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リアルチートと、極振りな友人達 〜運営を困らなせる噂のアイツら〜  作者: 暁 龍弥


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感覚の慣らし⑫ ― 世界勢力の勧誘と“誰もが欲しがる存在”

王国騎士団戦が終わって間もなく。

俺たちは城の客間で短く休息を取っていた。


室内は豪奢だが落ち着いた雰囲気で、

窓から王都の夕日が差し込んでいる。


カイがベッドに大の字で寝転びながら笑う。


「はぁ~~最高に燃えた!!

 リアチーの調律あると戦場がバチバチに楽しいな!」


レイナはテーブルのお菓子を頬張りながら微笑む。


「えっへへ~♪私のドロップ運ちゃんと仕事してたでしょ〜?」


レンは剣を磨きながら言う。


「騎士団は強かった。

 だが世界はあれだけではない。

 ……ここから“本番”だ」


俺は窓の外の音を聞く。

王都のざわめきと、遠くの鐘の音と、馬車の車輪。


その奥に――

“不自然な旋律”が混ざっていた。


(……訪問者が多すぎる)


予感通り、扉がノックされた。


騎士が頭を下げる。


「外部勢力からの使者が押し寄せています。

 順番に面会したいとのことです」


カイ「来たか――勧誘ターイムか」


レイナ「えっ!?有名人になった気がする〜!!」


レン「無視はできない。情報が不足している。」


俺は短く返す。


「挨拶だけは受ける。全てを聞いてから決める」



最初に通されたのは、

黄金色の紋章を掲げた四人のプレイヤー。


自己紹介の前に名乗った。


「我々は《プレイヤー王国アストレア》の外交団だ」


既存の国をプレイヤーが占有し、

事実上国家となっている巨大勢力。


リーダー格の騎士風の男が微笑む。


「深淵殿、そして“極振りの御三方”。

 ぜひ我らと共に世界を取らないか。

 あなた方の力と知名度は、国王として充分すぎる」


カイが苦笑。


「いきなり“国家の王になれ”って?

 スケールぶっ飛んでんだろ」


外交団は続ける。


「対価は好きに選んでください。

 名声でも、領土でも、税収でも」


レイナが小声で囁く。


「なんかすご〜い……王様かぁ……」


だが俺は聞く。


「もし俺たちが断ったら?」


外交団はためらいもなく答えた。


「――他国から守る。

 どんな手段を使っても。

 “あなた方の敵になる勢力”を全て排除する」


カイとレンの目つきが変わった。


それは“味方の提案”ではなかった。

保護を名目にした“囲い込み”だ。


俺は静かに答える。


「悪い。

 俺たちは遊びに来た。

 支配も所有も、されるつもりはない」


外交団の微笑が消えた。


「残念です――ですが、理解しました。

 これからは“国対国”として会いましょう。」


去るときの足音は、明らかに敵意を含んでいた。



次の来訪者は真逆だった。


黒いフードの人物が一人だけ入ってくる。

名乗りは短い。


「《影の連盟》です」


表向き存在しない、

プレイヤーの裏社会を統括すると言われる組織。


フードの人物は柔らかな声で言う。


「勘違いしないでほしい。

 あなた方を縛る気はない。

 ただ――“こちら側に来てほしい”」


レイナが身をすくませる。


「なんか怖い……」


影の人物は続ける。


「俺たちは暴力でも金でもない。

 “情報”を扱う。

 あなたたちが安全に冒険できるよう、裏から世界を調律することもできる」


カイが警戒しながら言う。


「で?対価は?」


人物は笑う。


「一つだけ。

 “敵は必ず殺す”という約束だ」


空気が凍った。


レンが短く切り捨てる。


「それは調律とは真逆だ。断る」


影の人物は深く頭を下げる。


「……理解しました。

 あなた方は“戦争ではなく冒険”を望む者だ。

 ならば願う未来が重なることもあるでしょう。

 敵対はしません。

 むしろ――必要なときにだけ、名前を呼んでください」


去っていく足音は静かだった。


俺たちは互いに頷き合った。


「敵じゃない。けど味方でもない。

 ――価値観が一致するときだけ協力する相手」


レンの言葉に全員が納得した。



だが、三つめは――違った。


応接室に入ってきたのは、

煌びやかな装飾のローブを着たプレイヤーの少女。


「大手ギルド《アルカ・フロンティア》リーダーのサラです♪

 うちに入りませんか?

 名声も、装備も、ランキングも、世界一が約束できますよ?」


レイナは困ったように笑う。


「うわぁ……営業スマイルの匂いがする……」


カイは遠慮なく言う。


「悪いけどさ、俺ら“4人だけ”でやるのが楽しいんだよ」


少女は首を傾げる。


「だからこそです♪

 4人を最優先に支えます。

 他のメンバーは全てサポート班にします。

 誰もあなた方の邪魔はしません」


レンが核心を突く。


「得たいのは“ランキングの数字”か

 “名前の横に飾るための肩書き”だな」


その瞬間、少女の瞳の色が冷えた。


「……本当に愚かですね。

 あなたたちと組めば世界一。

 断れば――敵は世界中に増えます」


空気が一瞬張り詰める。


俺は短く言った。


「それでも、選ぶ。

 俺たちが楽しいと思える方を」


少女は作り笑いのまま告げた。


「……いいでしょう。

 世界があなた方を追い詰めたとき――

 “うちを選ばなかった後悔”が始まります」


ドアが閉まった途端、室温まで下がったように感じた。


レンが呟く。


「……あれが一番危険だ。

 あのギルドは数で押し潰すタイプだ」


レイナは心配そうに。


「こんなに敵が増えちゃって大丈夫かな……?」


カイはニッと笑った。


「最高じゃん。

 これ、物語始まったなって感じしかしねぇだろ」


俺も笑った。


「誰に囲われるでも、支配するでもない。

 ――この四人で冒険する」


そのとき視界に通知。


【世界同時告知】

《調律者争奪戦 第二幕:外交・暗殺・誘拐・買収・裏切りフェーズ開始》


街の喧騒が一斉にうねり始めた。


誰もが“四人を巡って”動き出す世界。



そして客間を出ようとした瞬間――


廊下の空気が裂けた。


殺気。

音のない殺意。


赤い瞳の少女がナイフを構えて俺に飛びかかった。


《暗殺者ランクSS:プレイヤー》


カイが剣を抜くより速く、

レンが矢をつがえるより速く、

レイナが叫ぶより速く――


俺は調律を叩き込んだ。


「停止」


響いた一音で、暗殺者の動きが止まる。


彼女は刀を落とし、息を荒げた。


「……なんで……対策していたのに……

 スキル封印……無効化……すべて塞いだ……

 それでも止まるなんて……」


俺は静かに言う。


「敵でも味方でもいい。

 俺たちが遊びたいように、邪魔させない」


少女は震えた声で呟いた。


「……化物じゃない……

 “ゲームの外側の存在”……」


その言葉を最後に、

暗殺者は転移石を握り、姿を消した。


沈黙。


レイナが不安そうに言う。


「狙ってくる人が……どんどん増えちゃうかも……」


カイは笑う。


「それで上等だ。

 狙われねぇ最強なんてつまんねぇだろ」


レンは落ち着いて弓を持ち替えた。


「敵が多いほど守る理由も強くなる。

 俺はそれでいい」


俺は短くまとめる。


「敵も味方も来る。

 でも決めるのは俺たちだ。

 調律するのも、選ぶのも――俺たち自身」


3人が頷いた。


その瞬間、世界通知。


【全プレイヤーへ】

《深淵シンエンを中心とした“四人”の選択が

 世界のイベント進行に直接影響することが確定しました》


つまり――


俺たちが“どの勢力と組むか/敵に回すか”で世界が変わる。


世界は俺たちの一挙一動を注視している。


そして俺たちは笑う。


四人で冒険する――

それだけを選んだだけなのに、

世界が勝手に盛り上がっていく。


面白い。

このゲームは――本当に面白い。


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