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リアルチートと、極振りな友人達 〜運営を困らなせる噂のアイツら〜  作者: 暁 龍弥


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感覚の慣らし⑩ ― 王城の謁見、そして国家からの指名

王都フラウリア中央、巨大な石階段を登りきると――

白金の城門がそびえていた。

衛兵が二列に並び、槍を構えたまま微動だにしない。


しかし俺たちが近づいた瞬間、

全衛兵が同時に跪いた。


「調律者殿、ならびに三振の戦士たち。

 ――王はすでに、貴殿らの来訪を“想定済み”である」


その言葉に、カイがぽかんと口を開いた。


「え……俺たち来るの、知ってたのか?」


レイナは目をぱちぱちさせる。


「まだ一言も挨拶してないのに〜?」


レンは低い声で言う。


「つまり、運営ですら予測できないはずの隔離ルートを……

 この国のNPCは“理解していた”ということか」


――NPCが、運営より“未来”を読んでいる。


その違和感を抱えたまま、

広すぎるほどの謁見の間へと案内された。


玉座に座る王は、深紅のローブに漆黒の髪。

威圧感と静寂の両方を持つ人物だった。


「よくぞ参った、深淵の調律者よ」


その呼び名が、空気を震わせる。

王の声音は重く、だが敵意はなかった。


「我が国は、この世界の“数値ではなく、形”を視る民。

 ゆえに貴殿らの来訪も見えた。

 そして、その“役割”も、な」


俺は黙って聞く。


王は続ける。


「力を貸してほしい。

 この世界に迫る“崩壊”を止めるために」


カイが勢いよく前に出た。


「つまり俺たちに“国を救ってほしい”ってことだよな!?

 もちろんやるに決まってんだろ!!」


レイナもキラキラした目で。


「国を救うってことは〜絶対レア装備いっぱいだよね〜!?

 やるに決まってるぅ!!」


レンは静かに。


「問題は、何と戦うのかだ」


王は小さく頷いた。


「敵は『影響調整バランシング』を司る神だ」


(……“運営”ではなく、“神”と表現した?)


王の言葉が続く。


「バランスを守るために、数字を均し、異物を切り捨てる存在。

 その思想は正義でも悪でもない。

 だが――“世界の成長を阻む”」


カイが眉をひそめた。


「神殺し、ってことか?」


王は頷く。


「だが戦うのではない。

 “調律”だ。

 世界と神の衝突を――和音へ変えてほしい」


胸の奥が震えた。


(俺の能力の本質は……破壊でも支配でもなく、均衡)


そのとき――

視界に、複数のウィンドウが一気に重なった。


【運営AIから警告】

《王都のメインクエストが、想定外の分岐を開始しました》

《“国家ルート”は正式に未実装です。プレイを中断してください》


だが、次の瞬間。


【NPC権限による上書き】

《国家ルート:深淵系統クエストを正式発行》


【エラー】

《運営のクエスト凍結要求 → NPC裁定により却下》


レンが低く呟く。


「……NPCが運営の命令を拒否した。

 この国のNPCは、運営より“上位の役割”を持っている」


つまり――

NPCすら“ただのプログラム”ではない。


王はゆっくり立ち上がり、玉座から降りて来た。

そして俺の目の前に立ち、ひざまずく。


「深淵の調律者よ。

 貴殿は、“世界の未来を選ぶ者”だ。

 我らは、それを受け入れる覚悟がある」


神格化ではない。

崇拝でもない。


“未来の担い手としての敬意”。


だから胸が苦しくならない。


王は右手を上げ、四人に宣言を与えた。


【国家依頼発動:

 《深淵調律戦線 - 第一章:王国の密約》】


クエスト内容が表示される。


・国家主導の大規模戦線

・本来“エンドコンテンツの最終フェーズ”で解禁されるルート

・プレイヤー主導の独立戦力(4人)として正式登録


レイナが歓喜の小声を漏らす。


「これ……エンドコンテンツのクエストじゃん……最初から……」


カイは拳を震わせながら叫ぶ。


「運営の終盤コンテンツをLv1でやれるとか最高だろ!!!」


レンは深く息をつきながら。


「普通に考えると頭おかしい。

 ……ただ、それが俺たちだ」


そして俺に視線が集まる。


ここで断れば終わり。

受ければ世界が変わる。


少女の言葉が胸に蘇る。


――次に会うとき、あなたは選ばなきゃいけない。


世界を守るか、壊すか、

それとも……


俺はゆっくりと答えた。


「この世界は――面白い。

 だから、壊さない。

 遊ぶ。

 全員が楽しめるように“調律”する。」


大広間に響く拍手。

衛兵、貴族、王……NPC全員が満面の笑みで頭を下げた。


【国家ルート確定】

《深淵の調律者ルート:本編開始》


そして王が言う。


「まずは、王国騎士団を“テスト”してほしい。

 ……敵ではない。味方だ。

 だが、貴殿らの強さが“本物か”を確かめる儀式でもある」


カイが笑う。


「テストってつまり――騎士団とやり合うってことだろ?

 やってやるよ。全力でな」


レイナも弾む声。


「めちゃくちゃ強い人たちだよね〜!ドロップ楽しみ〜♪」


レンは弓を握り直す。


「それが国の意思なら、受け入れる」


俺は前を向いた。


「調律する。

 騎士団が敵でも、味方でも――

 “戦場の意味”を整える」


玉座の間の壁が開き、

騎士達の待つ闘技場への道が露わになる。


そこから――怒涛の連戦が始まる。


俺たち四人と、王国最強の騎士たち。

その戦いは動画・噂・ログを通して、

瞬く間に世界へ広がっていくことになる。


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