寄り、深く頭を下げる。


「この国を救ってくれて感謝する。

 我々は永遠に恩を忘れない」


その後ろには――騎士団長レオン。


あの誇り高い戦士が、静かに騎士礼を捧げる。


「頼りにしたい。

 だが、それが貴殿らを縛るなら……頼らない。

 それでも――俺は感謝している」


カイはにやっと笑った。


「そういう言い方好きだぜ、団長」


レイナは照れながら答えた。


「また一緒に戦おうね?レオンさん」


レンは軽く会釈した。


「感謝を押し付けない相手とは組める」


レオンは嬉しそうに笑う。


「――それでいい」



だが、歓迎だけでは済まなかった。


その日の深夜、

王城の別室で、

茶を飲みながら休む四人のもとへ――


大量の書簡(ゲーム内メール)が届いた。


山のように積まれた封筒。

自動生成ではなく“すべて手打ち”。


その内容は、勢力ごとに露骨すぎるほど違う。


・「味方になってほしい」

・「国同士で戦うのを止めてほしい」

・「率先して世界を動かしてほしい」

・「あなたたちを信じない」

・「裏切り者を許さない」

・「味方につけば報酬を与える」

・「拒めば戦争を仕掛ける」


――感謝と依存と拒絶、全部が混ざっていた。


レイナは手紙の内容に胸を押さえて小さく震える。


「これ……全部……

 “ハクアくんたちの行動で世界が変わってしまう”って

 理解されてるってことだよね……?」


レンが静かに紙束を閉じる。


「つまり、世界は“自分たちで選ぶ余裕がない”。

 決定を四人に委ねたい人間ばかりだ」


カイが苦く笑う。


「戦争で勝ったってのに、すぐ依存かよ……

 リーダーとしては最悪のタイプだぞ」


俺は短く答える。


「依存も拒絶も妄信も――全部調律する対象だ」



そのときだった。

一枚だけ、他とは違う書簡があった。


封蝋は黒。

差出人の記名は――


《災禍序列》


三人が息を呑んだ。


内容は短く、たった一行。


――“世界を終わらせよう。お前なら分かるはずだ。”


それを見た瞬間、

耳に鋭い“演奏音の残響”が走る。


(カーミラの旋律……じゃない。

 もっと深い。

 もっと冷たい。)


その瞬間、視界にはシステムウィンドウが強制表示された。


【新情報:勢力《災禍序列》】


《※世界の崩壊を目的とする勢力

 ※調律者、奈落系統、破滅系統が複数所属

 ※正体・人数・目的不明

 ※ハクアとの接触を最優先する動きあり》


【警告】

《災禍序列は運営の監視下にありません》

《行動予測不可》


レイナが息を詰める。


「運営の監視下に……ない?」


レンは肩を震わせる。


「つまり、運営が後付けで見てる存在。

 “世界の仕様外”の集団だ」


カイが低く笑う。


「もう最高だろ。

 このゲーム、ぜってぇただのゲームじゃねぇ」


俺は封蝋を握り潰し、静かに言った。


「世界は壊させない。

 カーミラとも戦う。

 災禍序列とも戦う。

 だが俺たちは――“世界を遊ぶ”。」


3人が迷いなく応じる。


カイ「決まりだな。誰が敵でも俺ら4人だ」


レナ「あったりまえでしょ〜!!」


レン「壊すか守るかじゃない。“選ぶ”んだ」


そのとき、システムが静かに更新された。


【世界イベント:第二部開幕】

《均衡編 → 選択編へ遷移》

《四人の行動が世界の未来を確定させます》


カイが立ち上がる。


「よし、遊ぶぞ。世界全部を」


レイナが笑う。


「次はどんな冒険かな〜♪」


レンが武器を取る。


「来るなら全部受けてやる」


俺は答えた。


「調律する。

 どんな敵でも、どんな混乱でも、

 “世界が面白い方へ”導く。」


戦争は終わった――

だが、それは序章の終わりでしかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ