裏切り
グロいシーンが苦手な方には大変申し訳ないです;
過激ではありませんが・・・ちょいグロです。
潤は真央と健二を張り込むことにした。
俺は真央と健二にわざとそっけない態度をとって避けた。
もし二人が付き合ってるなら、俺の目が真央にいっていない時に会うだろうと考えた。
二週間ほど張り込めばわかるかもしれない。
潤は滞在期間最長記録7日間−つまり現実世界では1日と4時間−を抜き、18日間−現実世界では3日間−ゲームの世界に滞在することにした。
本当は何もなければいいと願いながら、毎日二人の動向を監視した。
そして監視15日目、その光景を目の当たりにしてしまった。
学校の帰りだろうか、夜の公園のベンチに座り、寄り添う二人。
そして軽くキスを交わす。
潤はその光景を、ベンチの後ろにある茂みに隠れて覗き見ていた。
怒りで握り締めた拳から血が滴り落ちる。
爪が手のひらに食い込んでいることも感じさせないほど怒りに満ちていた。
そしてその怒りが爆発する決定的なことが起こった。
「潤はいいの?真央」
「うん。だって北元君の方がいいよ。
潤は勉強が出来るだけだし。
北元君の方がずっと魅力的。
甲子園っていう夢を追いかけている北元君が好き。
潤は勉強以外何もないし。」
「あいつはホント勉強だけだしな。ノート代わりだな。
あいつの気前の良さのお陰で宿題気にせず野球できるしなぁ」
「そんなこと潤が聞いてたらどうするの?まー事実だけどね。」
「こんなとこにこんな時間にいるわけないだろ?なんか2週間くらい前から俺達のこと避け―」
突然、健二は勢いよく転倒した。砂埃がたち制服が土まみれになった。
いや、土だけでない。
頭部から血を流し、襟元が鮮血に染まっている。
外灯の光が血まみれの健二を照らしている。
「北元君!!」
真央は悲鳴に近い声を上げた。
健二は頭に手をやり、自分の今の状況をようやく察した。
「血・・・血だ・・!!畜生誰だ!!ただじゃすまさねぇぞコラァ!!」
ベンチの後ろに立つ人間に健二は威嚇した。
暗くてよく見えないが、その人間はベンチをまたぎ一歩一歩健二達に近づいていった。
そして徐々に外灯がその人物を照らした。
その人物は他でもない潤だった。
「潤・・・!!おまっ!お前・・・!!」
「潤・・・!!」
手には拳二つ分の石を持っている。
その石には血が付着している。
健二は再度頭を触り、それは俺の血だと認識した。
真央は腰を抜かし、健二は座ったまま後ずさりした。
潤は構わず一歩一歩、ゆっくりと健二に近づいていく。
「お前ら・・・俺をそんな風に思ってたのかよ・・・」
「ば、お前冗談だって!だから」
「不思議なもんだなー。ホント・・・意外とこういう時って冷静に入られるんだ―な!!」
「ぐあぁ!」
潤は石を持った腕を振り下ろした。何度も何度も振り下ろし、その度に鈍い音がした。
自分の顔に噴水のように吹き付けられる血など気にせず、ただただ振り下ろした。