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リアルチートと、極振りな友人達 〜運営を困らなせる噂のアイツら〜  作者: 暁 龍弥


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調律者 vs 奈落ノ調者 ― 世界がふたつの旋律に引き裂かれる

カーミラ・ハートレスが指を鳴らした瞬間、

戦場全体の“音”が一気に変質した。


悲鳴、怒号、断末魔、爆発、裏切りの叫び――

すべてが“快楽”として増幅され、

戦いの意味そのものがねじ曲げられていく。


カーミラの声が響く。


「ほら見て。

 傷つけ合う音って、こんなにも気持ちいいのよ?」


彼女の旋律は――破滅。


戦場の兵士もプレイヤーも、

敵味方すら関係なく、

“破壊衝動”に飲まれていく。


レナが震えた声で言う。


「……やだ……あれ……

 皆、楽しそうに傷つけてる……!」


レンが眉間にしわを寄せる。


「士気ではない。

 洗脳とも違う。

 “快楽を演奏で強制している”」


カイは剣を握りしめた。


「ったく……最高にムカつくタイプの敵だな。

 戦いは熱くて気持ちいいから楽しいんだ。

 潰し合う快楽を押し付けんなよ」


カーミラは嘲笑う。


「熱さ?友情?信頼?

 そんな脆いもの、壊れたほうが美しいに決まってる」


俺は呼吸を整え、音を聴く。


戦場全体が二つに分裂しようとしている。


・調和の旋律(俺)

・破滅の旋律カーミラ


拮抗ではない。

“互いを食い合う形”で、戦場の意味を奪い合っている。


(このままでは、世界そのものが“調律者の主導権争い”になる)


それは望んでいない。


だから――俺は踏み込む。


「開幕だ、カーミラ」


俺は旋律を展開した。


「《広域調律:開和》」


調和の響きが戦場全域に広がる。


・ガチャガチャの混乱が静まる

・攻撃が“正しいターゲット”に向く

・退避が自然と成功する

・狂気の衝動が薄れていく


兵士もプレイヤーも驚き、

“本能レベルで正しい戦い方”に戻っていく。


カーミラは笑うどころか――頬を紅く染めた。


「あはぁ……!

 やっぱり……あなたの音、最高……!!

 わたしの破滅を抑えてくれるんだ……

 否定じゃなくて“合わせてくる”なんて……!」


(抑えられて喜んでいる……?)


狂っている。

けれど、ただの狂気じゃない。


レンが冷静に呟く。


「カーミラは“破滅の調律者”じゃない。

 “調律の方向性が違うだけ”だ」


カイが悔しそうに言う。


「つまり、奴も“仲間タイプで育ったらこうなってた可能性もある”ってことか」


レイナは胸に手をあてて震える。


「だったらなおさら……負けたくない……!」


その瞬間、俺の調律が変質した。


(仲間からの感情が響いた)


ただの支援ではない。

仲間の“想い”が俺の旋律を強くしていく。


カイ → 「戦いが好き。仲間と戦いたい。」

レイナ → 「一緒にいたい。隣で立ちたい。」

レン → 「依存も支配もいらない。対等でいたい。」


その純粋な音が、俺の調律を底上げする。


「《仲間同調:三重強奏》」


戦場の旋律が、さらに鮮明に響く。



〔戦場の変化:第二段階〕


・味方の本来の“役割”が最大化される

・敵の破滅衝動が“理性”に戻る

・狂った戦意が“本来の強さ”へ昇華される


一切の弱体化がない。

ただ“健全に最大化”させる。


それが本来の調律。


カーミラは笑いながら身を抱く。


「きた……きたきたきた!!!

 あなたの音は……強すぎる……!

 “楽しさ”で世界を支配しようとするなんて……!」


俺ははっきり告げた。


「支配じゃない。

 “誰でも楽しめる戦場”を作る。

 それが俺の調律だ」


カーミラはふらつきながらも立ち、

俺を真っすぐ指差す。


「じゃあ証明して?

 “楽しさ”で“破滅の快楽”に勝てるって!!」


戦場の兵もプレイヤーも、

破滅と調和の狭間で揺れ始めた。


誰もが、“どちらの旋律に惹かれるのか”を試されている。



そのとき――


カーミラの背後に、謎の黒いフードの男たちが現れた。


「カーミラ、戻れ。

 “計画”が前倒しになった」


カーミラは子供みたいに舌打ちする。


「邪魔しないでよ。

 深淵と“遊んでる最中”なんだから」


男は冷たい声で返す。


「遊びではない。“使命”だ。

 お前は《災禍序列》の三番。

 軽率な単独行動は許可されていない」


災禍——

新しい単語が戦場に落ちる。


(調律者は俺とカーミラの二人だけじゃない……?)


男は続ける。


「この世界は終わりに向かって進む。

 “深淵と奈落”が鍵だ。

 計画どおり――世界を壊す」


カーミラは笑顔のまま、

だが涙のような色を浮かべて言う。


「ねぇ……シンエン。

 また遊ぼうね。

 次は、もっと近くで。

 もっと“壊しやすい場所”で」


黒いフード達によってカーミラは強制転移される。


世界ログが流れた。


《破滅の調律者 カーミラ・ハートレス、戦場から離脱》

《新勢力《災禍序列》が存在することが判明》



静寂の後、戦場の兵士たちが息を飲む。


「破滅の狂気が消えた……」

「さっきまで何してたんだ……?」

「シンエンと三人の力で……正気に戻った……?」


王国騎士団長レオンが剣を掲げ、叫ぶ。


「戦いは終わりだ――

 深淵シンエンが戦場を救った!!」


味方が歓声を上げ、

敵勢力も武器を下ろした。


殺意の衝動ではなく、

“戦いを終えたい”意思が広がっていた。


俺たちは4人で城壁の上に戻り、

戦場を見下ろした。


カイは肩で息をしながら笑った。


「上等だろこれ……!!これこそ戦争だよな!!」


レイナは涙を拭きながら笑った。


「こわかった……でも……勝てた……!」


レンは静かに武器を下ろす。


「カーミラの調律は終わっていない。

 また来る。

 今度は“戦場の中心”に」


そして、俺は答えた。


「来るなら――何度でも相手をする。

 調和は破滅に負けない。

 勝ち負けじゃなく、

 “世界の選択肢”として並び立てるように」


その瞬間。


【重大イベント更新】

《世界均衡フェーズ:突入》

《深淵シンエン → 調和の象徴》

《カーミラ・ハートレス → 破滅の象徴》

《‼ 今後のイベントは“どちらの調律が世界に選ばれるか”で分岐》


世界は――二つの旋律の未来、どちらを選ぶのか。


俺たち四人の冒険は、

ここからさらに深くなる。


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