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五つの世界の端々で  作者: ひょっとこクソ太郎
序章 2年 春
3/90

学校のマドンナ 1

この時を待っていましたと言わんばかりのタイミングで大々的にに発表された学校

入学生は戸惑いを隠せずにいたがやがて未知の領域への好奇心に従い、魔の道を歩み始める者。

戸惑いが不安となり魔の道を去る者

千差万別のリアクションはそろそろ落ち着き実力にも優劣が現れ始める

学校編 スタートです

翌日

水色のセーラー服に黒のマフラーを巻いたミリアは姿見で身嗜みを整える

肩より下に流れる桃色の髪は無造作に伸びて顔のほとんどを隠している

黒のタイツに包まれた足は足首までスラリと伸び、多少寂しい胸元を差し引いても抜群のスタイルを誇示している

リビングを挟んで反対側、洗面所ではドライヤーを駆使して赤髪のロブヘアーの寝癖を直している美空が見える

お世辞にも高いとは言えない身長自称150センチ

それに不釣り合いな大きな胸

男性の視線はまず胸に行って次に身長、と本人は語っている

ハイソックスから見える白い肌は最近少し肉付きが良くなってきた所


現在2人のいる場所は学生寮

学校から徒歩10分程の所に建てられた魔術学校生専用の物である

寮と言っても相部屋がほとんどだが彼女達のいる部屋は元は1人の学生用で、美空に至っては一般マンションから電車で通っていたのだが諸事情でルームシェアをしている


「ミリー、準備できた?」

青い巾着袋に入ったお弁当を鞄に詰めながらミリアの方に声をかける

「うん、大丈夫です。行きましょうソラ」

ミリアの事をミリー、美空の事をソラと呼ぶのはこの2人の間だけ

2人は全くの他人同士だったがこの1年で家族と呼べるまでの仲になっていた


ミリアは黒のローファー

美空は赤いハイカットスニーカーを履き部屋を出る

時刻は8時15分

教室に着く頃には丁度ホームルームが始まる時間だ


特になにかを喋るわけでもなく他の生徒に混ざるように通学路を行く2人

遠巻きに男の視線を感じるのはもう慣れた事だが、興味はない

ミリアに至っては顔を隠す前髪を切れば学園最高の美少女と噂されている


「美空、ミリアちゃんっ」

後ろから聞こえた声に振り向くと黒髪をサラサラと揺らした少女、片瀬由美が小走りに駆け寄ってくる

「関根がいないと寂しそうね」

「えっ」

ニヤニヤと笑いながら問いかける美空に由美は頬を染める

「確かにいつも一緒に登校してますもんねー」

マスク越しにくぐもった声でミリアも茶化す

美空、由美の2人は中学校が同じで気心の知れた仲であり、魔術学校に通い始めるとそこにミリアが加わり行動を共にする事が増えた

「すぐ帰ってくるって言ってたしそれほど寂しくないよ!それに毎日一緒に登下校してるわけでもないし…」

『え〜?』

2人で由美をからかいながら桜の花びらが舞う坂道を美少女が歩く

朝のこの風景が一般男子生徒の至福のひと時である事を本人達は知らない


靴を履き替える際、ミリアの下駄箱からパサパサと便箋が落ちて行く

「今日は少ないねー」

「増えられても困るんですが…」

ミリア手紙を拾い上げると大切そうに鞄にしまう。内容は十中八九ラブレターなのだが勇気を出して贈った諸君には非常に残念なのだがミリアはいい返事を返すつもりは無い

「私は守るべき主がいるので、といつもお断りしているのですが」

「それだけじゃ納得出来ないもんなんじゃない?男の人考えなんて分からないけどさ」

「ミリアちゃんも丸くなったね。昔は全部破り捨ててたのに」

「そ、それはだって由美さんが!」

めっちゃくちゃ怒ったから…とは大きな声で言えずモゴモゴとマスクの中で口ごもる

「コラ、さっさと教室行けガキども」

ワイワイと騒いでる後ろからペタペタとスリッパを鳴らし近寄るツンツン頭

ミリア達の担任佐久間である

ツンツン頭はセットではなくほぼ地毛らしく所々寝癖のようにあらぬ方向へ立っている

「あ、サクセン」

「サクセン言うな笠木。身長縮むぞあ痛っ!」

鋭いローキックが佐久間の足を捉える

うずくまる佐久間を尻目に3人は無視を決め込み教室を目指す

そしてそれぞれの席に着くとほぼ同時に遅刻確定を知らせる鐘と校門からため息と怒号が響く

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