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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

死神と呼ばれた少女

作者: 泰
掲載日:2016/05/17

とある夫婦の間に私は生まれた。どうやら二人にとって待望の子供だったらしい。長年ほしくても妊娠できなかったらしく、発覚したときは二人で泣いて喜んだらしい。その生まれた私に、里菜と名付けた。母と父は私を大切に育ててくれる…はずだった。

はじめのうちは笑顔で私を可愛がってくれた。夜泣きをしてもお漏らししても、嫌な顔をせずに。けど、人間はストレスを押さえられるものじゃない。仕事の疲れに、人付き合いもあり、日に日に父親の顔から笑顔がなくなり、当時の私でもわかるほど私に対する嫌悪感を目線にのせて発していた。

そして私が三歳の時に、父親は蒸発し、姿を消した。そのとき、書き残した紙には

[あいつは俺の娘じゃない。俺の娘なら、苛立ちを感じず、愛を注げるはずだ。それができないあいつは、俺の血縁である資格がない]

と書いてあった。幼い私は書いてある意味はわからなかったが、父親に捨てられたことだけはわかった。泣いた。大声で。残された母親も泣いていた。そして母は、私が守ってあげると私を抱いていってくれた。もちろん嬉しかった。が、その言葉はすぐに崩されることになった。

母は女手一人で働いていた。私のために。けど、負担はかなり大きいもので、母の体も心も蝕まれていった。時々母がなにかどす黒いものを見るような目でボソボソ呟いていたのを覚えている。何をいっているかはわからなかった。けど、それが何を意味するかはすぐに知ることになった。


四歳の時に、母が首吊り自殺をした。残された遺書には

[私は子育てに疲れました。里菜を生んでから私たちの人生はひどいものになりました。生むんじゃなかった。あんな死神を。私は里菜をあの世から一生かけて呪います。死ぬよりきつい、そんな生涯を送らせてやります]

と書いてあった。ほとんどの文は意味がわからなかったけど、生むんじゃなかった。これだけは理解ができた。望まれて生まれていない、呪われた子だと、自分自身に自己嫌悪を感じ始めた。

その後、私は近所にすむ親戚の家に引き取られた。親戚の夫婦はとても優しかった。両親は本当は愛してくれた、君は望まれて生まれた、そう励ましてくれた。けど、その優しさがむしろ苦しかった。気を遣わせてるんじゃないかと思ってしまった。私の幼心は真っ黒だった。

その私に追い討ちをかけるように、保育園では、子供から、親から、さらに、一部の先生から、話がどうねじまがったかはわからないが、私が親を殺した。私は死神だ、と噂…いや、私に直接に言われ、忌み嫌われていた。私は悪くない。私の本質を見て。そう考えても、回りは理解しない。

小学校に進学すると、その嫌悪感は、いじめに発展した。死神討伐といい、殴る、蹴るの暴行。教科書やノートを燃やされる。体操服を川に捨てられる。私の席の椅子と机をばらばらに壊す。私が死神と呼ばれるがゆえ、子供心に悪を滅ぼさんとしてるのだと思う。なんで肩書きしか見ないの?私はなにもしていない。先生たちも一切救いの手をさしのべない。どころか、焼失した教科書をさっさと買い直せ、なくしたものを見つかるまで一人で探せといったりと、救うどころか、児童同様私を迫害する。親が死んだからなに?私が殺したの?私はなにもしていない。私の本質を見て…引きこもりたかった。けどそうすれば叔父さんたちが心配する。それは嫌だった。だから耐えた。けど五年生のとき、とうとう耐えられなくなって、家のマンションのベランダに出た。下を見下ろした。とても高い。飛び降りたら、絶対に死ぬ。それでいい。悲しむ人より、喜ぶ人がいるなら、いい。覚悟を決めて、私は宙に身を投げた。重力にしたがって高速に落ちていく。あぁ、死ぬんだ。誰にも私を見てもらえなくて死ぬんだ。そう考えていたら、ふわりとした感覚がしたあと、急に落下が収まった。ゆっくりとしたに動き、きれいに着地した。何が起きたかはわからない。が、生きてる、しかも無傷。そのとき、私は母の遺書にあった。死より辛い生涯にさせるという言葉を思い出した。そう、私は死ねない、永遠に恨まれたまま、生きる。そうに違いない。そう思って、心の底から叫んだ。何を叫んだかは覚えてないけど、絶望の声だったことは間違いない。

叔父さんたちは私のことを思い、自殺未遂のあと、そのまちから引っ越し、新しい学校に転校させてくれた。嬉しかったけど、疑心暗鬼が抜けなくて、うまくやれる自信がなかった。転校初日、自己紹介のあと、転校生によくあることでいろんな人が質問してくる。どれもいじめがせいで答えられなかった。さらに疑心暗鬼でただ、転校生と言う肩書きだけでしか私を見られていないと思ってしまい、結果的に人を離してしまった。やっぱり私は忌み嫌われる存在なのか、そう考えていた。

…あの人にあうまでは

ある日の放課後、帰ろうとしたときに、ふと体育館を見ると、バレーがあっていた。ここでバレーのクラブがあってるようだった。今までまともにスポーツをしたことがなかったから少し見てみたいと思って、中を見た。ボールがいろんな人の手にわたり、スパイクをする。それを見ていて、かっこいいと思った。可能ならば私もやりたいと思ったけど、私なんかが入っても…そう考えて帰ろうと後ろを振り向くと

「そこでなにをしてるのかしら?」

「!?」

そこには、茶髪ロングで目元がキリッとした、バレーのユニフォームを着た、女の子がいた。

「あ、あの…あなたは…?」

「私?私は芝浦春海。バレー部キャプテンよ。」

芝浦春海。他の生徒が話しているのを少し聞いたことがある。私が転校する前、一人いじめられている子がいて、その子がために熱意のある主張をして、和解をさせたという。そんなひとがなんで…

「あなた、バレーに興味あるのかな?ずっと見てるみたいだけど」

「あ…あの…できるなら…やってみたいですけど…私…運動…なかなかやらなくて…」

「私のスタイルは素人玄人関係なく、少しでも興味があるなら、みんなで頑張ろうって感じよ。」

「素人でも…」

「さしずめ、やってみたいけど入ってみたいけどうまくできる自信がないんでしょ?けど、自分を変えたい気持ちもある…違う?」

「え!?なんでわかるんです!?」

「読心術よ。…なんてね、あなたを見たらそんな感じがしたからよ。なんだか孤立してるみたいだし、私でよかったら相談に乗るし。」

「…え?」

そのときの私にとって信じられない言葉だった。相談に乗ってもらえるなんて…私に救いの手をさしのべてくれるなんて…そんな…

「うぐっ…うぅ…うぇぇ…」

「え?どうしたの?なにかわるいこといったかな?」

「違います…嬉しくて…私にたいして…優しくしてくれて…私をしっかり見てもらえて…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

泣いた。大声で泣いた。悲しくてじゃなくて、嬉しくて。心地いい涙を流した。今までの深い闇が、一気に取り払われるように…。

ここから、私は光の道に歩むことができた。

次の日から私はバレークラブに所属した。はじめは全く何もできなかったけど、春海さんのサポートもあってみるみるうちに上達、長くやってるメンバーもびっくりするくらいだった。その間で、今まで私の身にあったことを春海さんに話した。少し驚いてはいたけど、「でも、それは過去。

今から新しい明るい未来を作れば、いいでしょ?」

春海さんは笑ってこう答えた。そうだ、暗い過去より明るい未来、私の道は、春海さんによって光かがやくみちに導かれた。

また、春海さんは、セクハラ紛いのスキンシップをよくメンバーととっていた。ああいうのが、人と仲良くなれるのかな?と思ったりも。

春海さんが卒業したあと、キャプテンは私が請け負った。私は新参者がキャプテンだなんてと思ったが、春海さんは私のことをよく見てて適任と考えていて、他のみんなも私を認めてくれた。こんなことができるなんて…今までの私じゃ考えられなかった…。一年間キャプテンとしての役目を果たし、中学に進学して、再び春海さんとバレーをやることになった。二年ですでにキャプテンになってた春海さん。みんなからも憧れの的だった。私も負けられないと思い、一生懸命やった。次の年には春海さんが部長、私が副部長になって、全国でチームしばさととも呼ばれるくらい猛威を奮って、全国優勝したりもした。

そして高校に入学しての現在…

「春海さん…あなたにはずっとお世話になってます」

「うふふ。でも変われたのは里菜の意思もあるわよ。」

「そうでしょうか?」

「えぇ、踏み出したのは里菜なんだし」

「…そうですね」

「しっかし、私以上の変態になるとはねぇ…」

「私をしっかり見てもらいたいんですし、スキンシップは仲良くなりやすくなるじゃないですか♪」

「…町中全裸と公共の場で胸揉みとかの邪な事はやめた方がいいと思うわよ…」

「えー?それじゃ私じゃなくなりますよぉ」

「…私、育て方間違ったかしら…?」

「いえ、春海さんのお陰でここまで立ち直れて、明るくなれたんですから、本当に…感謝してますよ♪」

「…ありがとう♪」


とある超ド変態の少女は、かつて心に闇を抱えていたが、それを振り払ってもらい、今、幸せに過ごしている…

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