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人生ゲーム  作者: 柚樹
3/11

ゲーム開始


 帰宅するとゲームの前に食事を摂った。

親は医者と看護師で滅多に三人揃う事などないのに、ろくに話もせず食べ物を胃袋に流し込むように食べた。

潤は食事を終えるとさっさと自分の部屋へ向かった。

階段を駆け上がり、部屋に入るなりドアに鍵をかけた。


『これで邪魔されずにゲームができる』


 潤は早速ゲームを開封した。

箱を開けるとシンプルなヘルメットとソフトが入っていた。

ヘルメットの内側に、貫通しているわけではないが直径1mmほどの無数の穴が開いている。

そしてゲーム機のコントローラー同様、長い接続ケーブルがついている。

他には顎下で止めるよう、サイドにマジックテープがついている。


『これを頭に装着するのか・・・』


 潤はヘルメットを360°に回し、観察した。

ひとまずヘルメットは横に置き、次に説明書を手にした。


『まず、電源を入れる際、あなたが人生でどうやり直したいか、またどう望んでいたかイメージしてください。

そこがスタートになります。

例えば、“今の自分が美人だったら”と思うと、今の年齢で美人になった自分から人生がスタートします。

他にも、5年前など年数をつけると、ゲームでは5年前の自分からスタートします。

ただし1000年前など、5年後など、生まれていない又はまだ経っていない年数は除外されます。』


 つまり、潤の場合“今の自分がN高校に行っていれば”と想像すれば、N高校に通う自分がいるということだ。


『ゲームを終えたければ、ゲームの世界で、このヘルメットを装着してください。

ヘルメットは現実世界でゲームをしている場所と同じ場所にあります。

そうすればあなたの意識は現実世界へ戻ります。』


 潤は目を疑った。現実世界に戻ります・・・。

それはどういうことだろうか。

率直にとらえると、自らがゲームの世界に入り込むということだろうが、そんなことはありえるのだろうか。

いや、わかっていたはずだ。

普通のゲームとは違うと感じていたんだ。

潤は続きに目を通した。


『ゲームの世界といっても、人生何が起こるかわかりません。

死んでしまうこともあるでしょう。

しかしご安心ください。

命を落とせばゲームオーバーとみなし、意識は自動的に現実世界に戻ります。

そのため、現実世界でヘルメットは絶対取らないでください。

ヘルメットは命綱のようなものです。』


「死ぬ・・・っつてもゲームだしな。」


 潤は説明書を置き、ゲーム機をセットした。

ゲーム機のケーブルをテレビに接続し、コンセントにプラグを差込み、最後にヘルメットの接続ケーブルを差込みヘルメットを被った。

そして落ちないよう、顎の下でマジックテープをしっかり止めた。

ついに電源を入れた。

潤は何度も唱えた。


『N高校に行っていれば。N高校に行っていれば。N高校に行っていれば。』


 退屈な授業、煩い親、退屈な毎日がどう変わるのだろうか。

潤は胸を高鳴らせながら唱えた。

そして座ったまま、意識を失った。


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