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人生ゲーム  作者: 柚樹
9/11

過酷なミニゲーム

なんてことをしてしまったのだろう。

ゲームとはいえ、人を殺してしまった。

通常のゲームだと敵を倒すと爽快なのに、これは実際に自分が殺してその感触がある。

血の生暖かさが気持ち悪い。

べっとりと制服についた血が気持ち悪い。

そして目の前の二体の遺体が・・・痛々しい。

潤は自分の手を見つめ、自分が今他人から見たらどんなやつなんだろうと考えた。

短慮な行動が招いた結果、俺は殺人犯になって、きっと殺している時の顔ときたら鬼のようだったろう。

いや・・・これはゲームだ。

これはこのゲームのイベントのようなもので、この殺人は必然的なものだったんだ。

俺の意思には関係なく、ゲームのイベントで起こったものなんだ。

必然的だったんだ。

二人を殺した罪は、そう重く感じる必要はないのだ。

そう、これはゲーム。

さっさとこんな世界とおさらばしよう。

この世界で友人だった二人がもういない、こんな気味の悪いイベントが起こるこんな世界にもういたくない。

潤は立ち上がりしっかりした足取りで公園を去ろうとした。

しかし妙な気配がした。

はっきりとしない不気味な気配。

恐る恐る気配を感じる方を向くと、町内掲示板があるだけだった。

そこにはゴミの日や町内の行事の張り紙がされているだけで、誰が立っているわけでなく、ただ掲示板があるだけだった。

しかしその中に妙な張り紙がある。

一枚だけ白紙なのだ。

潤はじっとその紙を見ていると、徐々に文字と写真が浮き出てきた。

そしてその白紙だったものはハッキリしたものになった。

潤は驚愕した。

その紙は、自分のことを指名手配犯だと記している。

写真もある。

しかも『この顔にピンと来たら110番』ではなく、まるで西部劇に出てくるような指名手配。


“WANTED”


“DEAD OR ALIVE”


目を疑った。

徐々に指名手配書は消え、新たに文字が浮き出てきた。

潤はボソボソと声を出して読んだ。


「ミニゲーム始動。

あなだは生死は問わない指名手配犯となりました。

多くの人があなたを狙います。

1日攻撃を避けながら上手く逃げてゲームをクリアしてください。

もしクリアできれば、この事件はなかったことになります。

この事件が起こる前の日に戻ります。

しかし死んでしまいますとゲームは終了します。」


 ダァァン!!


読み終えると銃声が響いた。

そして同時に左腕に激痛が走った。

まるで電気が腕を這い回っているような痛み。

潤は右手で腕を押さえると右手にべっとりと血がついた。

これは健二の血でも真央の血でもない、紛れもなく自分の血。

さっきまで見ていた掲示板にも、小さな穴が開いている。

弾痕だ。

後ろを振り向くと警官が銃を潤に向けていた。


「こ、こんなミニゲームあるかよ!!」


潤は茂みに入り、公園を突っ切り道路へ飛び出した。

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