初陣1
会議室の中は鉄でできた大きなテーブルと複数の椅子があった。
少女は一番奥の中央に腰かける。
「ようこそ、わらわの統治区ナイツ所属イーストへ。k818歓迎するのじゃ」
「この度は購入して頂き、誠にありがとうございます。何なりとご命令を」
「うむ。来て早々悪いのじゃがそなたに最初にやってもらいたい仕事があるのじゃ。わらわの統治区にあるキョウの町をが輝生物に襲われておる。先遣隊が町から引き剥がし、数も減らしたのじゃが、それでもレオタイプの中型が8体、ラドンタイプの小型が4体、そしてドラゴタイプの大型が1体いる。それらの討伐を頼むのじゃ」
輝生物……。俺はストーンズで学んだ内容を思い出す。輝生石が生物に寄生し輝生具に近しい破壊力を持った生物。種類は多種多様で最も強いとされる個体はドラゴタイプだったか。
「承知しました」
「ほう? ドラゴタイプでもビビらないとはさすが傭兵じゃな」
俺達を傭兵という言葉でまとめるものもいるが実際は所有物である。買われた瞬間、俺は彼女のものとなった。気に入らなければコードを入力すればいつでも俺を殺すことができる。また、所有者に攻撃しようものなら脳にある輝生具装置が爆発する様になっている。それは命が尽きるその時まで続く。言い換えるなら買われた者は絶対服従である。
「ご命令とあれば全ての敵を屠ります」
「頼んだぞ。早速、キョウの町へ転送する。そなたの対輝生物戦の力を見せてもらおう」
少女は指を鳴らすと空間が裂け、俺の左手に巻き付いた転送機が光り輝く。
目を開けると旧時代の崩壊した町並みが広がる。何でもここは歴史的な町だったそうだ。それもあって町の遺物を今も大切に残しているらしい。
脳に黒刀から輝生通話が入る。
空気汚染レベル5
輝生光フィルターを発動します。
黒い光が全身を覆う。
活動限界は180分です。
それまでに全てを狩りつくさなければならないか。
少女から輝生通話が入る。
「そこから南方に10km行くのじゃ」
「承知しました」
「フロートシステム起動」
黒い光が俺の体を持ち上げ、光速移動を可能にする。
南方10km迄、一瞬でたどり着いた。
輝生物の熱源を探知しました。
黒刀がご丁寧に教えてくれる。
下の方では軍服を着た者達が輝生物と戦闘を続けていた。
黒刀を構える。
戦闘モード起動。
ガチャガチャと音を立て黒い輝生石があらわになり黒い光が刃を形成する。しかし、今回はドラゴタイプの戦闘を考慮すると遠距離攻撃にも光量を割かなくてはいけない。
「ディフェンダー起動」
クルクルシュパンと音を立て黒刀から輝生石の一部が飛び出し左手の甲に触れると盾を形成する。
俺の準備が終わると少女は叫んだ。
「作戦を遂行するのじゃ!」
「承知しました。k818討伐を開始します」