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リアルチートと、極振りな友人達 〜運営を困らなせる噂のアイツら〜  作者: 暁 龍弥


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感覚の慣らし⑯ ― 世界戦争開戦。四人の戦い方が“常識”を変える

戦争開始から数時間後。

無数の旗が風に揺れ、各国軍の陣地が城外に並んでいた。


王都フラウリアの城壁の前――

王国軍10,000、プレイヤー軍30,000以上。


対するは――


・アストレア王国軍 17,000

・アルカ・フロンティア連合軍 9,000

・傭兵軍 12,000

・無所属プレイヤー集団 不明

・宗教勢力・影組織の独立部隊 不明


総数は 4万以上。


そしてこの戦争の勝敗条件は――

《深淵シンエンと三戦士をどの勢力が“確保”するか》


殺し合いではない。

だが、一歩間違えば死ぬ戦場。


戦争開始の号令は、

皮肉にも王国でもギルドでもなく――


俺のログイン通知が世界に流れた瞬間だった。



城壁の上、風が冷たい。

カイは大剣を担ぎ、戦場を見て肩を震わせた。


「ははっ……マジで来てるじゃねぇか、全員」


レイナは指先を震わせ、一瞬不安そうになるが――

すぐに笑って言い換えた。


「大丈夫……怖いけど、ワクワクしてる」


レンは弓を構え、無数の標的の位置を即座に把握する。


「数が多いだけで勝てるなら、誰も苦労しない。

 俺たちがやることは変わらない」


そして、王国騎士団長レオンが駆け寄って来た。


「お前たちを戦場に出すのは本来反対だ。

 だが、世界の争いを止められるのは――

 “お前たちが戦うしかない”と分かっている」


俺は頷く。


「役割を果たす。

 俺たちのやり方で」


レオンは息を飲んだ後、笑った。


「ならば頼る。……どうか、この国を守ってくれ」



遠くで角笛の音が鳴り響いた。


全軍、進撃開始。


・突撃の蹄

・魔術詠唱

・狙撃の矢

・剣と盾の衝突音


戦場の音が 津波のように押し寄せる。


(――始める)


俺は城壁の縁から前へ踏み出し、両腕を広げた。


「調律 《広域》」


戦場の鼓動が震えた。


敵味方、槍、盾、詠唱、突撃、退避、陣形――

あらゆる“戦闘の音”が線となり、譜面として見える。


敵:各部隊の動きに“偏り”がある

味方:突破口はあるが“息が合わない”


なら、整えればいい。


俺は低く響く声で言う。


「支援歌、奏でろ」


――世界が変わった。



〔味方側の変化〕


・連携ミスが減る

・回復魔術の優先順位が正しくなる

・盾兵が自然と狙撃線から外れる配置になる

・騎士団の突撃が“波”のように美しく通る


誰も俺の存在を意識していない。

だけど誰もが“自然に上手くいく”。


レオンが叫んだ。


「これは……支援職の域を超えている……!!

 戦場が“美しく整っている”……!!」


〔敵側の変化〕


・連携が噛み合わない

・詠唱キャンセルが増える

・味方同士の行動がぶつかり、攻撃が失敗

・突撃方向がずれ、退避経路が被る


俺は笑う。


「敵を弱くするんじゃない。

 味方が強くなるよう“世界を整える”だけだ」


“敵にペナルティを与えていない”から

ヘイト管理も、運営の介入も起きない。


それが調律の真価。



カイが城壁から飛び降りる。


「行ってくる!!暴れてくる!!!」


大剣にぶつかった敵の盾が火花の音すらリズムになる。


「ほらもっと来いよ!!

 最高の戦場にしてやる!!」


レイナは城壁から支援魔術を展開。


「味方全員が生き残るように〜♪

 落ちてきてもちゃんとキャッチするから〜!」


レンは矢を射ながら呟く。


「狙う必要がない……戦場の流れが“勝手に弱点を晒す”。

 シンエン、これが調律の本領か」


騎士団ですら声を上げた。


「戦っているのに……疲れがない!?

 攻撃が身体に馴染むようだ!!」


「私たちが強くなったんじゃない!

 戦場そのものが“味方している”んだ!!」


俺はただ旋律を聴き続け、必要な箇所を調整していくだけ。


世界は調和した。


このままなら――

敵軍は決壊する。


そう思った。

その瞬間。


戦場の向こう側から、別の“演奏”が響いた。


(……誰かが同じことをしている)


否、まったく同じではない。


“歪んだ調律”。

偶然を利用し、事故を増幅させ、

味方同士を食い違わせ――

戦場の混乱を“快楽”として奏でる音。


その旋律が敵陣営を刺激し、戦意を爆発させた。


カイが顔を上げた。


「リアチーッ!!

 向こうのやつらの動きがおかしい!!

 なんか“狂ったみたいに強い”んだけど!!」


レンも矢を射ながら叫ぶ。


「異常だ――士気でも作戦でもない!

 “戦うほど狂気にハマっていく戦い方だ”!」


レイナが身を震わせる。


「……嫌な感じ……

 ワクワクじゃなくて“ゾクッ”とするやつ……」


そして、敵陣の中央――


ひとりの少女が立っていた。


黒いドレス、赤銀のツインテール、

瞳は“快楽に酔った演奏家”の色。


彼女は不気味に笑う。


「――会えた。

 “調律者のライバル”さん?」


視界に名前が浮かぶ。


■【奈落ノ調者/カーミラ・ハートレス】

《戦場の“狂乱と破滅”を調律する者》


戦場の音が跳ね上がった。


味方の鼓舞ではなく、

敵の支援ではなく、

破滅を快楽として奏でる調律。


カーミラの声が響いた。


「ねぇ、壊そう?

 秩序も勝利も希望も全部さぁ。

 あなたとわたし――

 “どっちの演奏が世界を支配するか”で遊ぼうよ?」


世界ログが震える。


《深淵シンエン vs 奈落ノ調者》

《調律職、世界に“二人”存在することが確定》


カーミラは舌なめずりしながら指を鳴らした。


「戦争の“意味”を変えよう?

 あなたは調和、

 わたしは破滅。

 ――さあ、どっちの音が気持ちいいか証明しよ?」


世界中の視線が戦場へと集まる。


・調和の調律者(俺)

・破滅の調律者カーミラ


戦争は勢力争いから――

**“二人の演奏勝負”**へと変貌する。


俺は一歩前に出た。


「なら――調律する。

 世界が“楽しい方”へ」


三人が背中を合わせるように並んでくれる。


カイ「壊したいやつが相手?最高じゃねぇか!!」


レイナ「負ける気しないよ!だって4人でしょ!」


レン「秩序 vs 破滅。勝つのは“選ぶ側”だ」


カーミラは狂気の笑顔で叫ぶ。


「じゃあ――開演だよ、深淵ッ!!」


世界最大の戦争は、

二人の調律者の対決へと変わった――。


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