表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リアルチートと、極振りな友人達 〜運営を困らなせる噂のアイツら〜  作者: 暁 龍弥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/42

感覚の慣らし⑬ ― 戦争前夜、潜入・諜報・寝返りの影

王都の夜は静かだが、

その静けさの裏に“得体の知れない熱”が渦巻いていた。


プレイヤー国家、巨大ギルド、影組織――

それぞれが俺たちを“味方に引き込む策”を巡らせ、

水面下の戦争が始まりつつあった。


城のバルコニーから王都を眺めながら、俺は音を聞く。


足音、囁き、装備の擦れる音。

遠くの演奏、屋台の喧騒。

そのすべての層に、たったひとつ“不協和音”が混ざっていた。


(……潜入者がいる)


数は一人ではない。

五人、七人、十人……もっとか。


城の至るところに紛れ込み、

それぞれ別の意図で動いている。


背後から声がした。


「やっぱり分かるんだな……そういうの」


カイだ。

大剣を肩に担いだまま近づいてきた。


「見張りは王国の騎士団がやってるはずなのに、

 それでも侵入できるってことは……

 あいつら本気で俺ら奪いに来てるんだよな?」


「奪う、というより“囲いたい”だな」


レンがいつの間にか背後に座っていた。

カイが驚くと、レンは淡々と言う。


「国家もギルドも影組織も、ハクアを中心に世界を再構築する気だ。

 だからこそ、確実に手に入れたいんだろう」


レイナが来て、腕を組みながら言う。


「……つまり、みんな“ハクアくんを使いたい”ってことだよね?」


その言い方に、カイとレンが一瞬だけ言葉を失う。


そう。

理由はバラバラでも、すべての勢力の目的は――


「“ハクアを手元に置くこと”だ」


それを理解してしまった瞬間、

レイナの表情がほんの少し曇った。


(……レイナの心の音が揺れた)


その揺らぎはレイナだけの問題ではない。


カイも。

レンも。

王都騎士団も。

王も。

そして敵勢力も。


全員が――

“俺に影響されすぎている”。


(このままだと、俺のせいで誰かが自分を見失う)


だから俺は、言った。


「誤解するな。

 俺は強さでも、力でも、役割でも選ばない。

 ――俺は、お前たち“3人だから”一緒にいる」


3人全員の胸の奥の揺らぎが、一気に静まった。


レイナの頬が赤くなる。


「……うん……そう言ってくれるの嬉しい……」


カイは照れ隠しで頭を掻いた。


「言い方イケメンすぎんだろオイ……!」


レンはいつになく柔らかい声で。


「その言葉があるなら、絶対に揺れない」


そう――

“調律”は戦場だけではない。


言葉、空気、想い。

それすら旋律として聴き、整える。



そこへ、城を走る急報の騎士が駆け込んで来た。


「緊急事態です!

 他国の外交担当者が、偽のハクア殿を連れ出そうとしています!!

 『裏切り者として亡命する』との声明が広まり――

 世界が混乱しています!!」


カイ「フェイクの“亡命”ってことか?」


レン「俺たちを内部から分断させるための幻惑工作だ」


レイナ「うわぁ……どこも頭いいねぇ……」


騎士が続ける。


「さらに、影組織から密使が到着……

 “ハクア殿には裏切りを“演じてほしい”との依頼です!!」


裏切りを――演じる?


騎士団は混乱している。


「どうすればいいのか分からず……

 王も判断を急ぎたいとのことです!」


複雑そうに聞こえるかもしれないが、

俺の答えは最初から決まっている。


俺は三人に視線を送る。


「“裏切りを演じて味方を欺く”――やるか?」


カイはすぐに笑う。


「いいじゃねぇか!!そういうの一番燃える」


レイナは両手を上げて。


「やるやる〜〜!!スパイごっこ大好き〜!!」


レンはわずかに口元を上げる。


「戦場の混乱を逆手に取る。合理的だ」


俺は騎士に指示する。


「全勢力に伝えろ」


静かに、だが強く言う。


「――“深淵シンエン、王国を裏切る”と」


騎士が息を呑む。


「な……な、なんと……!?」


レイナがクスクス笑う。


「でも裏切るのはフェイクで、実際は王国の味方〜」


カイ「敵勢力を一気に炙り出すってことだろ」


レン「諜報戦を“狩り場”に変える。悪くない」


騎士は震えながら確認する。


「本当に……それでよろしいのですか……?」


俺は頷く。


「敵も味方も、自分で“選ぶ”。

 それが俺たちの遊び方だ」



それから数刻後――


世界通知が轟いた。


【速報】

《深淵シンエン “王国を離反”》

《3名の極振り戦士は“去就不明”》

《各勢力は交渉・迎撃・拘束・奪取の準備へ》


王都全土が騒然となる。


・味方だと思っていた勢力が牙を剥く

・敵だと思っていた勢力が手を差し伸べる

・プレイヤーが味方か敵か分からなくなる


世界が混乱イベントフェーズへ突入する。


その中心で――

俺たちは4人で笑う。


「世界、いい感じに盛り上がってきたな」


屋根の上から王都を見下ろしながら、カイが楽しそうに笑う。

レイナはスナックを食べながら足をぶらぶらさせ、

レンは照準を王都の動きに合わせて準備し、

俺は三人の音を聴く。


不協和音はない。

揺らぎもない。

すべてが、綺麗に調和している。


そして次の戦いの音が聞こえてくる。


(次は――潜入組との“情報戦”だ)


世界は混乱し、勢力はぶつかり、

俺たちは火種になり、

戦いが始まる。


だが、それでも構わない。


俺は“壊すため”でも“支配するため”でもない。


ただ――


仲間三人と“最高に遊ぶため”。


その中心で世界が踊り狂うなら、

なおさら面白い。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ