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覚醒前夜

魔女とは魔法力をもって社会に災いをもたらす者である。魔女とは言ったが男の場合もある。その場合は単に魔法使いと呼ばれる。魔法力は選ばれた人間にのみ与えられ、社会から秘匿されるものである。魔女の8割強は力を持て余し凶行に走る。方法は様々あるが共通点として人形を使う。主人公たちは白鴉を使役。

そんな魔女達を事前に発見和解、凶行を起こしてしまった際は妨害抹殺をするのが主人公の組織。構成員の多くは魔法力を持つもので孤児や拉致、誘拐など、または親権を買い取って育てた子供たち

例外は血統ある魔法使い、魔女

代を重ねた家系の子供は強く組織のエリートであること。



主人公は家族ともども魔女に襲われているところ絶大な魔法障壁を展開し、一人生存、後に調査に来た組織のものに説明を受け着いていく。












―あの日俺は全てを失った。残ったのは体と記憶と復讐心。これは俺が紡ぐ復讐の物語。



穏やかな昼下がり、組織の下部組織、通称スクールに入り2ヶ月もたったある日、俺はその日の訓練をサボっていた。眠気を覚えつつも日の光を浴びながら見知った顔を見つけ声をかけた。

「毎日毎日訓練たぁ夏子ちゃんも飽きないよねぇ…」

体勢を横にし木の上から声をかける。金髪巨乳、品の良い眼鏡をかけ制服をこれでもかと言うほど美しく着こなした彼女は風車夏子、この組織でのエリートの一員らしい。スクールに引き取られ右も左も分からなかった頃の俺に色々と教えてくれた数少ない友人だ。

「鳴神君、あなたここに来たときは『復讐だ!殲滅だ!弟を取り返す!』って喚いてたじゃないの?あのときの情熱はどうしたのよ。私ちょっとカッコいいと思ってたのにな~」

「マジ!?!?」

とまぁお世辞おだてだと分かってはいても反応せざるを得ないのが男である。尚更それが美少女であるなら。

「聞いたよー?あなたって周辺地域すら固定し、保護するくらいの魔法障壁を出したんでしょ?調査チームがあり得ない数値だって驚いてたわよ?私はここに来てからのあなたしか知らないから信じがたいけど…。」

復讐心が無くなったわけではない。あの魔女と対峙した俺には分かる。あの魔女はここの誰よりも強い、強くならなければ今度出会ったときには勝てるように、そう思い、巨乳を眺めながら問いに答えた

「正直魔法なんてよく分からないんだよ。でも両親が死に、自分弟が死ぬってなったときに死にたくないって願うと周りが暖かいものに変わって…気付いたら保護されてた。」

巨乳の彼女が胸を抱え込みながら考える姿をもう少し見たいが一心でちょっと暗いトーンで真実を答えた。

「あの力って相当強いらしいんだけど、俺そういうの嫌いなんだ。」

少し遠くを見るようにして続けた。

「弟がさ家族で唯一魔法力を発現しててさ、ここに来てから知ったんだけど。それはもう強かったらしい。魔女もその力を何らかの目的で使用するために弟を拐ったらしい。」

出来るしんみりと事実を答えながら胸を見続ける。我ながらムッツリだ。

「あら、そう?それはいいんだけど、あなたさっきから私の胸ジーッと見てない?」

バレたっ!?

「いや、そのブレスレット似合ってるな、ってさ」

とっさに抱え込む腕のブレスレットに話題を変えた。ここで照れるのがまた可愛いのである。そんな彼女に見とれていると

「またお前はサボっているのかぁ!?」

ゴリラのようなスクールの風紀委員長。毎度毎度サボりを邪魔する強そうでヤバそうな奴だ。いつもは逃げていたけど、今日は夏子ちゃんの前だ。いっちょ良いとこ見せてやろう。

「やいやいゴリラ、テメェはそれしか言えねぇのか?悔しかったらここまでおいで~^^」

ゴリラこと風紀委員長、合田 位 彼は非エリートながら実力を買われ風紀委員長となっている。しかしゴリラである。

「今日という今日は逃がさん!」

彼はチラチラ夏子ちゃんを見ながらそう言った。彼女は人気だなぁ…。

そうこうする間にゴリラが木に登ってきた。これは非常に絵になる、端的に面白い。煽りたい。

「今日は逃げないのだな?」

「どっかのゴリラと違って俺は脈あるしなぁ…。逃げるなんてカッコ悪いくてできねーわ。」

「「なっ!?」」二者とも同じくして赤面。夏子ちゃんの赤面、超可愛い。しかし同じ赤面でもゴリラのはヤベェこれ絶対血管切れてる、老人なら死んでる。こいつ非エリートなのにエリートだらけの委員長になってんだぞ?ヤベェ。とか考えていると

ゴリラがキレながら

「夏子さまに対して失礼であろう!ここで貴様を捕らえる!」

モード入っちゃってるし

「べべべべべべつに私はあああなたになんて気はありません!」

「べ」が多すぎるよ夏子ちゃん…。

しかしゴリラにまともにやっても勝てないだろうし1つゴリラに提案でもするしかないか。

「俺は魔法を使えないんだ。知ってるだろ?そのハンデとしてルールは俺に決めさせてくれよ。」

「良いだろう。しかし魔法禁止などはいかんぞ?」

流石ゴリラ、余裕なのか提案を受け入れた

「もちろん。なんでもありだ。ルールはこの木から離れない。以上だ。」

夏子ちゃんが下から

「大丈夫なの?合田君、強いわよー?まぁ私はあなたに訓練受けてほしいし負けても構わないんだけど。」

明らかに冷たくなってる。やり過ぎたかぁ…。

「よしでは始めようか。」

ヤル気満々のゴリラ

「構わないぜ。」

夏子ちゃんが合図をとる…その瞬間

「はじ…め…えええ?」

うろたえる夏子ちゃん

「うおおおおお!俺は最弱の右手も、引きこもりなのに強い黒い剣士も、最弱とか謳いながらも最強のお兄様も大嫌いなんだ!この特殊能力でない俺の拳で決めてやる!」

俺はゴリラに突進、突き、突き、アッパーと流れ技

「な…!?卑怯な!」

体勢を崩しながらも詠唱をはじめるゴリラ、しかし遅い

「俺の最弱はちったぁ痛いぜ?」

どこかで聞いたことある台詞をカッコ良く言ってみた。このまま上段突を打ってるところに足払いを掛けて俺の勝ちだ!

「ふん!…なっ!?」

ゴリラの厚い足には俺の足払いは通らなかった。ゴリラの詠唱が終わり、

「地よ我に味方せよ、コンビネーション!」木々が鎧の形をし、ゴリラに合体していく。これだけで足下がヤバイ。踏み場がなくなっていく。

「これは合田君の木魔装!?白鴉との契約もなしに!?」

夏子ちゃんが解説してくれてるけど全くわからん。ヤバそうなのしかわからん。

「大丈夫だ鳴神!死なない程度に吹っ飛ばすからな!!」

ゴリラがヤバい。一瞬のうち思い付いた最善手は

「ええい折れろ!」

思いっきり枝を踏みつけた。枝は折れた、しかしゴリラはその枝から跳躍し突進してきた。

これもうダメ死ぬ奴。

「うあああ!!ゴリラごめんなさあああい!!」

めっちゃ歯を食いしばった。これでもかというくらい、せめて少しでも痛くないようにと。

しかし痛みはやってこなかった。アドレナリンとかじゃなく体は無傷。俺は木に服がぶら下がっている。地面にはノッソリ起き上がるゴリラ。

「今のはなんだ…?」

ゴリラが誰にたずねるでもなく呟く

「これが…鳴神君の魔法障壁…」

またもや一人で納得する夏子ちゃん

ドンっ!となりぶら下がっていた服がちぎれ地面に落ちる俺

「…いててて、今のなんだ?」

何が起こったか良く分からないけど、ゴリラより後に落ちたようだ。2ヶ月ぶりに魔法障壁とやらが発動したらしい。

「二人とも大丈夫!?怪我はない?」地面に落ちた俺たちに駆け寄ってくる。

「とりあえず俺の勝ちでいいのかな?」

服の砂を払いながら立ち上がる。

「お前はルールを忘れたのか?鳴神よ。この魔装は木からできている。さて、ルールはなんだったかな?」

どや顔のゴリラ、腹が立つ

「ルールはこの木から離れな…い…あ!?」

確かに木から離れてねぇ。卑怯だ!

「そうだ。と言うことで俺の勝ちだ文句はないな?訓練に行こうか?」

「確かに合田君の勝ちね。不意討ち、枝を折ろうとして、その上自分の決めたルールで負けたのよ?訓練してらっしゃい?もちろんその後の座学もサボらないこと!」

そんなのってありかよおおお

冷たい、夏子ちゃんが冷たすぎる。何よりそれが辛い。


―ぷつん

スクール内とある部屋、男二人が木の上で競り合う映像が消される。

「これが最強の魔法障壁を持つ新入りか…」

「はっ。しかし観測値が大きすぎるため間違いの可能性もありますが…」

「彼の力まだまだこれだけでないはず、今後のために監視を続けよ。また、弟の方の力とやらも調べておけ。」

「はっ!かしこまりました!それでは失礼いたします。お父様。」

と言うと金髪巨乳は部屋を後にした。

「秘められた特殊能力が嫌いな最強の特殊能力者か…最高に滑稽だな…おもしろい。」

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