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パメラ・ゴードンスミスの場合4

 翌日の朝食の話をしていたはずが、夜のお茶の話題になって、気付けば、パメラは昼食を食べ、軽食も食べ、いつも帰る時刻になっていた。

 でも、今日は帰る必要はない。


「ねえ、リリア。使用人用の食堂に行かない?」


 使用人用の食堂。

 文字通りのもなら、使用人が食事をする場所である。家の格によっては、上級使用人と下級使用人の食堂に分かれていることもある。


 使用人が数百人以上いる場合は、王宮のように別に厨房がある。使用人と貴族で厨房を分けなければ、時間をずらしても料理の提供がままならないからだ。

 フルコ―スが必要な貴族の食事は料理長など、確かな技術の者が作る。パメラの昼食と軽食はこの貴族用の厨房で王宮料理人たちで作られている。

 王宮料理人が作った料理は、国王の食堂以外は会議用の大部屋や貴族に与えられた部屋に届けられる。

 パメラは会食以外では自室でしか食べたことがなく、使用人用の食堂と聞いてから、好奇心が擽られていた。


「お嬢様。お嬢様は公爵令嬢ですよ。どのような者たちがいるかわからない時間帯に行くのは、公爵令嬢のすることではありません」

「誰も気付かないわ」

「そうではなくて。食堂なら、明日の朝に行かれるでしょう?」

「だって、夜にお茶よ」


 どうしても、パメラは今日中に使用人用の食堂に行きたかった。


「茶葉はラニア様に渡されていますから、この部屋でお茶が楽しめますよ」

「私が誰か知られていないのは、今夜しかないのよ」


 本音はそこだった。

 誰にも知られていないうちに、使用人用の食堂に行ってみたい。

 第二王子の婚約者として知られていないうちに、使用人用の食堂に行ってみたかったのだ。


「何をおっしゃっているのやら。何年、王宮に通っていると思っているんですか? 食堂を利用している者に気付かれて、呆気なく正体がバレますよ」

「え? まさか?」

「下々の者は見ていないようで、見ているものです。――せっかく、お嬢様が子どもらしい冒険を望んでくださっても、王宮とはいえ、夜ですからね。護衛もなく動くのは、よくありません」


 リリアはパメラの言動を良しとしながらも、その内容の危険性を上げて、反対したのだった。

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