#1 最期の交渉
高濃度毒素ラペリヴェイ。通称ラぺが充満し本来であれば坑毒能力を備えた存在でなくてはとても生きていくことが叶わないような、かつての人類都市を彼らは歩いていた。
ラぺは呼吸によって体内に侵入しない限りは充満地域を肌を晒して歩いていようが大した問題はないが、性能の高いガスマスクを付けていては先刻より吹き荒れてきた砂嵐の中では視界が悪くて叶わなかった。かつては先進国であったこの国有数の経済区であった都市とはいえ、空を穿つほどに聳え、幾重にも連なっていたであろう高層ビル群は悉く倒壊し、駅舎、広間、空港のどれを回っても面影という面影は失われているように思われた。
彼らはこの世界が砂と氷と嵐と毒に覆われて以降に生まれた世代だった。だからそのビル群が一体どういう役割を抱えて社会を回していたのかはうまく想像できない。ただひたすらに彼らはそういった過去の文明の遺物が残された街々を巡り、物資を回収し、生命維持に役立つものを獲得していくのだ。
「インフィス、潮時だ。嵐の勢いが増しそうだし、この都市はもう漁られてる」
「みたいだな。風は南西から強く感じる……アンディアに戻るには嵐とぶつかる危険性もある。俺が撤退を指揮するから、お前はコースを計算してくれ」
ガスマスクで顔を覆われた二人は頷き合う。掛けたゴーグルにぶつかる飛石を鬱陶し気に見やるインフィスは声を低くしてそう言った。相方のムンは頭に描いた地図でもなぞるように人差し指をいくらか動かしながら呟いていて、その間にインフィスは引き摺ってきたソリに深緑の布を被されて乗っていた据え置き型トランシーバーを使ってこの都市に散らばった仲間たちに指示を出した。
『 只今より帰還 繰り返す 只今より帰還 各自 回収物を整理し―― 』
★ ★ ★ 旧インド領カダパ空港周地域 アンディア
「たった二ヶ月ぶりとはいえ、懐かしく感じるもんだな」
「ああ」
全身に鎖を絡めたような疲労感と重い足取りの中で彼ら『アンディアの民』は現状の本拠地である安全地域アンディアへとようやく辿り着いた。アンディアには北方から流れてくる砂塵の影響で地域全体が砂に覆われていたり、建物が傷んでいたりするが、六百三十人あまりで構成されているアンディアの民は主に地域の中央にある旧ガタパ空港と呼ばれている場所で活動しているため、地域の表の閑散とした雰囲気は気になりはしない。
彼らは物資回収隊は主にそのアンディアに暮らす者たちに生活向上と物資補給を兼ねた周辺地域に向けての探検活動を行っていて、それは若い隊長インフィスが全体指揮を任されていた。インフィスはこれまでアンディアの民が探索活動を行っていた南方地域への探索から一新して北方へ向けた探索活動をかれこれ五年ほど続けていて、同士四十人で構成された隊を率いてアンディアに帰還した所だった。
インフィスは引き摺ったソリを空港の入口あたりに置き、肩から下げた短機関銃を持ち上げた。仲間も各々が装備の解除と物資の荷下ろしを始めていて、疲れ切った表情で作業を行っている。
そんな彼らに小走りで近づく女性が一人。そしてそのあとからぞろぞろと人が集まってくる。
「長旅お疲れさまでした!療養のための準備は整えておりました、どうぞしばらくは羽を伸ばしてください」
「レイチェルか。んん、皆疲れがたまってる。浴場の準備を済ませたら各自に入らせてやるといいさ」
インフィスは微笑むと、持っていた短機関銃を彼女に渡した。
「皆さんご無事でしたか?戦闘は……」
「あった。二回だが、どちらも移動の民で自衛と自衛のぶつかりだったよ。クロンとレオが重体でそのまま地に召された。王を呼んでくれ、会議で報告することも多いからな」
「クロンさんと…レオさんが…」
「レイチェル?」
「ああ、はい。ええと……会議ですね。わかりました」
彼女はまた小走りで駆けだした。インフィスはしばらく仲間の様子を確認して、安堵したようにゴーグルを外した。
この世界の脅威は一通りではない。
毒素ラぺの他にも驚異的な感染力を持つ致死性ウイルスも複数蔓延している。さらには獰猛な肉食獣や食人昆虫もまた少なくはない。物資回収の探索を行う中で多民族に目を付けられて尾行され、アンディアへの侵入を許したという前歴もある。
この世界で他多民族と接触を持つということは、遅かれ早かれ衝突の元となる。どうあっても資源や安全地を巡った闘争はこの腐敗世界においては必定なことであるし、単に理由もなく闘争を仕掛けてくる狂乱者もいないわけではない。アンディアは比較的ラぺの濃度が届きにくい土地柄であり、なおかつ常に北方から吹いてくる砂風によって他民族からの眼から逃れることに適しているし、侵入されてもガダパ空港の周囲に張り巡らしている装置や対策によっていくらか優位に戦闘を始めることも可能だった。
「運が良かったなインフィス」
インフィスが洗顔をして顔を拭いていると背後から目つきの悪い同年代の男が話しかけてきた。彼は血走った目でインフィスを見つめながら、縫合跡の目立つ筋肉質な腕を組みながら次の言葉を絞り出す。
「お前が外に出てる間にフランもフロックも死んだ。外からの侵入者でな。この頃は怪しげな旅商人も頻繁にここを尋ねてくるようになってな。……測量班のトップとして言わせてもらえば、これはもう『中央』の連中にアンディアの場所が割れてると考えるしかない」
「侵入者の武装は?」
「MK16。SCARだよ」
「……そうか。古いが強力な軍事小機関銃か、中央からの干渉は時間の問題だったが、時期を見て奴らが大きく仕掛けてくる可能性も高いだろう。奴らは東方の民を攻略してかなり広域に支配を広げたからな。以前の段階の測量でこのアンディアにあたりはつけていたんだろうが、それでも東方遠征が終わるまでは下手に手出しはしてこなかったんだろうよ…」
「じゃあ近いうちに大軍勢が完全武装でアンディアを包囲することも予想できんだろ?だからよ、お前頼むからちゃんとしてくれないか?」
インフィスは疑問の眼を男に向ける。
「どういうことだジャック?」
「ややこしいことは言ってないぜ。俺らはもうアンディアを放棄して大きく旅を始めるべきだと言ってるんだよ」
ジャックの刺すような眼差しからインフィスは目を逸らした。
「インフィス、お前。回収した火器は全部破棄して帰投するようじゃねぇかよ。アンディアの自衛には武器も戦力も物資も十全とは言えない。のに探索班にばかり重きを置いた現状の采配じゃあ俺ら居残り組が棒切れに等しい装備で自衛してる間に戦力になりうるお前らの隊ははるか北方で這いずり回ってやがる。それが意味がないとは言わない。だが、流石にそろそろ探索に掛かる物資と回収してくる物資の割合が合わなくなっている。もう取って付け足すようなこれまでのやりかたじゃあ生き残れない。ここは博打かもしれねぇが、自壊の道を歩むよりは『林檎の洲』を探す旅に出ることがまずなによりも優先事項だと俺は思ってる」
「火薬にはあまり頼りたくないからな、確かに火器は全て破壊して巡っている。アンディアの自衛で火器を全面的に使用すれば、中央だけじゃなくその他の鼻の利く奴らがアンディアに目を付けることも考えられる。だから武器を持つのは俺たち回収隊だけで良いという判断だった」
インフィスは改めてジャックと顔を突き合わせる。
「こういう話は王の御前の会議でするべきだがまず聞かせてみろ。ジャック、測量班のトップであるお前がなぜ『林檎の洲』なんていう存在を真に受けてそれを探そうと世迷う?」
「じゃあお前は中央の連中を事を起こしてうちに勝ち目があると思ってるのか!?なぁ、俺たちに選択肢があると考えるほうが間違ってると思うぜ。何故お前は座して死を待とうとするんだ!?あぁ!そうだよ、林檎の洲なんてのはただの世迷言に違いない。だが、とにかく難癖付けてでもアンディアはもう離れるべきだ!」
中央と呼ばれる巨大な武力機関はアンディアを含めた非常に多くの民族にとっての脅威だ。
別大陸から派遣されたと言われている武力集団がある地域に根を張り、そこから高度な測量と強大な武力に物を言わせて瞬く間に周辺民族を征服した昨今最強の侵略集団として知られる彼らが東方の複数の民族を征服したというニュースを聞いて喜ぶものはおそらくいないだろう。
「お二人さん、王がお呼びだ。ま、喧嘩も良いが運命共同体としてそういう本音は会議で言えや」
「メアリー姐」
「ジャック。あんたもアンディアの長の一角ならちぃっとは感情を抑え込む努力しなよ」
腕に縫合跡が目立つ姉弟はそうして去っていった。
後から追って王の直下の五人の長の中で開かれる会議室に行かなくてはいけないのだが、インフィスはそこでパイプをふかして一服してから歩みを始めた。
★ ★ ★ ガタパ空港管制塔管制室
「中央が東方遠征にとうとう終止符を打ちおったか……」
皺のよった額が痛そうに、アンディアの実情的な統率者である王はそう言った。王は王として扱い、王以上でも王以下でもないという扱いであるために、初老と思われるその王には名前はない。ただひたすらアンディア全体を鑑み、顧み、考える存在として彼は王座に座しているのだ。
王はこれまでに述べられたインフィスからの報告を受け、補佐役のようなものであるメアリーに一連の世間の様子や流れなどを書き留めさせている。秘書役や書記役は他に三人ほど会議に参加し、会議で扱われている議題を流れるように紙に記していった。
とはいえ、紙もインクも無限ではない。だからこそ、会議も必要以上の会話や議題が上がらないように限られた五人の責任者しか参加していないのだ。
「いえ、これも捉えた流浪者からの情報だけに信憑性を問われれば確実とは言えません。が、以前からの考察でも東方遠征の完結はもっと以前に終了していてもおかしくはなく、どちかといえばこれまで中央の者たちが東方に時間を割いていてくれたのは『運が良かった』としか言いようがないかと」
そこで物資回収及び探索隊指揮権を有する長の一角インフィスはさらに話す。
「とはいえ、北方へ向けての探索活動も効果が薄いとはいえません、探索中に得た情報も多く、先の探索においては十二の町と二つの大都市を巡ることが叶いました。まだ中央の手が伸びていないと思われる行路も見当がつき、そこからさらに北西への探索活動も十分視野に入れることが出来ると考えております」
そこで、アンディア在留の測量班のトップであるジャックが挙手をする。
「お言葉ですが、この会議で論ずるべきは今後の探索方針ではなくアンディア全体の舵取りについてです。いくらこれからの探索地に期待が持てたとしても探索を進めていくうちにはどうあっても出資は嵩みます。身内を地平線の果てに送り出すのも無駄ではないのでしょうが、眼前に敵の銃口が迫りつつあるという状況下においては流石にこれ以上探索という名目で動くのは得策ではないように考えます」
「ほう。すると防衛・迎撃ラインの構築と戦争へ向けた準備を提言するか、ジャック?」
「いえ、王。私が提言したいのは『林檎の洲』へ本腰を入れる必要性についてです」
「そうかそうか。なるほど。続け――」
「言葉を返すようだが、林檎の洲へ本腰を入れるなど世迷言も良いところ。断固拒否と共にその危険思想に対する警告を進言したいところでありますな」
インフィスは管制室の壁面の一つをすべて埋め尽くしているほど巨大な地図を前にして続ける。その瞳はうすら寒いほどに澱んでいて、地区探索を行っている時の研ぎ澄まされた観察眼とはまるで違うそれだった。
「我々の暮らすアンディアはこの旧字においてのインディ集団の暮らす大国の極極小区画を指します。そしてアンディアの民がこれまでに時間を費やして探索を一度でも行った範囲がこの黒線で引かれた境界まで。……これをこの地図の縮尺を参照した計算をした場合、我々は普段絶えず振りかかってくる砂塵の砂粒のうちの一つ二つ程度の存在でしかないということがわかります。この巨大な世界にどれほどの人類が現代において生活を営んでいるのかはまったく以て未知数ですが、我々にこの巨大な世界を巡る術はない。こと林檎の洲においてはその存在証明すら成されていない言わば『人間の妄言』や『希望的観測から生まれた一つの信仰対象』に該当するもの。アンディアに不自由ない生活を成すだけの余裕がないのは自明のことですが、林檎の洲を目指しての旅などもはや危険思想を通り越した決定的な破滅思想だと断言できましょう」
「しかしそれ以外に現状をひっくり返すだけの指針は無いッ」
ジャックがインフィスの澱んだ瞳を睨みつける。目を剥き、拳を震わせながら懸命に訴えているのだ。
しかし、その場に集った誰もが知っていること、それは林檎の洲の存在はそれそのものが出まかせであるという突発的な新興宗教であるという絶対的な可能性。宗教であるからこそ誰もが信じられるし、誰もが唾棄して見向きもしないことだってある。
だが、それに纏わる噂はとかくシンプル。
林檎の洲は『唯一絶対の救済』それが地名なのか人名なのか物体や物質の呼称なのかは定かではない上、その具体的な存在位置の一切が噂程度にすらも知られていないのだ。だからこそ人はそれを幻想や妄言と言うし、対称に探求する熱意も生まれるのだ。
「オズ、お主は如何に考えを持つ?」
王からの落ち着いた一言に、アンディア全体の総合的な生活面の管理長であるオズは何とも言えない表情で答えた。年は四十を過ぎて思慮深さも十分にある人ではあるが、若い両者の剣幕にあえて口を出そうとはしない。彼としてもこれまでに幾度となくこのアンディアの暮らしと今度の行方について考えを巡らせてきたことだろう。難渋した彼の表情はインフィスとジャックのどちらの意見にもフラットな見解を持っているということを示しているようにも感じ取れる。
「……シーナ、お主は?」
今度はアンディア付近地域広域に及んでの索敵及び接敵対抗措置として置かれている極少数機関の長であるシータに問いが向けられた。普段からどことなく投げやりな態度が特徴の彼女だが、一通りの話の流れからこの論争には流石に神経を尖らせているようだ。貴重なオーロラ酒を少しずつグラスに注ぎつつ、琥珀色のそれを妄信的な表情で眺めている。
「私はインフィスの意見に賛成だ。そりゃそうだろ、どうあっても林檎の洲なんて目指すべきじゃあないって理性の方が先を行く。……もし林檎の洲を見つけたとして、私らにはそれが何であるかを知らない以上不確定な不安要素ってやつがいくらでもあるだろ?大げさな話、私たちがそれを見つけてもそれが唯一絶対の救済様だって気づかずに通り過ぎる可能性だってあるしな」
皮肉っぽく彼女はそういうと、オーロラ酒を今度は少しずつ喉に流しいれていった。
「…まぁ正直な話、王にゃ私の方から前々から言おうと思ってたんだ。最近の妙な商人の往来も匂うし、機関銃持ちが狙って飛び込んでくるって非常事態も起きた。アンディアから離れるって判断は少なからず必要だと私は考えている。林檎の洲を目指すってなると話は全然違うが…」
「シーナ武師、俺だってそれなりに考えて…」
「ああそうだろうよ。知ってる。お前が考えをやめるなんてこたこの先もないだろう。頭のキレも良いし、測量技術も大したもんだ……だがそんなお前がそこまでして林檎の洲の探索をしようって言いだすのならそりゃ大したワケがあってだろう」
そこでインフィスは眺めていた地図から急に視線を動かした。普段から探索地区での強襲的な肉食獣の出現によって鍛えられた身の危険や死線を高感度で察知する能力というのがここぞとばかりに背後から迸る殺気に反応したのだ。彼は自分でも思いがけないような速度で腰のホルスターからリボルバーを抜き、そして銃口を差し向けていた。
銃口はシーナに向けられている。
彼女の持つグラスにはヒビが入っており、彼女が酒を飲み干すのと同時に砕け散った。
「私は実際に侵入者である敵と戦って殺した身だ。敵の動き方、目的、そんなもんを戦闘中でも観察してた。その結果フランとフロックが銃殺されたわけだが……そんで私にはどうにも敵の動き方には二視点の『観察者』へのパフォーマンスが見えた。それは侵入者側の観察者、そしてこっち側の観察者」
凄まじい殺気を纏いながら腰かけていた椅子蹴り付け、いとも容易く椅子の外見を変形させてしまった彼女は燃え盛るような気迫をジャックに叩き込んだ。
「わかんだよ、お前がものを言うにはいつも計算と観察があるもんな。……そもそも怪しげな商人がアンディアに舞い込んできたとき、非武装が保証されるや否や測量のためと自分のホームにそいつらを引き摺りこんで怪しげな話が出来たのはお前と……王だけだもんな」
向けられた銃口など目もくれずにシーナは続ける。
「この際私の思ってることを全部言わしてもらう。ジャック、あと王。あんたらは共謀して中央の連中と遠回りな仲介役を通して交渉を随分前から続けている。そんでここ最近に増えた怪しげな商人は中央との橋渡し役、襲撃者はアンディアの自衛が本当に火器を用いていないのかの偵察だろう。偵察ってことはいつか山のように襲撃者がなだれ込んでくることは見えてる、問題はそれがいつ、どのタイミングで、か」
そこでインフィスは完全にシーナの言う言葉の意味が理解できた。
「そうかい、なるほど。つまり中央の連中が東方遠征に妙に固執してたのは東方の大部分を実質的な活動領域にすることで林檎の洲の探索を有利にするため。……宗教的な側面があるだけに中央の中でも派閥が分かれていそうなものだが、かなり纏まった意見で林檎の洲の所有が望まれてることだろう。……そこにジャックがあたりを付けて交渉に乗り出したという所か。王は既にジャックの意見を聞き及んでいて、この会議の中で趨勢を見て動くつもりであられようか…」
そこでシーナ。
「いいや、もうジャックと王の答えは出てる。会議つったって仲良しこよしのお喋りじゃないんだ、私らが猛反対すればどういう行動に出るのかは見えてる。だからこそ、私は腹が立ってんだ。これじゃまるで脅迫されてるみたいだ………なぁジャック?」
どことなく悲しそうな笑みを浮かべたジャックは管制室の一角を占める通信機に手を掛けた。どれもこれも過去の遺物だが、うまく改造すればこの世界でそれなりに使われているPPW波を発することが出来る。アンディアの中でどこよりも他所への行進に適しているのは他でもないこの管制塔であることは間違いないし、話の流れからその相手も察しがつく。
「だから言ったよなインフィス。運が悪かったなってさ」
そう。
このタイミングで帰還しなければきっとこんな修羅場を迎えることはなかっただろう。
測量班として一か八かを中央に託そうと賭けに出たジャック。
そしてそう時間を待たずに爆発してただろう爆弾であろうシータ。
誰が自分の故郷でこんな世紀末のような瀬戸際を見たいなどと思うだろうか。
「さぁ、最期の話し合いだ」