ナイト1
目を開けると椅子に腰かけた少女が得意げに笑っている。
「わらわの目に狂いはなかったな。どうじゃ? 爺、凄いじゃろ?」
「はい。お嬢様」
「うむ」
椅子を立ち上がった少女は俺の方に近寄ってきた。
「帰還しました」
「よくやったのじゃ。k818。気に入ったぞ」
「光栄であります」
右手を左肩に乗せ、頭を下げる。服従の姿勢で少女を迎える。
「よいよい。頭を上げるのじゃ。貴様の武器は面白いのう。ちょっと見せるのじゃ」
黒刀を両手で掲げ跪く。
少女は黒刀を持つと興味津々に色んな所を触る。
「これはどこ産の武器じゃ?」
「ナイツ製ムラマサtypeⅡを改良調整した物になります」
「おお、ムラマサか! あれは至高の武具じゃな。この美しい刀身はムラマサだから出せていたのか? にくいやつめ。この4つの輝生石が武具の形状によって形態を変える仕組みはマサムネシステムの流用か……」
永遠と武具について考察していく。
「いいのう。ただこれだけの輝生石はドラゴタイプ超型を狩らねばならんのう。量産にはむかんな」
少女は俺に黒刀を返す。
「よし、決めたぞ。貴様をこのカンナギクレアフォードのナイトに任命する」
ナイト、貴族が一人だけ持つことができる兵だったか? そんな事をしなくても俺はクレアと名乗った少女に買われたのだが……。
「お嬢様、傭兵をナイトにするなど、旦那様が許されないと思いますが……」
「古いのう。爺も父上もナイトに求められるのは血統でも国でもない。強さだけだ。止めたければ、爺、こやつに勝ってみろ」
眼帯の紳士は優しく閉じていた瞳を見開く。
俺は背筋がぴりつく程の殺気を感じた。
「……承知しました」
「ほう? 止める気か? ならば手合わせを許可する」
「ありがたき幸せ」
眼帯の紳士はクレアに頭を深々と下げ、頭を上げると俺の方を睨む
「ついて来い。小童」
会議室を出て、だだ広い何もない白い壁で覆われた部屋に連れてこられた。
「ここはトレーニングルームだ。輝生具を開放しても支障はない」
眼帯の紳士は槍をぶんぶんと振り回し、姿勢を低くして槍を突き出すように構える。
突き出された刃先から青い輝生石が現し光り輝いた。
青い光がは一切の淀みはなく、収縮すると美しい刃先を形成させる。
標的を凝視する瞳は眼帯の紳士の強さを証明させた。
「手加減はいらない。殺す気で来い」
意味のない戦いに何の価値があるのだろうか?
俺は刀を構え、黒い刃を形成させる。